Alibaba(阿里巴巴)、自動車向けホログラムAR開発のWayRayにシリーズBで1,800万ドルを出資——YunOSで動く〝究極のクルマ〟の開発を加速

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Image credit: WayRay

カーナビに頼る必要はもはやない。何故なら AR(拡張現実)技術を活用した車載ヘッドアップディスプレイ(HUD)が目的地への行き方をホログラフィックディスプレイで映し出すからである。これは WayRay の技術によるもので、同社はコネクテッドカー向けにホログラフィック AR テクノロジーを開発しており、最近になり中国の e コマースの巨人であるAlibaba(阿里巴巴)から投資を受けている。

近年のコネクテッドカーへの注力に加え、Alibaba Group(阿里巴巴集団)はWayRay の既存投資家とともに同社のシリーズ B ラウンドに1,800万米ドルを投資したことを3月14日に発表した。この投資を受け、このスイス企業は新たな車載 AR インフォテイメントシステムの開発に向け Banma Technologies(斑馬集団)提携した。このシステムではドライバーに対して状況に応じて関連性のある情報を提供し、同乗者に対してはエンターテイメントを提供できる。

ロシアを拠点とする WayRay の研究開発オフィス、コミュニケーション部門責任者の Mary Lapuk 氏は TechNode (動点科技)に述べた。

WayRay は車のフロントガラスを情報の新たなメディアに変えつつあります。この未来の車内情報システムはカラーのホログラフィック技術の最初の使用例です(以前は緑だけでした)。さらに、このシステムはスマートドライビングアシスタント機能を提供し、ドライバーの統計やパターンを収集し採点するゲーム的なシステムを提供します。

WayRay は自社研究開発センターとプロトタイプ工場を持ち、HOE(ホログラフィック光学要素)技術に基づく透過型ホログラフィックディスプレイの開発と生産に特化している。WayRay の AR カーナビシステム第1弾であるNavion はこの AR システムにおける鍵である。Navion はホログラフィーを利用したダッシュボードであり、タイムリーに便利なドライビング情報をドライバーの視界に表示する。

Navion は運転中に前方から視界を外す必要をなくし、視線を集中させ、運転中に注意がそれにくくし、ドライブを安全なモノにします。(Mary 氏)

2017年には同社は Navion のコンシューマー版をリリース予定であり、世界の各大手自動車メーカーと契約を締結し、同社のインフォテイメントシステムを搭載予定である。Banma とのパートナーシップを通じて取り組んでいる自動車メーカーとそのモデルについては明らかにしていない。しかし、米国と中国におけるドライビングスタイルの分析を目的に、今後数か月の間にスマートドライビングアシスタント「Element」の小売り販売を両国で開始することを明かした。

WayRay は、仮想光学エレメント(回折グレーティング)として動作する透過型 HOE でこのような大型なもののパイオニアです。これによって、小型の光学系の中でも距離感をもって表示される『本当のAR』仮想イメージを提供する光学システムの開発が実現することになりました。(Mary 氏)

同社は材料科学分野の専門性を高めるための研究開発にも投資してきている。例えば超薄型フィルム用の素材の開発がある。そしてポリマー内の回折パターンを記録する光学システムの設計を目的とするソフトウェアも開発した。

車の「ひらけゴマ」に向けた Alibaba の計画

究極的に Alibaba は、「ひらけゴマ!」というとドアが開くような未来の車を目指している。つまり声で車の操縦ができるようになるということである。そして、この取り組みは Alibaba Group が投資する独立系スタートアップの Banma Technologies と中国最大の自動車メーカーである SAIC Motor(上海汽車)を通じて進めており、対象はコネクテッドカーに絞って取り組んでいる。

WayRay はこのコンソーシアムと緊密に連携し、AR ナビゲーション、ドライビングアシスタント通知、バーチャルダッシュボードをはじめとする様々なものを統合する先進的な AR HMI を創り出そうとしている。この新システムは Banma の2018年カーモデルに搭載される予定で、ホログラフィック AR HUD ディスプレイを搭載した世界初の量産車となる。

YunOS で動作する Roewe RX5 では、運転手が車内で自撮りすることもできる。

世界のコネクテッドカー市場は2022年までに1,803億米ドルに到達すると想定されており、Alibaba は市場を握るべく着実な取り組みを進めている。

Alibaba はYunOS で動作する車「Roewe RX5」を昨年11月に公開した。Banma と連携して Roewe の3車種をローンチし、車両をデータ、計算処理、そして革新的なモビリティーサービスで支えていくことをコミットした。深圳で開催された独身の日(光棍節、11月11日)のイベントで、Alibaba はドライバーの声の指示を聞いて、コネクテッドカーが音楽を再生したりエアコンをオンにしたり映画のチケットを予約したりするデモを行った。ドローンに走行中の車のナビゲートをさせて周囲の景色を録画したりすることもできる。

以下のビデオにはスマートカーのデモが含まれ、2分33秒の箇所からそのデモが始まる。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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