シンガポール政府、Airbnbの民泊に対する規制を強化するも代替サービス登場の可能性残る

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こうした物件は間もなくサイトから削除され、見納めとなるだろう
Image Credit: Airbnb

シンガポール政府は昨日(2月6日)、Airbnb 方式の短期住宅賃貸(いわゆる民泊)に対する規制を強化する法案を通過させた。

都市再開発庁(URA)が定める現行のガイドラインにおいても、6か月未満の賃貸について、住宅所有者がその住宅を貸し出すことは以前から禁止されている。この法律に違反した者は、20万シンガポールドル(14万1,400米ドル)の罰金か一年以下の実刑が課せられる。

新たな法律によって URA 職員の権限は強化され、違反が疑われる者に対して訪問または呼び出して尋問を行うことが認められるようになる。さらに、職員は違反に関する情報や資料を要求したり、現場で証拠となる映像を撮影したり、問題となっている住宅への強制的な立ち入りを行うことが可能となる。

URA はホームページでこのような声明を出している。

短期滞在のための住宅利用を認めてしまうと、入居者の入れ替わりが激しくなり、それに伴って迷惑行為が増加し、治安上の懸念が高まります。市民のほとんどは、近所に住んでいる人がどんな人なのかある程度は知っておきたいと思っています。

Airbnb 側は新たな法律が制定されたことに失望している、という内容の声明を Channel NewsAsia に送っている。

当社はホームシェアリングの信頼性向上に向けたフレームワークづくりのために、関連機関への協力を繰り返し行ってきました。URA がパブリック・コンサルテーションを始めてから約2年が経過しましたが、議論が前に進んでおらず非常に残念です。

シンガポールにおけるホスト(貸し出す側)の50%以上が主たる住居(普段生活をしている住居)を貸し出しています。Airbnb で自分の住宅を貸し出すことで、平均して年間5,000シンガポールドルの収入が得られます。多くのシンガポール人にとって、ローンや電気料金など日々の生活にかかる出費をまかなう上で、民泊がもたらす差は非常に大きいのです。

Lawrence Wong 国家開発相は昨年の国会で、違反行為に関して住宅所有者から URA に寄せられる苦情が60%増加していると報告している。どの程度 Airbnb のサービスに直接の原因があるかは不明だ。

住宅シェアリング・民泊サイトで住宅のリストを掲載することはまだ容認されており、将来的にも禁止されることはないだろう。だが、その居住者に対して法律の周知を行うために、今後リストに載っている住宅はURA に管轄されることになるだろう。

とはいえ、Airbnb を利用するホストも何もできなくなったということではない。URA は、1日単位での賃貸は問題外だが、賃貸期間の下限を引き下げる可能性はあるとしている。

Wong 氏は次のように指摘した。

1日単位で賃貸を行う施設は住居ではなくホテルと同じような規制を受けるべきであり、関連する許認可を受けた上で条件に従い、適正基準を維持しなければなりません。

また、URA は、短期の賃貸を行う住宅について新たなカテゴリーの設置を検討している。

新たに建てられた住宅については、短期の賃貸に対して柔軟な利用許可が与えられる可能性があります。すでにある住宅に関しては、建物の利用目的の変更許可を受ける必要があり、URA が現在検討している一連のガイドラインに従うことが求められます。(Wong 氏)

【via e27】 @E27co

【原文】

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