韓国の生鮮食品デリバリ「Market Kurly」、シリーズBラウンドで約16.8億円を調達

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Sophie Kim is the CEO. Photo credit: Market Kurly.
CEO Sophie Kim(김슬아)氏
Photo credit: Market Kurly(마켓컬리)

韓国では、オンラインショッピングの利用者による支出額が今年は400億米ドルに達する見込みである。しかし食料品が占める割合は低い。食べ物や材料の鮮度 ―あの食欲をそそる薄切り牛肉をテーブルで焼くプルコギを思い浮かべるといいだろう― を重視する同国では、たいていの人は不可欠な食材をスーパーや昔ながらの市場で買い求める。

オンラインショップ Market Kurly(마켓컬리)を経営するキム・スラ(김슬아、英語名:Sophie Kim)氏は、人々がもっと食料品をオンラインで購入するようになればと考えている。

Market Kurly は言わば AmazonFresh の韓国版のようなものだ。Amazon は韓国には参入していない。

同スタートアップは、夜の11時前に発注された商品はすべて、翌日の朝7時までに届けることを約束している。それを売りに登録者数はたった18ヶ月で15万人にも増加した。顧客が1回の注文で費やす金額はおよそ50米ドルである。

Kim 氏は Tech in Asia に次のように語る。

(大規模なスーパーマーケットチェーン E-mart を運営している)Shinsegae(新世界百貨店、신세계 백화점)のような業界参入者はこのオンライン業界に早く入り込もうとしています。ですが、事業をオフラインで開始し非常に長い間そのスタイルで続けてきたため、彼らの持つインフラやノウハウはすべて、オフラインのショッピング経験に焦点が当てられています。

bulgogi via Flickr by stu_spivack
bulgogi via Flickr by stu_spivack

そのため、彼らの「オンライン」ビジネスは主に、買い物客がいる場所に最も近いオフラインの店からの商品を顧客に配達するという形をとっています。

そのようなシステムを採用しているため、商品によっては一部の店で入手できなかったり、配達時間が遅れて時間通りに確実に配達できなかったりということが起こり得ます。これは消費者には大変不便です。

新鮮な商品を提供

コンサルティングや投資関連の企業数社での幅広い経験をもつ Kim 氏は、Market Kurly が全行程を完全にまかなうことでこういった事態を回避している。つまり、野菜、パン類、その他食材一切を供給する特定のサプライヤーの選定、在庫管理、ウェブサイト用の手の込んだ写真の撮影、そして配達すら自社で手がけているのだ。

コストがかかりリスクも伴うやり方ではあったが、彼女はそれらを一括して行うことでより迅速な対応としっかりとした食品の品質管理を提供し、数十億ドル規模の Coupang(쿠팡)といった主要な国内 e コマースサイトからの差別化を図っている。つまりこれはマーケットプレイスではなく、彼女が問題視しているタスクをまとめてこなすワンストップサービスなのだ。

彼らはワンストップのショッピングや配達サービスを提供していませんが、真の食料品ショッピング経験を提供するのであればそういったことは必須要素だと思います。全行程を所有し管理することが唯一の方法だと私たちは信じています。

The startup’s soy milk. Photo credit: Market Kurly’s Facebook.
Market Kurly の豆乳
Photo credit: Market Kurly の Facebook ページ

同社は最近シリーズ B ラウンドで資金(170億ウォン=約16.8億円)を確保したばかりで、会社の成長に向けてこれまでに2,000万米ドル(調達時の換算レートによるが、約20〜22億円相当)を調達している。出資したのは Capstone Partners(캡스톤파트너스)、DS Asset Management、DSC Investment(DSC 인베스트먼트)、IBK 企業銀行(기업은행)、Korea Investment Partners(한국투자파트너스)、LB Investment(LB인베스트먼트)、UTC Investment(유티씨인베스트먼트)、Translink(트랜스링크)などだ。

現在はジャム、パスタソース、ツナ缶など非生鮮食品や缶詰の取り扱いはあります。ですが今後は非生鮮食品や常温保存食品だけでなく、単身者世帯や少人数世帯の急速な増加をふまえ、家庭料理やインスタント食品といった他のカテゴリーも拡大していくことに非常に重点を置いています。

さらに、今後は牛乳、パン、スパイスなど Kurly ブランドの商品を拡大していく予定だ。また、現在進行中の手作りチーズプロジェクトのように、地元の食料生産者との協力関係も強化していく。

現在、提供する食料品をスタッフがテストしたり試食したりする際に使用したキッチン用品や備品も商品として追加している。

私たちは最終的には、食を中心とした真の「ライフスタイルキュレーター」になれるようサービスを育てたいと考えています。ですから、私たちが提供する食料品をお客様に最大限楽しんでもらうために、トースターやコーヒーグラインダー、調理器具といった食に関連のある商品をキュレートするのは自然な流れにすぎないととらえています。

私が取り扱ってほしい商品はというと、手作りプルコギだ。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

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