目指すはAlipay(支付宝)、インドのPaytmが9,000万米ドルを投じQRコードネットワークを拡大

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Photo credit: Paytm 設立者 Vijay Shekhar Sharma 氏の Twitter より

インド最大のデジタルウォレット「Paytm」は、8,960万米ドルを費やし、インド中の小売店で QR コードを用いたデジタル決済を利用可能にする予定だ。

QR コード(クイックレスポンスコード)は、携帯電話のカメラでスキャンすることでアカウント情報などの詳細な情報を送受信できるデジタルタグだ。 たとえば、WhatsApp の Web 版では、ユーザがログインする際に QR の利用が求められる。しかし、このようないくつかの例を除き、インドでは QR コードはまだ一般的ではない。

中国では Alipay(支付宝)や WeChat(微信)などの企業が QR コードを非常にうまく利用している。たとえばユーザ間で支払いを割り勘にするときなど、QR コードを利用してユーザは他の Alipay メンバーに送金することができる。

オンライン決済サービスの Alipay を展開する Alibaba(阿里巴巴)とその系列会社 Ant Financial(螞蟻金融)は、両社とも Paytm の投資家である。なので、Paytm が彼らの戦略をお手本としていたとしても不思議ではない。また、Alibaba が Paytm を買収して自らインド市場に参入するか、もしくは、インドにおける別の投資先である Snapdeal と合併することに関心を持っている可能性があるとの噂が飛び交っている。いずれのシナリオでも、Paytm が市場シェアを獲得していく上で、デジタル決済を可能な限りシームレスにするために投資を行うことは理にかなっている。

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Paytm のシニア VP を務める Kiran Vasireddy 氏はこう語る。

2017年12月までに加盟店の数は1,000万店以上に達する見通しで、そうなれば、あとは世界最大の決済ネットワーク構築に向けてまっすぐ進んでいくだけです。

Paytm によると、同社の QR コードベースの決済ソリューションはすでに500万店以上の小売店で利用されており、取引全体の65%を占めているという。同社を大きく後押ししたのは、昨年末にインド政府が行った高額紙幣の廃止だ。

Paytm はここ数ヶ月間、デジタル決済ネットワークの構築に集中的に投資を行っている。また、11月には Paytm の設立者兼 CEO である Vijay Shekhar Sharma 氏も国中のカード保有者が感じているカード読み取り機の不便さを解消すべくモバイル POS をローンチした。このモバイル POS は、高額紙幣が廃止されたこともありますます重要になっている。

Paytm が開始したサービスでは、小売店側はアプリをインストールし、カード支払いを受け入れるオプションを選択するだけで、デビットカードまたはクレジットカードの情報を入力するウィンドウが開く。カード決済が利用できるウェブサイト上で行う手順とほとんど変わらない。顧客が Paytm ユーザでない場合でも利用可能だ。

Vijay 氏はこう語っている

これは、インドにおけるデジタル決済の民主化です。この国には現在、148万台のカード機器がありますが、今月末までには Paytm のモバイル POS ユーザは1,500万人になると予想しています。

先月、同社は規制当局の承認を得て「決済銀行」になった。決済銀行とは、貸付やクレジットカード発行はできないが、預金を取ることができる小規模な銀行のことである。

同社は月曜(2月20日)、人材の拡充と、初めてサービスを利用する小売店の教育に投資を行っているとコメントした。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

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