成田空港で無料 SIM を受取、そのままタクシーを呼んで観光を楽しめる訪日外国人向けアプリ WAmazing、ネット業界のベテランたちが創業

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2017.1.26

国内のインバウンド系スタートアップに本命出現と言っていいだろう。

訪日外国人向けに無料 SIM を配布し観光サービスを提供する WAmazing は1月26日、アプリの提供開始を発表した。WAmazing はスマートフォンを中心とするモバイル通信 SIM と観光案内アプリ、予約案内などがセットになったサービス。

今後、2020年に4000万人を見込んでいる訪日外国人をターゲットにしたもので、サービスを利用したい訪日外国人客はまず自国でアプリをダウンロードし、個人情報や滞在期間、クレジットカードなどの決済情報を入力して QR コードを取得しておく。

訪日した際、成田空港第1・第2・第3ターミナルビルの国際旅客到着口付近に4台設置される「デジタルサイネージ付き無料 SIM カード受取機」で QR コードを読み取り、SIM カードを受け取れば利用ができるようになる。この際に提供される SIM カードを手持ちのスマホにセットすれば、5日間で500MB までモバイル通信を無料で利用することができる。初期費用なども必要ない。

WAmazing アプリを立ち上げれば、追加のモバイル通信を購入できるほか、各種観光情報を閲覧してその場で予約や購入をすることができる。また、同サービスはタクシー配車にも対応しており、アプリから場所を指定することで東京都内を走る1万2000台のタクシーをその場から配車可能。販売する観光アクティビティと組み合わせ、訪日外国人客が朝にホテルから購入したレジャーの現地まで配車したタクシーで向かう、などという使い方が想定されている。

ということでなかなか盛り沢山のお披露目だ。注目したいポイントを整理すると次のようなことになるだろうか。

  • SIM カード受取機が成田空港に設置されている
  • 訪日客の決済情報を先に押さえる設計
  • 独自のタクシー配車サービスと観光コンシェルジュ的サービス展開

訪日外国人に向けた観光や買い物などのインバウンド需要は、オリンピックイヤーの2020年までに4000万人という政府目標の数字が掲げられており、その消費額は2015年の倍になる8兆円と試算されている。

一方で課題も明確で、国内で整備が遅れている Wifi 環境などの無償通信インフラ、言語問題に起因する移動などがよく聞こえてくる問題だ。以前にもこういった課題を解決しようということで同様のサービスを提供する Bridge というスタートアップをご紹介した。しかし WAmazing はさらに広範囲をカバーしている印象だった。

同社はじゃらんnet やホットペッパーグルメなどの立ち上げや、地域観光の活性化プロジェクト「マジ☆部」などを展開してきた加藤史子さんを中心に、はてな、クックパッドで活躍した舘野祐一氏らが集まって2016年7月に創業。リクルート時代に運営してきた「マジ☆部」などの運営を手がける一方で、今回発表となったインバウンド事業を開始した「大人系」スタートアップだ。

例えば今回、WAmazing が提供する観光情報についてどこから提供を受けているのかとたずねたところ特に別サービスと連携しているわけではなく、自前で用意しているということだった。この辺りも土地勘がなければなかなかすぐには準備が難しい。

また、タクシー配車についても既存サービスとの連携と思いきや、一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会の持つシステムと API 連携して独自に開発。前述の通り都内1万2000社の配車に成功している。少し細かいが、WAmazing アプリから配車するとネットワークされているタクシーやハイヤーの車載器に WAmazing からの注文が表示され、海外客が利用する場合のオペレーションが組まれているという。

こういった細部に立ち上げ段階から手を入れているあたり、相当サービスレベルを高いところに持ってきている印象がある。もちろんまだサービスインする前ということで例えば管理画面がまだ開発途上だったりと、これからの部分も多いのだが。

観光や訪日外国人対応には関係する業界やシステムが複雑に絡み合うため、相当の交渉力を要する場面が出てきそうなだけに彼女たちの布陣は安心感が持てるのだろう。実際、成田空港に設置された受取機は空港側との協力事業ということで無償で置かせてもらっているそうだ。なお、SIM カードは Bridge のものと同様でインフラはソラコム(ドコモ回線)を利用する。

加藤さんの話では、初期のターゲティングとして台湾や香港に居住する訪日旅行者を中心にマーケティングを展開し、2020年の段階で8人に1人、つまり500万人が利用するプラットフォームにするのが現段階の目標という。

まだ自己資本100%で運営しているという WAmazing。これからの成長戦略や、開発陣についてもクックパッドで CTO を務めた舘野氏らが参加していることからその方針などについても興味が湧く。

実際にサービスが稼働してある程度数字が揃った段階でまたその辺りについても聞きたいと思う。

ニュースレターの購読について

毎日掲載される記事の更新情報やイベントに関する情報をお届けします!

----------[AD]----------

ニュースレターの購読について

毎日掲載される記事の更新情報やイベントに関する情報をお届けします!

----------[AD]----------