スタートアップが、お金をほとんどかけずに社員に与えられるインセンティブ12選【ゲスト寄稿】

ゲストライター by ゲストライター on 2017.2.15

mark-bivens_portrait本稿は、パリと東京を拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens によるものだ。英語によるオリジナル原稿は、THE BRIDGE 英語版に掲載している。(過去の寄稿

This guest post is authored by Paris- / Tokyo-based venture capitalist Mark Bivens. The original English article is available here on The Bridge English edition.


CC BY 2.0: Via Flickr by Chris Potter

私はシリコンバレーがもはや技術革新を独占していないことを説きたい。過去数十年にわたり、世界中でスタートアップエコシステムが登場し、市場を劇的に変化させるようなイノベーションを生み出した。

しかしある分野では、これらのコミュニティのいくつか(全部ではないにせよ、多く)が、北米に端を発する暗黒時代のままである。それは従業員のインセンティブ管理だ。

私のブログの読者は、私の何度も繰り返している不満の一つが、フランスのスタートアップのステイクホルダーにエクイティを付与するのが規制の制約上難しいということだと知っているだろう。しかしながら、フランスだけが悪いというわけではない。例えば、オランダ政府は、スタートアップでのストックオプション付与を、そのしくみが意味のないもので財政的に寄与しないものにしてきた。

しかし、不平を言う前に、私は、ヨーロッパ全土のベンチャー支援を受けたスタートアップに、非金銭的なインセンティブを作リ出す上で、長年にわたって学んだ教訓の一部を広めることを約束してきた。これらの教訓の多くは、ヨーロッパに限らず、あらゆる場所のイノベーターに適用可能だ。

個人的な話

個人的な話をする前に、ちょっと寄り道をしよう。私は電気工学の学位を取得した大学を初めて卒業したとき、よくいる無力な22歳の学生と同じく、私はどのキャリアを追求すべきかわからなかった。ただ、私は生活のためだけの電気技術者になりたくないことを知っていた。90年代は、何をすべきかをわからないフレッシュマンにとって、デフォルトのキャリア・ステップがコンサルティング業だった時代だ。

経営コンサルタントが実際に何をするのかを本当には理解していないにもかかわらず、私は奇跡的にも有名コンサルティングファームからの多くの求人情報を受け取り、自分一番合っていそうなものに加わることに決めた。この世界的に有名な会社に悪気は無いが、私は最初の就職から3ヶ月経たずに、コンサルティングが自分に最適な職種ではないことに気付いた。

私は、(平日夜は余裕が無かったので)週末を使って、以前のクラスメイトとともにビジネスアイデアをブレーンストーミングし始めた。これらのセッションから得た前向きなエネルギーは、私の日中の仕事とはまったく対照的だった。私は予期していた通り仕事を辞めようしていたとき、雇用主は私にジェダイのような心理操作を仕掛け、私の勢いを完全に変えてしまった。

賞の授与

そのコンサルティングファームのパートナーたちは、クライアントのエンゲージメントについて、多大な努力で貢献したとして私を表彰したのだ。それは賞金を伴わないガラスのトロフィーだったが、私の名前と「特別な目標達成者(extraordinary achiever)」という言葉が書かれた盾をもらった。

これでもうお分かりだろう。この方法は使える。このガラストロフィー(中国でおそらく数ドルで製作したもの)は、私の会社に対するモチベーションと忠誠心を、さらにもう一年与えることになった。さらにすごいのは、私はオフィス全員から拍手される舞台で、四半期の全社会議でこの賞を授与されたことだ。このイベントは、これまでに得たボーナスや賞金よりも、私に大きな刺激を与えた。そのときのことを振り返るだけでも、いまだにそのとき感じた高揚感を思い出すことができる。

人間心理学をもとにしたこのような見せ方のように、本稿を読むすべての企業ビルダーの創造性を刺激する精神に基づいて、スタートアップの持つ限られた予算の中で、社員を魅了し、動機づけ、維持するためのアイデアをいくつか紹介したい。

あなたのチームを動機づけるための、費用対効果の高いアイデア12選

  1. 賞を与えよう。会社全体に見える方法でのパフォーマンスを意識する。賞は、安価なトロフィー、テニスの全仏オープンやサッカーのスタッド・ド・フランスのチケット、ミシュランのレストランバウチャーなどがよいだろう。
  2. 社内でコンペティションを開催しよう。たとえば、会社の新しい収益ラインを生み出すことを目的として、複数の役割を持つ社員でチーム(営業担当者1名、開発者1名、デザイナー1名)を構成し、8週間の社内ハッカソンを実施するのだ。チームは、ハッカソンの期間の終わりに、全社員の前で創作物を発表する。チームがコラボレーションできるよう、毎週金曜日の朝の1時間を社内のための時間に割り当てる。自尊心と自我によって、おそらくチームは、社外での時間外にもプロジェクトに取り組むようになるだろう。優勝チームは賞金を受け取るが、本当の勝者は会社である。
  3. スターパフォーマーを、時々、経営会議に招いてみよう(これを楽しむことができて、威圧感を感じない社員向け)。
  4. 仕事のやり方に、大きな柔軟性を与えよう。社員が働きたい時間に働きたい場所で働けるようにする。オフィスにいる時間ではなく、成果物で測るようにする。
  5. 社員が楽しい時間を過ごせる、心温まるファジーなオフィス環境を作ろう。社員に自分のデスクを飾ってもらうようにし、月に一度はオンデマンド・シェフサービスの La Belle Assiette などからの無料ケータリングを提供する(社員がベルギーフランスドイツイギリスにいるときは、私は40ユーロ分のバウチャーを渡すようにしている)。あるいは(パリにできた新しいスタートアップ・キャンパスの)Station F のような場所に引っ越すといい。最近訪ねたあるオフィスでは、クールだと思っていたオンデマンドの床屋をサイドルームに呼んで、散髪サービスを社員に提供していた。
  6. 半年に一度は、休暇中のシリコンバレーの人をビジティングスピーカーに招いたり、開発者を招いて Rails の最新技術について語ったり、スタッフに興味のありそうな人を招いたりしよう。
  7. 創造力を働かせて肩書きを決めよう。肩書きは会社にはほとんど負担は無いが、社員には計り知れない目に見える価値をもたらすことができる。
  8. 従業員に最新の iPhone を提供しよう。肩書きと同様に、見に見える価値と無料のスマートフォンのコストの間には裁定機会が存在する。
  9. ワインテイスティングへの外出、農家訪問、カヤック旅行など定期的に開催すれは、遠隔地での戦略ブレーンストーミングをするよい機会となる。誰もが議論に貢献することが重要だ。その日は、会社でのヒエラルキーを忘れることができるだろう。
  10. 社員に力を与えよう。彼らに自主性と、まわりを気にせず失敗できる力を与えよう。可能な限り、彼らが予算を一定の限度まで管理できるようにしよう。
  11. 自社のビジネスが直面している機会や課題について、可能な限りオープンに話し合ってみよう。Twitter や Medium の創業者 Evan Williams 氏は、彼に対して忠実な社員たちによって頻繁に賞賛されている。社員を何もわからない状態に置くことは、彼らがパフォーマンスを発揮できなくしてしまう。
  12. 社員たちが、自分は何か大きなものの一部であることを感じられるようにしよう。彼らを公僕のように扱えば、あなたのスタートアップは政府機関のようになって行き詰まってしまうだろう。

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