ロシア発、超音波を使った屋内ナビ技術を開発するMarvelmind Roboticsが優勝〜SLUSH上海のピッチコンペティションから

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本稿は、2016年10月に上海で開催された、SLUSH Shanghai 2016 の取材の一部である。

一流のスピーカー、起業家、そして投資家らを招き、フィンランド発祥の世界最大級のスタートアップイベント Slush が上海で初めて開催され、昨日(10月31日)幕を下ろした。メインステージで非常に興味深いトークが繰り広げられた他、地元上海や世界中のスタートアップコミュニティから結集した著名な審査員らや観客を前に、e コマース、VR/AR、ビッグデータ、教育、ヘルスケア、エンタープライズサービスといった分野で活躍する優秀なスタートアップ企業50社が登場した。各企業ともピッチしたり質問に回答したりしたが、最終的に勝利を手に入れた企業は1社だけである。

ピッチオフで最優秀賞を獲得した Marvelmind Robotics は、500万人民元の資金と ZJ Ventures Studio のスペースを無償で使用する権利を獲得し、さらに今月末ヘルシンキで開催される Slush 100ピッチングコンテストに旅費付きで招待された。Slush のピッチングコンテストでは、最優秀賞の他、広範におよぶ将来有望なタイトルが多数授与された。イベントで入賞を果たしたトップ5社をすべて以下に紹介しよう。

Marvelmind Robotics

ロシアのスタートアップ企業である Marvelmind Robotics は、誤差約2cm という高精度にて、自律型ロボット、ヘリコプター、バーチャルリアリティで採用可能な屋内ナビゲーションテクノロジーの開発を行っている。超音波を用いて距離を正確に測定し、トランスデューサーによるデータ同期には周波数433MHz が使用されている。

Marvelmind Robotics の代表者である Maxim Tretyakov 氏は言う。

もちろん市場には UWB、Bluetooth ビーコン、磁力計、WiFi RSSi など、他の屋内ナビゲーションシステムもたくさん出回っています。ですがそれぞれ、たいていは精度、価格、サイズのいずれかの面で制約があります。こういった要素のバランスをうまくとりつつ、最適なソリューションの開発を目指しています。

商品価格はビーコン1台あたり59米ドルからとなっており、現在世界30ヶ国以上で販売されている。最優秀賞を獲得した Marvelmind Robotics は今後、トランスデューサーのデザイン改善に取り組み、認可を得て主要取引先や投資家を探し求める。

Laiye

WeChat(微信)ベースのバトラーサービスである Laiye は、ユーザをアプリの果てしないダウンロード地獄から解放しようというものである。Laiye の WeChat アカウントをフォローすると、AI ロボットや現実の人間がユーザの意のままにスマートカレンダー、自動車による送迎サービス、コーヒー配達、用事、掃除など、30を超えるサービスを提供してくれる。

同サービスは利用すればするほどユーザに対する理解を深めるため、Laiye はユーザの好き嫌い、習慣、予算に応じて提案を行ったりソリューションを提供したりすることが可能である。

収益は提携サービスプロバイダーからの手数料、ユーザが利用する有料プログラム、そして企業が導入したライセンス料と、3つのルートで得られる。

昨年7月のローンチ以来、Y-combinator と Microsoft Accelerator の支援を受けてきた同社のユーザ数は、現在では150万人を超えるまでになった。同プラットフォームで人気トップ3のサービスは、スマートカレンダー、配車サービス、コーヒー配達で、全注文の75%から80%を占める。

NextVPU

NextVPU は、すべてのロボット、無人航空機、無人地上車両、その他スマートデバイス向けに視覚能力を開発する人工知能およびコンピュータビジョン分野のスタートアップである。

同社初の製品 AngelEye は、視覚障害者向けのスマートメガネである。このメガネは、着用している人に現在地、進行方向、次の交差点名、次の交差点までの距離、周辺の観光地を知らせてくれる。また、現金、色、信号、横断歩道、階段、ドア、出口、文字、顔など日常的に関わりのある対象を認識し、ボイスメッセージでユーザに情報を伝えてくれる。

現在 AngelEye は社内試験の段階にあり、来年世界的に2万個のメガネを出荷する予定である。

Sunnatech

「健康にナノを」をビジョンに掲げる Sunnatech は、ナノファイバー素材を扱う中国のスタートアップである。同社は数千億人民元に達する中国の心臓外科市場で利用されるナノファイバー微小口径人工血管を開発した。ナノファイバーテクノロジーとバイオマテリアルを組み合わせた同製品は、自己回復機能と抗凝固機能によってより優れたパフォーマンスを発揮し、長時間体内に残すことを可能にしている。現在医療認可を待っている段階にあり、4年から5年後に市場に出回る予定である。

同テクノロジーは、深刻な大気汚染に悩まされる中国人向けに開発された3D マスクでも採用されている。同社設立者はこう語った。

同程度のろ過性能を実現した場合、Sunnatech のマスクは市場の他の製品と比較すると最も圧力損失が低いため、着用している人はより楽に呼吸ができます。

LAKKA Technologies

LAKKA Technologies は薄膜センサーのメーカーである。手首の径脈の小さな振動を検知できる同社のモジュールは、手首から心拍数を検出するのに利用できる。同製品は精度が高く、心臓の収縮期と拡張期の脈拍を検知することが可能なため、ユーザは運動時や休憩時の心臓の動きに関する貴重なデータを収集できる。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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