Facebook、インドで深刻な「女性問題」を抱える

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Image credit: Pixabay

昨日(1月26日)はインドの共和国記念日だった。私たちは現代的で進歩的な民主社会を誇りに思っている。しかし真実を言うと、世界でもっとも抑圧的ないくつかの地域に劣らず、インドは男女間の不平等が大きい。

毎日 Facebook でチャットしていれば明らかであるにもかかわらず、私たちは呑気にもそのことに気づかずにいる。あるいは気にしていないのかもしれない。インドでは Facebook ユーザの4分の3以上が男性である。インターネットやソーシャルメディアが新時代を解放しているというのなら、インドの女性にはそれがまだ到来していないのは明らかだ。

インドのFacebookユーザは18~24歳が最も多く、男性は女性の3倍となっている
Source: We Are Social and Hootsuite.
インドには1億9,100万人のFacebookユーザがいるが、女性はその4分の1に満たない
Source: We Are Social and Hootsuite.

その上、インターネットやソーシャルメディアは始まったばかりというわけでもない。インドのインターネット利用者は、中国に次ぐ4億6,200万人にのぼり、Facebook ユーザも米国に次いで1億9,100万人におよぶ。この Facebook ユーザ1億9,100万人のうち、女性はたったの24%に過ぎないということについて、じっくりと考えてみたことはあるだろうか?ソーシャルメディアマーケティング会社の We Are SocialHootsuite がまとめた最新データによると、世界的な Facebook の利用者比率は男性が56%、女性が44%だという。

世界的には、Facebookの女性ユーザは44%にのぼるが、インドでは24%にとどまっている
Source: We Are Social and Hootsuite.

この格差は、インドの女性の多くが主婦であり、専門的な職にも就いていないというだけでは説明できないほど巨大だ。Facebook ユーザの大部分は大学に通う18歳から24歳の年齢層が占めている。

つまり、もっと致命的な何かが背景にあるということだ。より高度な学問に従事する女性は少なく、特に工学系の大学においてはその兆候が強い。また男性の方がスマートフォンを手にしやすい。インドの厳格な家庭は、娘に男性とおしゃべりしてほしくないという理由で女性にスマートフォンを与えないことで知られる。昨年、インド西部のグジャラート州と北部のウッタル・プラデーシュ州では、町議会が独身女性の携帯電話使用を禁止するという恥ずべき決定を下している。

しかし差別が見られるのは地方だけではない。農村ほど明白ではないにしろ、性差別はインド都市部にも広がっている。差別は学校で早くから始まり、女性はソフトスキルを選択するよう奨励される。引き続き大学でも、数学で男性より優秀な成績を収めているにも関わらず、若い女性は文系の道へ進む。そして極め付けに、輝かしいスタートアップハブの世界では、はっきりとその兆候が示されている。

男社会

ある業界報告書によると、インドにおける技術職の労働人口のうち、女性が占める割合は30%に満たないという。昨年インドで設立された1,010社のスタートアップのうち、女性が設立した会社は10%以下だった。最近バンガロールで開催された Tech in Asia による BHive SheTalks のミートアップでは、男性が支配するこの分野で遭遇した様々な性差別について、女性設立者たちが語っている。

こういった状況からすると、インターネットやソーシャルメディアの使用にも男女不平等が反映されているのは当然といえよう。インドでもっとも人気のあるソーシャルメディアプラットフォームは Facebook と YouTube だ。首都ニューデリーは、Facebook がもっとも利用されている上位10都市に入っている。

Facebook の広報担当者は次のように指摘する。

世界的に見ると、40億近くの人がインターネットにアクセスできません。その多くが女性です。

Facebook 利用者のジェンダーバランスがもっとも取れていないのは、イエメン、アフガニスタン、スーダンといった国だが、インドもこういった国と大差ない。もっともうまくバランスが取れているのは、ヨーロッパ北部や東部の国々で、エストニアなどは男性よりも女性の Facebook 利用者の方が多い。

インドの女性のうち Facebook を利用する女性は4分の1未満に過ぎないが、大手ブランドもこの影響を大きく受けている。インターネットを使って女性に商品を売り込みたければ、Facebook では難しいだろう。収益の97.2%を広告であげるザッカーバーグ氏率いるソーシャルネットワークにとって、これは良くない知らせだ。

男女数の不均衡と Facebook の広告ビジネスに対するその影響について聞かれ、Facebook の広報担当者は次のように答えている。

インターネットは女性の声となり、人に訴えることを可能にします。ですから私たちは、様々なイニシアチブを通して女性をネットワークにつなぐことに力をそそいでいます。この格差をうめるにはマルチステークホルダー的な努力が必要となります。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

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