Paytm、Snapdealとの合併はあるのか?

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Image credit: Pixabay

インドの e コマース業界では再編の機運が高まりつつあるのか?最近のレポートを信用するとすれば、インドのオンライン小売業界ではまもなく合併・買収が行われることになるだろう。

最新のレポートでは、今年1月、オンライン小売業界の大手2社、Paytm と Snapdeal が合併協議を行ったとされている。The Economic Times の報道によると、この協議のきっかけを作ったのは、両社に多額の出資を行っている中国 e コマース大手 Alibaba だという。

この取引が成立すれば、Paytm 株の40%、Snapdeal 株の3%を保有する Alibaba が新会社の筆頭株主に浮上する。そうなると、インドの e コマース業界における2大プレイヤー、Flipkart と Amazon にとっては厄介な状況となりそうだ。

しかし、The Economic Times へ情報提供を行ったソースも、この取引が最終的に成立するかどうかは確認できていないとしている。

ノイダ(インド)を拠点とする One97 Communications が運営する Paytm は最近マーケットプレイス部門をスピンオフし、新たに Paytm E-commerce という企業を設けた。Paytm E-commerce は現在、2億5,000万米ドルの資金調達に向け Alibaba や他の投資家と交渉を行っている。この経緯を知る筋によると、Alibaba は Paytm と提携して e コマースプラットフォームを構築することで市場への正式な参入を模索しているようだ。Paytm はこれまでに Ant Financial、Mountain Capital、K2 Capital などから約8億米ドルの資金調達を行っている。

昨年の初め頃からインドの e コマース業界を取り巻く状況は複雑に絡み合っており、様々なプレイヤー同士の合併・買収協議に関する憶測が飛び交っている。

VCCircle は昨年8月、Snapdeal が Flipkart と Amazon India との合併に向けた事前協議を行っていると報じた。VCCircle がソースから得た情報よると、Snapdeal の共同設立者である Kunal Bahl 氏が Flipkart の最大投資家である Tiger Global の幹部らと会談し、合併について話し合ったという。しかし、この協議の進展について新たな情報は得られていない。

昨年2月、Alibaba が Flipkart の買収を計画しているとメディアに報じられた。しかし、Flipkart は過大評価されていると Alibaba 側が難色を示したため、協議はあまり進んでいない。それ以来、少数株主である Morgan Stanley は数回にわたって Flipkart の評価額を引き下げている。

数ヶ月後、Wal-Mart が Flipkart の少数株を取得しようとしていると Bloomberg が報じた。米小売大手の Wal-Mart もオンライン小売業界につながる一手を探しているのだろう。現時点では現行の FDI 規制により、Wal-Mart はオンライン小売部門を新設することができない。

インドにおける e コマースは最近大幅な成長を遂げているが、中国や米国に比べその普及率はまだ低い。インド国内で生じる売上全体のうち、オンライン小売が占める割合は依然として1桁か、もしくは2桁であっても低い数字である。Flipkart、Amazon、Paytm、Snapdeal など、市場における既存のプレイヤーのすべてがこの小さなパイの分け前を探し求めている。驚くべきことに、これらの企業のいずれも収益性を確保できていない。投資の大部分が新規顧客獲得コストに向かうからだ。

Flipkart と Amazon が持つ e コマース市場におけるシェアを合わせると70%に達する。両社はナンバーワンの座をめぐり、火花を散らしている。2008年設立の Flipkart は、リターンを求める投資家達からの厳しいプレッシャーを受けている。一方、Flipkart よりも4年ほど後に市場に参入した Amazon にはビジネスを成長させるための十分な時間がある。Amazon はシステマチックな運営手法や消費者中心のアプローチを通じて、短期間のうちに手強いプレイヤーになった。

この e コマース市場における激しい戦いによって、最も打撃を受けたのは Snapdeal だ。デリーに本社を置く Snapdeal はかつて Flipkart に次ぐ第2位の地位を誇っていた。ところが、Amazon の参入でかなりの市場シェアを失った。さらに e コマース市場への投資が減速したことと相まって深刻な危機に陥り、資金を確保することができていない。したがって、Snapdeal が市場で生き残るためには、合併・買収にちょうど良い同盟相手を探すほかにない。同社は今後数ヶ月で従業員約200人の解雇を予定しているとの報道もある。

Snapdeal は、Alibaba のほかにも SoftBank、Foxconn、eBay、Intel Capital などの投資家から現在までに15億米ドルを調達している。

一方、Paytm は2008年の設立以来、着実に事業を成長させてきた。インドのナレンドラ・モディ首相が昨年11月に発表した高額通貨の流通停止は Paytm のカンフル剤となった。市場における現金不足と現金引き出しに上限が設けられたことが Paytm にとって有利に働き、それ以来顧客ベースは大幅に拡大している。

ライバル企業 Amazon のプレッシャーに耐えかね、Flipkart の共同設立者である Sachin Bansal 氏は、海外ベンチャーキャピタルによる「キャピタル・ダンピング」に反対を表明し、政府にインド国内のスタートアップを保護する政策を策定するよう促した。彼の要求は業界中の反感を招いた。

これらのことが示すのは、インドの e コマース業界における戦争の準備が整ったということだ。 業界全体が e コマースプレイヤー達の動きを注意深く見守っている。最終的にこの市場で生き残る企業は1、2社だろう。 最後に笑うのは誰だ?

いずれわかることだろう。

【via e27】 @E27co

【原文】

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