中国オンライン動画市場は、有料会員サービス・自社制作コンテンツへの過渡期に突入

by TechNode TechNode on 2016.12.25

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iQiyi(愛奇芸)CEO の Gong Yu(龔宇)氏
Image Credit: CIAVC

中国では長年のトレンドが変わりつつあり、またしても私たちの意表を突いてきそうだ。オンデマンド動画配信サービス iQiyi(愛奇芸)の2016年の総収入に占める広告収入の割合は50%程度にとどまる見込みだ。

先週(12月第2週)、iQiyi の CEO である Gong Yu(龔宇)氏は、中国・成都で開催された CIAVC(China Internet Audio-Visual Conference:中国インターネット視聴大会)2016に出席し次のように述べた。

2016年における iQiyi の総収入は100億人民元を上回る見込みです。そのうち広告収入の割合は半分ほどで、残り半分はユーザ向けのサービス(例えばプレミアム会員登録)などその他収入源から得ています。

中国の大手オンデマンド動画サイトは、熾烈な競争と低い収益性に苦しんでいる。2015年以降各社は収益構造の多様化を目指し、有料会員登録の獲得に向けた取り組みを大々的に行っている。彼らが望んでいるのは、広告モデルから有料会員登録をベースにしたモデルへの移行だ。今年6月、Gong Yu 氏は Yicai=第一財経(レポート原文:中国語)に対し、「2015年には75%ほどだった広告収入の割合を2016年には33%程度まで下げたいです」と語っている。

料金は比較的安く、ひと月15~25人民元ほどだ。しかし、iQiyi の VP である Yang Xianghua(楊向華)氏は Jiemian=界面(記事原文:中国語)に対し、「ユーザ1人あたりから得られる平均収入は広告収入の20倍にもなります」と語った。

それと同時に、広告収入の伸びは鈍化している。モバイル市場調査会社 QuestMobile(レポート原文:中国語)によると、今年7月における中国のモバイル動画アプリの月間アクティブユーザ数は8億人に達した。新規ユーザが減少することで、インプレッション(表示回数)を基準にした広告収入の伸びは、横ばいあるいは下降することが予想されている。

先週(12月第2週)開かれたメディアイベントで、Yang Xianghua 氏は「中国の大手オンデマンド動画サイトが有料会員登録から得る収入は、来年には広告収入を上回る可能性があります」との見通しを示した(レポート原文:中国語)。

月間アクティブユーザ数の10%は有料会員

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Tencent(騰訊)の Online Media Business 部門プレジデント Sun Zhonghuai(孫忠懐)氏
Image credit: CIAVC

CIAVC で、Tencent(騰訊)の Online Media Business 部門プレジデントである Sun Zhonghuai(孫忠懐)氏は次のように述べた。

Tencent Video の見積もりでは、現在、中国のオンライン動画・音声サービスを利用する総ユーザ数の10%は有料会員であると考えています。

今月初め、Alibaba グループ(阿里巴巴集団)のオンライン動画サイト Youku-Tudou(優酷-土豆)は、有料会員数が3,000万人にのぼることを発表した。Tencent Video(騰訊視頻)は先月、iQiyi は6月初めにそれぞれ発表を行い、いずれも有料会員数2,000万人を突破した。

EntGroup(芸恩)が実施した調査(レポート原文:中国語)によると、中国におけるオンライン動画サービスの有料会員数は、2013年の800万人から2015年には2,000万人に増加した。この驚くべき伸びを踏まえると、2016年にはより大幅な増加が期待できる。

2015年半ば頃から、iQiyi は新作コンテンツにペイウォール(有料会員だけがコンテンツにアクセスできるようにすること)を設けた。この戦略によって、ほんの一年のうちに有料会員数を4倍に伸ばした。中国の大手テレビ放送局 Hunan Broadcasting System(湖南広播電視台)が運営する動画サイト Mgtv.com(芒果 TV)は、会員を獲得するために同様の戦略を採用した。

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Youku-Tudou は今年初め、春節の休日期間中にキャンペーンを行い、700万人の会員を獲得した。Alibaba(阿里巴巴)のオンライン決済サービス Alipay(支付宝)と共同運営で多様なサービスを通して新規会員登録をアピールし、それが素晴らしい成功を収めた。

コスト増加の勢いは収まる兆候見られず

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実際のところ、これまでも長い間ユーザが有料会員サービスを利用することは可能であった。しかし、以下に挙げるように利用を妨げる要因があった。1)海賊版のデジタルコンテンツが豊富にあり、ユーザはわざわざお金を払おうとは思えなかったこと。2)オンライン決済サービスがそれほど浸透していなかったこと。3)コンテンツやサービスについて、動画サイト間でほとんど差別化が行われていなかったこと。

現在、1)と2)の問題についてはほぼ解消されたと言ってもよいほどで、差別化されたコンテンツを求めて、すでに多くのユーザが有料会員になっている。しかし、有料会員の獲得には代償が伴う。中国におけるほぼすべての動画サイトが、会員限定コンテンツに対して重点的に資金をつぎ込んでいる。

LeTV は、テレビの放映権を安値で買い取ることで財を成した最初の企業の一社だ。しかし、放映権の値上がりを背景に、そうした企業は新たなモデルを模索している。今月初め、LeTV(楽視)の社長である Gao Fei(高飛)氏は社内向けのメールで「2017年の新作の70%以上は、自社制作もしくは共同制作にしようと考えています」と明かした(ソース原文:中国語)。

他のサイトも同様に、自社制作コンテンツに多額の投資を行っている。というのも、自社制作コンテンツはコスト管理が容易で、ゲーム会社に翻案権や版権を売却するなどマネタイズ手段も多いからだ。Tencent Video における自社制作コンテンツ視聴の占める割合は、今年初めには8%だったが、8月の時点では14%まで上昇している。

TechNode が以前指摘したように、こうした動画サイトへのアクセス数が増加する主な要因は、数少ないヒット作と新作である。だが、こうしたコンテンツを制作するコストは上がり続けている。Sun Zhonghuai 氏は次のような見通しを語った。

ユーザ数は10%増加し、視聴数は50%~100%増加しています。しかし、コストは200%増加しています。

もちろんこれに加えてこうしたコンテンツにかかるマーケティングコストも必要になる、そして、そのマーケティングコストも同様に増加傾向にある。

しかし、こうした状況にあっても、Tencent や iQiyi、Youku-Tudou の親会社である Alibaba などの大企業は、映画会社やエンターテイメントコンテンツ制作会社を設立し続け、自社のプラットフォーム向けだけではなく映画館やテレビ局向けのコンテンツを制作・配信している。そういったコンテンツやそれに関連した権利は、彼らの新たな収入源となるだろう。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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