「成長機会を掴む、掴まないはあなた次第」ーーYJキャピタル新代表に堀氏が就任

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YJキャピタルの新代表に就任した堀新一郎氏とコードリパブリックのプロフラムを推進する伊東直毅氏

ヤフーは11月に入ってある人事異動を発表した。

堀新一郎氏、39才。

慶應義塾大学(SFC)卒業後、エンジニアを経てドリームインキュベータ(DI)で長年経営コンサルティングや投資活動に携わった人物で、2007年からはDIベトナム法人設立のためにホーチミン市に赴任している。帰国後の2013年からは移籍したヤフーでM&A業務、7月からは傘下ファンドであるYJキャピタルにてCOO(最高執行責任者)を務めていた。

11月1日付で、ヤフーグループのファンド「YJキャピタル(以下、YJC)」の代表取締役に就任した彼が力を入れたいと語るのが「起業家育成」、つまりシードアクセラレーションだという。

シードに注力する「コードリパブリック」プログラム

「成長機会を掴む、掴まないはあなた次第。ただ、この戦いに勝つための武器は全部揃えたから、自分に必要なものを選んで戦ってね、と」(堀氏)。

YJCがヤフーと共同で運用するファンドは総額で265億円と、国内のテクノロジー系ファンドとしてはトップクラスだ。投資先エリアもソフトバンクグループらしく日本のみならずアジア、アメリカ、イスラエルなどグローバルで、カテゴリについても仮想現実から人工知能、ヘルスケア、フィンテックなど見る限りテクノロジー系「全張り」状態だ。

一方で投資ステージとなると、シードやアーリー時期よりもやや成長期を迎えつつある「後ろ」の企業への投資を積極的に実施している印象があり、掘氏の言葉は少し意外でもあった。

ただ、この言葉を裏付ける活動がひとつある。それが「コードリパブリック」だ。

East Ventures (以下、EV)代表取締役の衛藤バタラ氏と共同で設立したシード・アクセラレーションプログラムで、YJC前代表時代から課題と考えていたシード期の起業家に対する答えとして4月に開始された。10月末に開催されたDemo Dayで第一期生となる3社がお披露目されたばかりだ。

YJキャピタルとEast Venturesが運営するアクセラレータ「コードリパブリック」から、初回バッチ参加のスタートアップ3社が輩出

「特徴は YJC や EV 支援先へのアクセスです。両社合わせて数百社に上る投資先のネットワークや智見を日本から世界に向けて戦いに行く起業家に対して提供したいと考えています。もちろんそれだけでなく、メディアや広告、EC、決済、ビッグデータ、会員事業といったヤフー全サービスとのネットワークも活用できますし、私やバタラさんが持っている北米、東南アジアのネットワークも大いに使ってもらいたいです」(堀氏)。

コードリパブリックのプログラム詳細はサイトや彼らのイベントに参加すればすぐに理解できるだろう。(逆に理解ができない場合はもう少し情報収集してから臨んだ方がいいかもしれない)。今となっては賛否が分かれそうな出資要件(2社350万円ずつ700万円で普通株式7%の出資)があるのもアジアでの「Y Combinator」的位置付けを獲得しようという意思が垣間見えて私は好きだ。

「太河さん(East Ventures 共同創業者でマネージングパートナーの松山太河氏)と小澤さん(ヤフー執行役員の小澤隆生氏)が作ってくれたネットワークを僕らが継承し、ここから”マフィア”を作っていかなければと思っています」(堀氏)。

実は堀氏が生まれた1977年という年代には魅力的なベンチャーキャピタリストが多く集まっている。

元サイバーエージェントベンチャーズで現在はiSGS取締役の佐藤真希子さん、ミクシィグループでアイ・マーキュリーキャピタルの代表取締役社長の新和博氏、グロービス・キャピタル・パートナーズのパートナー、今野穣氏、セールスフォース・ベンチャーズ日本代表の浅田慎二氏らは全て堀氏と同じ「77世代」だ。

堀氏はこの中でどのような個性を見せてくれるのか。彼の元から輩出される起業家の結果を注視したい。

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