スタートアップに求められるストーリーテリングの力〜京都・Monozukuri Hub Meetupから【ゲスト寄稿】

by ゲストライター ゲストライター on 2016.12.24

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Joey Ho Nihei 氏

本稿は、「Monozukuri Hub Meetup」を主宰する Makers Boot Camp のボランティア・サポーターで、シンガポール国立大学(国際学部)の学生である Joey Ho Nihei 氏による寄稿を翻訳したものである。オリジナルはこちら

Makers Boot Camp は京都を拠点とするハードウェアに特化したスタートアップアクセラレータである。

本稿における写真は、写真家の逢坂憲吾氏による撮影。


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Makers Bootcamp は、日本を代表するハードウェア・アクセラレータで、大成功している Monozukuri Hub Meetup のオーガナイザーでもある。このミートアップは、国境を超えたコラボレーションや情報交換のプラットフォームとして機能することで、maker のコミュニティを構築し、支援し、鼓舞することを目的としている。

「The Power of Storytelling(ストーリーテリングの力)」と題された、2016年の Monozukuri Hub Meetup の直近の回では、Makers Bootcamp はテック業界で最も旬なストーリーテラー、投資家、スタートアップの起業家を集め、スタートアップにとって説得力のあるストーリーの築き方や生かし方について洞察を共有した。

今回のミートアップでは、スタートアップにとって、投資家の最初の関心の惹き方からスタートアップの価値の消費者への伝え方まで、それぞれの方法において、どれだけパワフルで効果的なストリーテリングが典型的かというテーマが取り上げられた。端的に言えば、ストリーテリングは、スタートアップが投資を勝ち取るだけでなく生き残る上で、必ず持っていなければならないパワフルなツールだ。

この夜のプレゼンテーションでは、ストーリーコンサルタント、投資家、スタートアップの3つの主な視点が披露された。互いに近い関係ながらも異なる視点からストリーテリングの進め方を見られたのは素晴らしかった。

Makers Bootcamp の Sabrina Sasaki 氏によって、この夜のセッションが開始された。彼女は、ストーリーテリングの技術とスタートアップの成長にとっての重要性を紹介し、その後のプレゼンテーションで起こるであろうマジックに向けて、参加者達をウォームアップした。彼女は(筆者を含め)ストーリーテリングの技術に慣れていない人たちに、簡単なプレゼンテーションをしてくれた。彼女がプレゼンテーションで伝えた重要なメッセージの一つは、スタートアップのマーケティングにおいてストーリーが重要な役割を果たし、革新的な製品を作るのと同じくらい重要ではないかということだった。

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Storymaker のマネージングパートナー Björn Eichstädt 氏

最初に登壇した Storymaker の Björn Eichstädt 氏は、ストーリー指向のコミュニケーションコンサルティング、PR、デジタルコミュニケーション会社の経営を通じた膨大な経験から得たエピソードを共有し、コンサルタントとしての視点を提示した。 彼は、多くの情報が絶えず押し寄せてくる世界において、企業のアイデンティティと価値や伝えるパワフルなストーリーが重要視されていること、また(トレンドを追うのではなく)独創性こそが唯一の真の方法であると語った。

聴衆に特別な印象を与えた言葉は、彼がストーリーを日本の出汁になぞらえたものだった。

ストーリーは出汁のようなものだ。出汁は適切な食材でのみ作ることができるが、それは実にさまざまな形で表現できる。もし顧客やメディアがそれを好きになれば、それを再び思い出してくれるだろう。

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500 Startups Japan 代表 James Riney 氏

Eichstädt 氏に続いて登壇した 500 Startups Japan 代表の James Riney 氏は、ストーリーテリングに対する投資家の視点を共有してくれた。投資家が起業家のピッチを聞くとき、何を見ているかというものだ。

彼が常に重視してきた主なテーマは、投資家にプレゼンテーションするわずかな時間の中で、起業家のアイデアや価値観、そして信頼と自信を得る必要を示す際に、表現をシンプルにするということだ。これを行う最善の方法は、トラクション、チーム、ターゲット市場、メディアによる報道、または、投資家や資金を切望していることのいずれかについて、そのスタートアップの強みを強調することだ、と彼はアドバイスした。

簡単に言えば、起業家に求められるのは「なぜこれなのか? なぜ今なのか? そして、なぜあなたなのか?」を単純簡潔に話すこと。彼はまた、スタートアップが資金調達を求めるときに、いくら必要か、何に使うのか、その金額でどのくらいもちそうかなど、物事をシンプルに伝えることの重要性を強調した。

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プレゼンテーションの後半では、中西敦士氏と高瀬昇太氏がそれぞれ、DFree と Blincam のストーリーを共有してくれた。彼らのストーリーは、スタートアップを前進させる上でパワフルなストーリーを効果的に活用する方法の、生きた証と言えるだろう。

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DFree CEO 中西敦士氏

DFree CEO の中西敦士氏は、以前、パンツを履いたままウンコを漏らしたことがある。彼は世界中にこの話をするのを恥ずかしがらない。この事実こそ、超音波を使って身体の変化を検知しトイレのタイミングを予測することで、人間の尊厳を守る世界初のウエアラブルデバイスの開発につながったことに他ならないからだ。「誰もパンツを汚さなくていい世界を作る」という彼のプロダクトのビジョンは、そのストーリーを披露する方法と同じく革新的だった。

彼は、聴衆に次の質問をすることから話を始めた。「パンツにウンコを漏らしたことのある人はいますか?」会場は、間違いなく大きな笑いに包まれる。

このような、恥ずかしいながらも個人的で親しみやすい話は、独創性や驚きの要素を重視するストーリーテリングで重要な要素であることが証明されている。プレゼンテーションを終えるにあたり、彼は DFree の将来像を共有した。それは、トイレのタイミング、食欲、生理周期、老化、そして人の寿命まで、すべてを予測することで、誰もが将来、生き方を大きく変えるというものだ。

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Blincam CEO 兼創業者 高瀬昇太氏

最後のプレゼンテーションに登壇したのは、Blincam のCEO 兼創業者の高瀬昇太氏だ。Blincam のストーリーは、Startup Weekend のセッションで偶然に始まり、高瀬氏の、家族の自然で美しい写真を撮りたいという強い欲望からから始まった。 Blincam の背後にある重要なインスピレーションは、高瀬氏の娘が写真を撮られていることを知ったときに、カメラでいつも面白い顔をするため、高瀬氏が自然な娘の写真を撮ることができないことだった。

多くの人々とビジョンから生まれた Blincam とが共有した、自分の子供たちの魅力的で美しい写真を撮りたいという願いこそ、Blincam が大事にしていたものだ。瞬きするだけで、自然な写真が撮影できるウエアラブルのハンズフリーカメラ。高瀬氏は、事業をガレージで事業を始めてから、Makuake で目標額の2,640%、さらに最近 Indiegogo で目標額の150% を達成するまでに至った道のりを一つずつ共有してくれた。

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このイベントでは役立つ知識に富んだストーリーが紹介され、テック業界の最も旬なストーリーテラーや聴衆(投資家)が参加していた。Makers Bootcamp は、参加者一人一人に改めて謝意を表したい。このミートアップが我々同様、皆さんにも役立つことを願って。近いうちに再びお会いしましょう。

すべてのスピーカーのプレゼンテーション・デッキや詳細な情報は、ここから参照することができる。

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