ハッカソンから生まれた有望スタートアップ8チームが、5月開催のアグリテック・サミットに向けファイナリストに選出【ゲスト寄稿】

本稿は、THE BRIDGE 英語版で翻訳・校正などを担当する “Tex” Pomeroy 氏の寄稿を翻訳したものです。オリジナルはこちら


Image credit: AG/SUM

発祥の地であるアメリカでは Harvest の異名で知られる、アグリテック・サミット(AG/SUM)の日本/アジア版は、農業技術に特化した農業中心のサミットだ。農業人口が高齢化し農業が縮小傾向にある日本で、有望なスタートアップが競い合うピッチ・コンペティションが2月に開催された。日本経済新聞社のグループが、東京のコンペティションを支援した。

クローン羊のドリーが世界のニュース・ヘッドラインを席巻して約20年、今日では、技術は遺伝子操作やクローニングなどが農業分野の主流となっている。今年5月には、東京で AG/SUM のメイン会合が予定されており、それに向け、スタートアップ8チームがピッチでファイナリスト選出された。その中には、東京大学の PPAP(Passionate Productive Agriculture with Pecan-nut/ピーカンナッツで挑む、熱狂的かつ生産性の高い農業)がいたが、詳細は後述する。

Image credit: “Tex” Pomeroy

港区の虎ノ門ヒルズの会議室で開かれたピッチ・コンペティションでの要件は、参加チームが農業問題に技術関連のソリューションを提供し、ピッチの段階ではまだサービスが開始されていないこと、というものだった。おもしろいことに、入賞6チーム以上が農業の生産性に関するものだった(この中には、前述の東京大学農学部のチームも含まれる。)

Musshine がピッチした人間の食用のための昆虫養殖のアイデアや、(農林水産省関連の研究所によるチーム)Tail による水産物捕獲の無駄を減らす漁業に関するアイデアなどが披露された。しかし、プランテーションや土壌改良など、従来からある農業に特化した角度からピッチするスタートアップはいなかった。6チームのうち1チームは拡張現実を使った農業体験を提案し、さらにもう1チームはフィンテックを取り入れた農業ビジネスの資金調達プレゼンテーションで、使う土を最小限にするアプローチが活用できるというものだった。

Image credit: “Tex” Pomeroy

テックトレンドの最新状況については、Hackerfarm が IoT の利用について紹介した。しかし、最も魅了されたのは、東京大学の岩田洋佳氏がリードする、農学的に健全で、かつ科学に基づいた PPAP のチームだった。このチームはピーカンナッツの生産量拡大により、日本のナッツ産業を刺激し収益を延ばすための最新技術の活用を目指している。たまたま3月中旬に開催された FOODEX と同じ時期には、岩田氏が所属する施設で食糧生産技術に特化したシンポジウムが開かれ、今や〝富をもたらす作物〟となったナッツを中心に議論がなされた。

東京大学大学院農学生命科学研究科が、G. Barton Beuler 博士や Jennifer Randall 博士(ニューメキシコ州立大学)などを輩出したこのシンポジウムを主催した。収益性が高く持続可能な農業を実現するためには、とりわけハイテク技術や遺伝技術の利用が生産量の向上に貢献する。汎用的な食品の生産を促進する科学的な根拠は、専門家の話によってさらに説得力を増し、5月に公開されるプレゼンテーションをさらに待ち遠しいものにしてくれた。

BRIDGE Members

BRIDGEでは会員制度の「Members」を運営しています。登録いただくと会員限定の記事が毎月3本まで読めるほか、Discordの招待リンクをお送りしています。登録は無料で、有料会員の方は会員限定記事が全て読めるようになります(初回登録時1週間無料)。
  • 会員限定記事・毎月3本
  • コミュニティDiscord招待
無料メンバー登録