社会起業家育成プログラム「Unreasonable Labs Tokyo」が開催、応募60件から選ばれたチームが社会を変えるアイデアを披露

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2016.11.7

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<11月8日正午、以下項目を修正・追加>

  • メンタリング実施拠点数について、世界8地域→世界25カ国に修正(2015年から2016年の増分による)
  • ピッチ審査員に斎藤ラッセル氏を追加(一部、審査員予定者の変更による)
  • C4 と Capital Group, Corporate Contributions Committee と、Capital for New Commons の差し替え(C4 は Capital Group, Corporate Contributions Committee の略称ではなく、Capital for New Commons の略称であるため)
  • 主催者要望により、写真のキャプションに受賞者の個人名を追加。

<11月9日正午、以下項目を修正>

  • Do The Samurai の写真のキャプションの受賞者名を修正。

アメリカ・コロラド州ボルダーに本拠を置くアクセラレータ Unreasonable Institute は、社会課題を解決するビジネスや起業家を育成するアクセラレーション・プログラムを展開している。Unreasonable Institute は、世界のより多くの地域に social entrepreneurship(社会起業)の輪を広げようと、5日間の超短期間圧縮プログラム「Unreasonable Labs」を提げて、世界8地域でメンタリングを行うツアーを行っている。

<関連記事>

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Unreasonable Labs Japan ジャパンディレクター 竹村詠美氏

先週、同プログラムが東京で実施され、MTDO の田子學氏をはじめ、大学教授、社会起業家、投資家ら23人のメンターがメンタリングを行った。Unreasonable Labs Japan ジャパンディレクターの竹村詠美氏によれば、今年は、福岡・熊本・神戸・大阪・京都・仙台・東京の7ヶ所(開催順)で事前説明会を行ったこともあり、60チームがエントリし、そのうち10チームがファイナリストに残った。6日に都内で開催された Unreasonable Challenge Day では、メンタリングを受けたファイナリスト10チームのピッチが繰り広げられた。

このピッチセッションで審査員を務めたのは、

…の方々だ。1位〜3位の副賞は、社会起業家に投資を行っている C4(Capital for New Commons)から提供された。バリュープレスからはプレスリリース配信ができる権利、Peatix からは、Peatix コミュニティへの集客支援とトップページでのピックアップ掲載権が全ファイナリストに送られた。受賞したチームと、それぞれのサービス内容は次の通り。

【優勝(C4 SDG Award:Grand Prize)】Co-creation Centre by Co-creation

(副賞:30万円)

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優勝した Co-creation の高橋知子氏(前列左から2人目)

東北で学習塾を経営してきた代表が立ち上げた、シングルマザー家庭における負の連鎖を断ち切るためを意図したサービス。ソーシャルマザー制度により子供にとっての〝第2の母親〟を創出してシングルマザーを支援、、シングルマザーのためのシェアハウスを創設・運営する。

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【準優勝(C4 SDG Award:Runner-up)】Your Action on Earth

(副賞:15万円)

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準優勝した Your Action on Earth の水本穣戸氏(前列左から3人目)

家電を省エネ製品に取り替えることで、地域や国全体で言えば大きな資源保護になるが、家庭ではまだまだ積極的ではない。理由は面倒だからだ。Your Action on Earth では学生をトレーニングして家庭に派遣、省エネデバイスを家庭にインストールしてまわる。節電などで浮いたお金の一部から Your Action on Earth は収入を得ることができる。

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【3位(C4 SDG Award:Honorable Mention)】ホトカミ by Do The Samurai

(副賞:5万円)

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3位の Do The Samurai の吉田亮氏(前列左から2人目)

寺や神社はこれまで、檀家や氏子といった家単位の援助をもとに収入を得てきたが、その習慣が近年希薄になっており、今後、寺や神社は3万件が消滅してしまうという。そして、それらのうち、ウェブサイトを持つ寺や神社は、1.5%に当たる2,000軒ほどに留まっている。「ホトカミ」は〝寺や神社版の食べログ〟を目指し、現在、寺や神社14万軒分の情報を収録したデータベースを作っている。

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【チェリオ賞】コンビナート by Archetype Nova

(副賞:ライフガード、および、ライフガードオリジナルTシャツ)

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チェリオ賞を受賞した Archetype Nova の内田晃盟氏(前列左)

テクノロジーで、伝統工芸の衰退を防ごうという試み。伝統工芸の技を受け継ぐ職人のデータベースを構築し、企業のニーズとマッチングする。実際にこれまでに籐細工のほか、漆塗りのスマートフォンケース、和紙の名刺入れなどの製品が考案されている。

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【FitBit 賞】Smile Quants

(副賞:FitBit)

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FitBit 賞を受賞した Smart Quants の浅野正太郎氏(前列左)

人がうつになることでもたらす経済的損失は大きい。企業では、うつになりかけている人を事前に察知することができれば、症状が深刻化するのを予防し、離職などの結果に陥るのを防ぐことができる。Smile Quants は人の顔の表情を認識することで、うつの兆候があるかどうかを検知するしくみ。まずは、パソコンの前に座っている時間が長く、精神的なプレッシャーを受けることが多いコールセンターなどへの導入を想定。

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【FitBit 賞】SPARK by Team Inquiry

(副賞:FitBit)

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FitBit 賞を受賞した Team Inquiry の宮田真知氏

中高生に対して、ディスカッションが行える機会や環境を与えることで、意見の異なる人たちと協力や共生関係を促したり、社会改善への能動的な参加へのつなげたりすることを目的とした活動。代表が成人して投票権を手にした時、どうしていいかわからなかった経験をきっかけに、ディスカッションをすることで中高生らが自分の意見を持ってもらうことを意図している。

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入賞ならなかったものの、ファイナリストに残ったサービス・チームは次の通り。

  • Connect Think by おもつな……NPO と地域の中小企業をマッチングするサービス。中小企業から NPO への協賛を促す。
  • フリー外科……外科手術版の Airbnb。セカンドオピニオンを得るような信頼している外科医に手術を依頼、空いている病院の設備を使って手術を受けられるサービス。
  • Notation……地方行政のキャッシュフロー改善、サービス改善のために、地方に関するあらゆる統計データをわかりやすく可視化。
  • Working’ Coaching……障害者の賃金が低いのは、障害者の労働を支援する職員一人が支援できる障害者の数が限られるため。Eラーニングを実施することで、障害者の職能を向上させ待遇改善と自立支援に貢献する。

なお、イベントの締めくくりには、Women’s Eye の石本めぐみ氏、Capital Group, Corporate Contributions Committee の  Genc Baki 氏、KIBOW インパクト・インベストメント・チーム・ディレクターの山中礼二氏、ACUMEN 東京チャプターの灘仁美氏らが登壇し、インパクト投資に関するパネルディスカッションが持たれた。モデレータは、APVN(Asian Venture Philanthropy Network)地域統括の伊藤健氏が務めた。

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左から:APVN 地域統括 伊藤健氏(モデレータ)、ACUMEN 東京チャプター 灘仁美氏、KIBOW インパクト・インベストメント・チーム・ディレクター 山中礼二氏、Women’s Eye 代表 石本めぐみ氏、Capital Group, Corporate Contributions Committee Genc Baki 氏

Women’s Eye は Capital Group から出資を受けているが、社会企業が投資家から出資を受ける上での心得として、Women’s Eye の石本氏は、何よりも投資家から信頼を獲得することが肝要であり、そのためには会計を含めた透明性、また、どんなに業務に忙殺されても外部に対して自分たちの活動をアピールしつづけていることが大事だと語った。

Capital Group の Baki 氏は、インパクト投資のポイントとして、投資先には経済的なリターンもさることながら、社会的なインパクトやサステイナビリティが求められるとした。

KIBOW はこれまでに2つの社会企業に対して投資を行っているが、山中氏はその企業の経営を支援する上では、働いている人の満足度や待遇改善などが KPI になってくると語った。

ACUMEN の灘氏は、ACUMEN のフォーカスは、南アジア・アフリカ・南アメリカの社会問題解決だが、日本では国内よりも海外の社会問題に関心を持ってもらうことが難しい、と国際的な活動を行う上での課題を語った。

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