Ofo(小黄車)、Mobike(摩拜単車)、Xiaoming(小鳴単車)が繰り広げる三つ巴——上海バイクシェアリング戦争

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Image Credit: Mobike(摩拜単車)
Image Credit: Mobike(摩拜単車)

準備はできているだろうか。中国は以前自転車王国として知られていたが、いま自転車が復活の途上にある。自動車が急速に自転車に取って代わってきているが、ドックレスの自転車シェアリングビジネスには10以上のスタートアップがなだれ込んで来ている。激化する競争を投資家も支えてきたが、もっと重要な疑問は、どのスタートアップが良いサービスを提供してくれるか、ということだ。

TechNode(動点科技)はこの疑問を明らかにすべく、いくつかのサイクリングアプリを試してみることにした。筆者らが試したのは、Mobike(摩拜単車)、Ofo(小黄車)、Xiaoming Bike(小鳴単車)だ。これらを選んだ理由は上海の路上で最も多く見かけることと、鮮やかなカラーで簡単に見つけることができるからだ。オレンジと白の Mobike、黄色の Ofo、青の Xiaoming Bike といった具合だ。

Image Credit: Emma Lee
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登録

3つのアプリはすべて実名での登録と電話番号、身分証明書、デポジットが必要だ。ただしデポジットはそれぞれ異なり、Mobike が299人民元(43米ドル)、Xiaoming Bike が199人民元(29米ドル)、Ofo が99人民元(14米ドル)となっている。デポジットの違いは主に、各社が自転車レンタル料金に異なる額を設定していることによる。しかし、これらのデポジットは返金保証付きで、WeChat や Alipay ユーザにとってはこのプロセスは非常にスムーズである。

Image Credit: Emma Lee
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価格についていえば、Xiaoming Bike の勝利だ。上海では、Xiaoming Bike は30分0.5人民元である。さらに、友達を一人招待するごとに0.1人民元が値引きされ、最安値では30分0.1人民元となる。Ofo はほぼ同価格(ただし値引きなし)の1時間1人民元で、学生には1時間0.5人民元の割引価格を提供している。Mobike が最も高価で、レギュラー Mobike が30分1人民元だ。Mobike Lite は少し安くなっており、30分0.5人民元である。

このような低価格、かつ価格差も少ない状況では、このビジネスの勝者を決めるのはユーザ体験がすべてとなるだろう。

自転車を見つけて解錠するまで

自転車を見つける方法は3社それぞれで最も異なっているところだ。Didi や Uber のように GPS が使える Mobike と Xiaoming Bike は地図上で自転車を見つけることができ、自転車の正確な位置までナビゲートしてくれる。ユーザは実際に自転車を借りる時間の、Mobike なら15分前、Xiaoming Bike なら20分前に予約することができるので、すぐに使いたい人にとっても便利になっている。

Image Credit: Emma Lee
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Mobike の自転車にはハンドルバーと後部に QR コードがついている。いずれかをスキャンすることでロックが外れる仕組みだ。Xiaoming Bike では似たような QR コードでの解錠に加えて Bluetooth での解錠も可能で、QR コードが剥がれていたり見えない位置にあったりする場合に便利だ。Mobike によれば、最新のアップデートで同社も Bluetooth 機能を追加するという。

すべてうまくいけば、Mobike や Xiaoming Bike を見つけることはとても簡単だろう。しかし注意しておきたいのは、実際の状況は複雑で、時にどうしようもないということだ。

Ofo はきわめて普通の自転車を使っているが、GPS の装備はなく、地図上で自転車の位置を表示することはできない。アプリが表示できるのは周辺にある自転車のおよその台数だけだ。これは深刻な設計上のミスと思われる。というのもユーザは、目の前に Ofo の自転車がある時にしか Ofo を利用しないだろうからだ。Ofo が用いるのはローテクなダイヤルロックだ。しかし、WeChat から直接利用できる唯一のプラットフォームという点で、これらの欠点を埋め合わせている。

Image Credit: Emma Lee
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Mobike は年末までに上海に10万台以上の自転車を導入する計画だと、設立者で CEO の Davis Wang(王曉峰)氏は10月にローカルメディアに語っている。Ofo の公式ウェブサイトによれば、同社は中国に20万台以上を保有しており、上海には2万台が走っているという。Xiaoming Bike のチームは、年末までに上海と広州に40万台を保有する予定だと明らかにした

これらの数字は筆者らの実体験とも合致している。Mobike は最も広範囲でみられ、徐家匯といったダウンタウンだけでなく嘉定、青浦、松江といった郊外もカバーしていた。Ofo と Xiaoming Bike は急速に拡大しているが、上海中心部を出ると見かけることはめったになかった。

サイクリング体験

Mobike はファッショナブルでクールなデザインで知られている。同社オリジナルのオレンジの自転車は頑丈で丁寧に組み立てられているが、走るには相当な労力を要する。上り坂で走らせるのは簡単ではない。それもそのはず、重量はなんと25kg、一般的な自転車の2倍の重さなのだ。17kg の Lite 版はずっと楽に乗れる。Xiaoming Bike は16kg で、スムーズなサイクリングが可能だ。調整可能なシートは大きな利点だろう。しかしサイクリングについていえば、軽量なフレームの Ofo が筆者らのお気に入りだった。

最寄り駅から数キロメートル以上のところに住んでいるのなら、バイクシェアリングは徒歩の良い代替手段となるだろう。しかし、上海の中心地域に住んでいない人にとっては当面は Mobike が唯一の選択肢になる。Mobike Lite を見かけたらラッキーだろう。ダウンタウン地域での長距離移動には、ペダルをこぐのがはるかに楽で、1時間単位課金の Ofo がベストチョイスだ。友人がたくさんいるなら Xiaoming Bike を選ぼう。4人招待して大幅ディスカウントを実現するのは難しくない。

バイクシェアリング市場は競争がより激しくなっていくだろう。これら企業は他社を先行するためにさらにペダルをこぐ必要がある。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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