今回の投稿は、本シリーズ「Discover Korea’s Tech(韓国のテックスタートアップを探る)」の第5弾である。数々の巨大企業が牛耳っていることで有名な韓国経済の中、自身が持つテクノロジーによって自立した韓国のスタートアップ起業家たちに話を聞いていく予定だ。数ヶ月に渡って彼らを追うこの企画を楽しみにしてほしい。@technodechina からシリーズ最新のストーリーをチェックできる。
人工知能(AI)が消費者市場でますますトラクションを獲得しつつある中、中国では今年初めにすでにホームロボットが何種類か登場した。そして今、韓国を拠点とする Innovative Play Lab(아이피엘) が、強力な AI のおかげで他社を超える知能をもつロボットを開発したという。
IPL が独自開発した AI を搭載した iJINi は声や顔を認識できる。10年におよびロボット開発に従事している IPL の設立者兼 CEO の Kyungwook Kim(김경욱)氏は、ハードウェアインターフェースはまもなくタッチ操作ではなく音声認識に基づくものになるだろうと考えている。
iJINi は、対面式の通話や不在時の家の監視が可能だ。また赤ちゃんの寝返りを認識したり泣いた時に両親に通知したりと、赤ちゃんの世話を手伝うこともできる。ペアリングしたモバイルアプリに接続し、データはすべてクラウドで処理される。2016年7月には、プロダクトデザイン部門でレッド・ドット賞を獲得している。
IPL は先週(11月第3週)、中国を拠点とする ROOBO との160億韓国ウォン(1,340万米ドル)相当の販売契約を発表した。ROOBO は以前、IPL に対して220万米ドルの投資を行っている。
IPL がロボットシステムの設計と開発を担当し、ROOBO がロボットの販売と中国国内における AI サービスを担当する。ROOBO はまた、iJINi への O2O サービスの接続も予定しており、所有者は iJINi 経由で食べ物を注文したりタクシーを呼んだりすることができるようになる。同ロボットは来年初頭までに中国、タイ、韓国で発売される予定だ。
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IPL は、ロボティクス向けに最適化された Android バージョンを開発した。ロボティクスの開発者向けにツールセットを提供し、ロボットに加えコンテンツの開発を助けることが目的だ。IPL によると、このロボティクス API 開発ツールは近くローンチ予定だという。最終的に目指すのは、ロボット向けコンテンツエコシステムを提供するプラットフォームを構築することにある。
iJINi の主な競合は、アメリカ発の Jibo と、フランスの Blue Frog Robotics が開発した家族向けのコンパニオンロボット Buddy だ。
だが IPL は、同社のクラウド AI がもつ適応性と拡張性で競争優位を確立できると見込んでいる。
AI ロボットは、AI クラウドと、提供するサービスと互換性があるハードウェアプラットフォームを必要とします。弊社プラットフォームは他の AI プラットフォームと互換性があります。(Kim 氏)
ソーシャルロボットを専門とする同社は家電市場をターゲットとし、スマートホームロボットの構築を目指している。
今のところ、人々はロボティクスの必要性をあまり感じていません。だからこそ家電市場をターゲットとしているのです。弊社は音声インターフェースを利用して情報をロボットに伝達したいと考えています。ロボットを他の IoT とつなぎ、ユーザが他の家電を音声で管理できるようにすることを目指しています。(Kim 氏)
IPL は韓国・未来創造科学部傘下の K-ICT Born2Global Center の支援を受けている。
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