ネットの健康情報配信、信頼を取り戻すカギは動画コマースーー医療法人監修のヘルスケア動画メディア「&D(アンドディー)」の挑戦

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糖質制限ダイエットにサプリメント、数多くのテレビ番組にネットに溢れる眉唾の情報の数々。私たちはこれら巷に溢れる健康に関する話題をどこまで信頼していいものなのだろうか?

今日紹介する「&D(アンドディー)」は、カジュアルでありながら、しっかりとした専門医の知見に基づくヘルスケア情報を提供しようとする新たなメディアブランドだ。昨年に発生した偽の医療情報でゆらぐネットの信頼性だが、それを担保するカギは意外にシンプルな方法にあった。

ドクター監修ヘルスケアブランド「&D」を展開するアンドディーは3月6日に同社第一弾となるメディア「YUMMY &D」を開始すると発表。同時にモバイル動画コマースサービスの提供も開始した。

 

YUMMY &Dは食事から体の問題にアプローチするコンセプトのレシピ動画メディア。これまでカロリー500という名称で低カロリー食品のレシピを紹介する1分程度の短尺動画を配信していた。

コンテンツを中心に制作して各種ソーシャル等のプラットフォームに配信する分散形式のメディアで、現在はfacebook(Like数約11万人)とInstagram(フォロワー数約11万人)に配信をしている他、自社メディアも展開している。同社によると、2月時点の月間動画再生数は300万回で、主に30代から40代の女性が視聴者の中心になっているという。

医療法人監修の情報を配信

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アンドディー代表取締役の一岡亮大氏

「WHO(世界保健機関)が提示している病気は2万種類以上あります。そしてその病名ごとに悩む人たちもまた存在しているわけです。この悩みは世界各国ほぼ同じなんです」。

ーーこう語るのはアンドディー代表取締役の一岡亮大氏。MUGENUPという、クリエイティブをクラウドソーシングで変革するスタートアップを創業した起業家であり、私もしばしば取り上げていた人物だ。その彼が持つもう一つの顔、それが今回のメディア監修に関わる医療法人北翔会の存在になる。

「監修に協力してくれる医療法人は父親が立ち上げたものなんです」と語る彼は同医療法人の理事も務めている。アンドディーで配信される情報には全て監修に基づいた栄養価が計算されており、動画ひとつ制作するのに1カ月の時間を費やしているという。

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&DのInstagramページ

「病気の問題というのは薬がよくある解決方法なんですが、やはり(新薬の開発などには)時間がかかってすぐに解決できない場合も多いんです。だから注目したのは生活改善なんですが、一方で糖尿病の改善に役立つ500キロカロリー以下の食事を普段の生活で探すといってもこれも難しい。この乖離をいかにして埋めるかという思考になった時、このアイデアに至ったんです」。

彼の考え方はシンプルだ。病に悩む人たちにアテンションの取りやすいメディアを作り、そこでソリューションを提供する。今回の発表には含まれていなかったが次の展開も当然用意されている。知識に乏しい普通の人たちに配信する情報だからこそ、信頼に足るかどうかはより重要性を帯びる。彼の立場はそれを担保していると考えていいだろう。

高コストのコンテンツを支える「動画コマース」という選択肢

ここまで話を聞いて大量の資本投下でメディア立ち上げる、王道スタイルを思い浮かべた読者の方はある意味正しいと思う。1本制作するのに1カ月かかる分散タイプの動画コンテンツを、しかも専門医の監修付きで大量に配信するというのは相当に骨の折れる仕事になる。では、彼らもまた大きく資金調達してそのチキンレースに参加するのか、というと少しだけ戦い方が違うようだ。

そのカギが動画コマースにあるという。

「数千円の曲げわっぱ弁当箱とかが売れるんです(笑」。

 

彼らのコンテンツには時折、お弁当箱やお皿など、食生活に必要な小物類が販売されている。特別なシステムはなくfacebookページのコメント欄で対応し、そのままメッセンジャーで実際の購入のやりとりを実施しているそうだ。

動画であれば商品の魅力も伝えやすく、さらに作ったコマース用の動画がストックされればされるほどキャッシュポイントが増えることになる。広告を回し続けるフロータイプではなく二次利用が可能なストック的思考が加わるのはメディアとして健全と言えるし、こういった形でビジネスが成立するのであれば今度こそ、信頼できる健康情報が手に入ることになるかもしれない。

しかし彼らの挑戦は始まったばかりだ。そのカギがコンテンツ単位の動画コマースにあるのかどうか、興味深く追いかけてみたいと思う。

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