天才ハッカーGeorge “Geohot” Hotz氏のスタートアップComma.ai、自動運転キットをオープンソース化

by Ken Yeung Ken Yeung on 2016.12.10

Above: Comma.ai founder George Hotz holding up the Comma Neo. Image Credit: Ken Yeung/VentureBeat
(上)Comma Neoを手にするComma.ai設立者のGeorge Hotz氏
Image Credit: Ken Yeung/VentureBeat

George “Geohot” Hotz 氏は世間に自動運転車を広めようとしているが、彼の場合少し型破りな方法で進めている。彼の会社 Comma.ai はこれまでいくつかの規制問題をクリアしており、自動運転技術だけでなく Comma Neo という独自のハードウェアデバイス(「ロボットプラットフォーム」)を構築する手順も公開する、という他とは異なる方法を試みている。現在この情報はすべて Comma.ai の GitHub リポジトリから入手できる。

同社は初めから Android 版自動運転車の開発を目標にしていた。「皆のための無人運転」を可能にしたいと考えているのだ。今年の初め、Hotz 氏の言っていた製品がまだ発売すらされていないうちに州および政府の監督機関から質問を受けた。監視されていることに嫌気が差した Comma.ai は最初の製品である Comma One の発売を中止し、知識を民主化する方向に舵を切った。約束を守りながら、999米ドルという価格を捨てて無料化を選択したのだ。Hotz 氏は以下のように説明した。

自動運転車における Android を本当に作りたいと思っているなら、999米ドル払ってもらうのはおかしいですよね。

全てをオープンソース化する試み

Comma.ai は現在 Open PilotComma Neo のリポジトリを公開している。前者では、Autopilot 7のほぼ全機能が使える自動操舵ソフトが利用できる。Hotz 氏は「Tesla 以外のどの車のソフトウェアよりも優れています」と豪語し、MIT のライセンスも受けている。しかし、車を進化させるためにはソフトウェアだけでなくハードウェアが必要だ。しかし同社は現在新製品の開発を行っていない。取扱説明書を見て消費者自身にロボットプラットフォームを作ってほしいと考えているのだ。同社は必要な材料やソフトウェアその他の詳細を提供しており、これを利用すれば自分の車に Comma.ai を搭載できる。

Comma.ai を IKEA に例えると、Open Pilot は部品と材料であり Comma Neo は取扱説明書なのだ。

Hotz 氏は、今日(11月30日)発表したものはどれも販売目的ではないと言い、いかなる規制問題にも抵触していないことを保証した。もしそうなった場合には、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)に事前に通知することを約束した。Comma Neo が車に搭載されると、最大6分間の自動運転が可能になる。その後、ドライバー自身が運転するよう指示が出る。もしドライバーが自分で運転しなければ、車は自動的に減速する。

Above: Comma.ai’s new technology release: The Comma Neo, an open-sourced robotics platform Image Credit: Ken Yeung/VentureBeat
(上)Comma.aiの新技術がリリースされた.Comma Neoはオープンソースのロボティクスプラットフォームだ.
Image Credit: Ken Yeung/VentureBeat

Comma Neo の大部分は内部的なものであり、開発者にとって必然的に購入しなければならなくなるものである。Comma Neo は取扱説明書にすぎないのだということを思い出してほしい。その中核は Android スマートフォンだが、現時点では OnePlus 3しかサポートされていない。その理由は価格的に手頃で、Snapdragon 820を搭載しており(重要な必要条件)、修正可能で、そこそこいいカメラを搭載しているためだ。Comma.ai のテクノロジーはスマートフォンのメインカメラに依存しているため、道路上に何があるのかをできるだけ正確に視覚化できるカメラであることが重要だ。しかし、Comma.ai は OnePlus 3についているさまざまな機能はほとんど使わない。メインカメラと GPS しか使用しないのだ。Comma Neo の OS は必要最低限の機能に削ぎ落とされた Android 6.0(カーネルとコアサービスのみ)を利用しており、操作も受け付けなければ通知も表示しない。

しかし、これは Comma One のリブランディングではない。Hotz 氏のチームは、主な違いは構築可能性だと言っている。

はんだごてが使える人なら誰でも構築できるよう、ゼロベースでデザインし直しました。

現在サポートされているのは2車種に限られている。2016年モデルの AcuraWatch Plus を搭載した Acura ILX と2016年モデル Honda Civic Touring である(ただしどちらのメーカーも公式には関与していないようだ)。

この動きは、今年中に1,000米ドル未満の自動運転車を出荷する、という Comma.ai の約束を守ることにもつながるだろう。「出荷する」が何を意味するのかには明らかに余地があったが。

Above: George “Geohot” Hotz is head of Comma.ai. Image Credit: Dean Takahashi
(上)Comma.aiの代表George”Geohot” Hotz氏
Image Credit: Dean Takahashi

今日(11月30日)の発表は愛好家、研究者、大手自動車メーカー、アフターマーケットメーカーに向けたものだ。特に Comma.ai の気を引いているのはアフターマーケット層だ。しかし Hotz 氏は以下のように認めた。

問題は、私自身このデバイスのマーケットサイズがどれくらいになるか確信が持てていないことです。マーケットを開拓していきましょう。アフターマーケット自動運転システムを一製品カテゴリにまで押し上げましょう。

しかし Comma.ai が自動運転グループの一員になるとは思えない。というのも、Tesla や Mobileye をはじめとして自動運転車の開発には数多くの試みがあり、それぞれが異なる結果を残しているからだ。Udacity はこの市場機会を捉え、BMW や McLaren とともに自動運転車のナノ学位を立ち上げた。Baidu も BMW とそこに入り込もうとしたが、今月(11月)そのプロジェクトは中断した。Google は当然積極的に技術開発を行っており、Apple もそうだ。この動きに対し、これらのテクノロジー企業の機先を制そうと、現在この技術に関わっているメーカーは団結している

Comma.ai のアプローチが他と異なるのは、自動運転車の Android になろうと専念しているという点だ。メーカーがあらかじめプログラムしていなくても、自分の車に合うように誰でもシステムをカスタマイズできるようにしている。

スピードバンプ

Hotz 氏の Comma.ai がつまづいたのは1ヶ月ちょっと前のことだった。自動運転車システムに関する問い合わせをしてきた NHTSA から特別命令を受け、Hotz 氏はひどく不愉快になり、以下のようにツイートした。

規制機関は対話しようともしない。規制機関や弁護士とやり取りするよりも驚くべきテクノロジーを作ることに人生を費やしたい

その結果、たった1,000米ドルでどんな車にも取り付けられ、2016年モデルの Honda Civic に初めて取り付けられるはずだった半自動運転システムである Comma One の開発は中止された。

Hotz 氏は、Comma.ai がこれで終わりというわけではなく、その一製品が終わりというだけである、と述べ、崖から一歩引いた。NHTSA が情報を求めすぎていたように見えたことと、同社がカーキットを公開する準備を進めていたことで事態はおかしなことになった。もしこれが発売されていたら、Tesla や Mobileye、Cruise、その他開発中の新興自動運転システムと競合していただろう。

実のところ、水曜日(11月30日)の記者会見に先立って、Hotz 氏は Tesla や Cruise とは今や「友」だが、Mobileye にはまだいくらか敵対意識がある、と述べた。彼の明るい振る舞いを目立たせるものとして、同イベントが始まる前に彼は Warren G 氏の「Regulate」を激しく非難した。Comma.ai が経験したことへの若干の皮肉を交えた言及だろうか?しかし、Hotz 氏は過去の問題について語る際には自制しなかった。

投資家が私たちへの資金を引き揚げる、という人もいますが、事実ではありません。Comma One が開発中止になったから Comma.ai は終わりだ、という人もいます。これも事実ではありません。Theranos みたいに Comma One がうまく動作しなかった、ベイパーウェアだ、なんて言う人もいます。これも嘘です。(Hotz 氏)

彼は「プレオーダーすら受けていない」製品に一日あたり2万1,000米ドルを課すという、NHTSA が課した10日間という勝手な猶予のせいで Comma One は開発中止に至った、と説明を続けた。さらに彼は、規制当局が取扱説明書を見たいと言ってきたが、書類に一つでも不備があれば Hotz 氏自身が懲役を受ける可能性があったと述べた。

まことしやかに囁かれていることとは反対に Comma.ai は NHTSA による質問に反対してはいなかったが、当局による以下のような発言には我慢ならなかった。

あなたも明らかに気づいていることでしょうが、本来の目的を超えてあなたの製品を使おうとしているドライバーがいる可能性が高いと思われます。

Hotz 氏は残念に思い、またこの発言に返答することができなかった。そして彼の会社は問題を完全に回避するようにフォーカスを少しシフトさせることを選択した。

Comma One のファンはがっかりする必要はない。Comma.ai はこれまでにも機械学習や人工知能関連の研究をオープンソース化してきた(2015年にも Bloomberg で一部紹介された)。

Andreessen Horowitz からの支援を受けて、Hotz 氏は機械学習や周辺環境からのセンサーデータを使った自動運転車の開発に情熱を注いできた。彼は9月に、Comma.ai の Chffr アプリを使っている738人のユーザから30万6,000マイル以上、合計7,908時間の走行データが得られたと VentureBeat に語ってくれた

よく知られたハッカーである Hotz 氏は、2007年8月に iPhone をジェイルブレイクし、どんな通信事業者でも使えるようにした。Apple と、当時 iPhone の独占権を持っていた AT&T にとってこれは大打撃だった。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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