東南アジアで人気のフリマアプリ「Carousell」、今度は車の売買ができるアプリ「Carousell Motors」を新たに投入

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Photo credit: Carousell

以前に Carousell が、中古車ディーラーと顧客を結ぶシンガポールのスタートアップ Caarly を買収したことを覚えているだろうか?その買収の成果がスタンドアロン型のアプリ Carousell Motors だ。車の購入を考えるユーザは、このアプリを使ってシンガポールにおける200ものディーラーの中から希望に合った車を見つけることができる。

Carousell Motors は、Carousell よりも詳細な商品リストを掲載している。Carousell でも通常商品名や販売者名、写真、価格を掲載しているのだが、Carousell で CEO を務める Siu Rui Quek 氏は Tech in Asia の取材に対し、「真剣に車を選ぶバイヤーはそれ以上の情報を求めています」と語る。

同様のリストは Carousell のコアマーケットプレイスでも見ることができるが、この新しいアプリでは、メーカーやモデル、特定のディーラー、支払方法、車の減価償却などから詳細に検索することができる。また、様々な車のリストを比較し、チャットを通じてディーラーとやり取りすることも可能だ。

こうした機能が実現したのはすべて Caarly チームのおかげで、現在ではチームの役割は Carousell Motors の構築が専門になっている。

Caarly の元 CEO であり現在は Carousell Motors のトップを務める Sanjay Shivkumar 氏は次のように語った。

Caarly の側から言えば、私たちはもともと強力な製品を持っており、今は Carousell のコミュニティやネットワークを有効に利用しています。

チームは技術的な専門知識とシンガポールの自動車市場に関する深い知識を Carousell Motors にもたらした。 具体的な数字を聞くことはできなかったが、Sanjay 氏によれば、Carousell Motors のプラットフォームには現在1万台以上の車が掲載されており、毎月「数千台」が追加されるようだ。

Carousell Motors はひとまずシンガポールで試験運用される予定で、他の市場でロールアウトする前にデータを収集して改良を行う。

自動車

ユーザにとっては車のリスティング専用アプリの方が使いやすい、と Siu Rui 氏は考える。

私たちはすべての商品について、データを見ながらコミュニティで話し合い、様々なアイデアを試していきます。(Siu Rui 氏)

専用アプリの方が良いというユーザからの評価が得られたのもこうした理由からだ。

実際に Carousell で車の売買を体験した Sanjay 氏は、モバイル向けクラシファイド広告のプロセスを最適化することが肝心だ、と話す。たとえば、最近のユーザは企業と連絡を取る手段としてチャットのような機能を求めるようになっている。それはディーラーとのやり取りに関しても同じで、ディーラーもまた、顧客に対するエンゲージメントツールとしてそうした機能を受け入れ始めている。

モバイルでも取引ができるように業界を育てるのが私たちの仕事です。(Sanjay 氏)

Carousellは、Carousell Motors を投入したからといって、様々な種類の商品に別々の専用アプリを作っていくつもりはない。少なくとも合理性が必要だ。

ほとんどの商品にとっては共通のアプリで十分で、今のところ専用アプリを展開する必要はありません。(Siu Rui 氏)

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Carousell は東南アジアにおけるモバイルクラシファイド市場での地位を強固なものにしたいと考えている
Photo credit: Carousell

戦略

Carousell は成熟した段階に入り、地元の東南アジアにおける支配を維持するための戦略的な動きを見せている。2017年の初めにはマレーシアを拠点とするライバルの Duriana を買収した。この買収により、Carousell のマーケットプレイスのユーザ数とリスティング数は増加することになる。

さらに、重要ポストを外から引き入れた。PropertyGuru の元マネージングディレクター Winnie Khoo 氏が、シンガポールとマレーシアのジェネラルマネージャーに就任。インドのアドテク企業 Komli Media の Rakesh Malani 氏が CFO に就任した。また最近では、ベテランのシリコンバレーエンジニア Jordan Dea-Mattson 氏がエンジニアリング部門の VP として加わった。

彼らの専門知識、リーダーとしてのスキル、ネットワークは市場における Carousell の地位をより強固なものにするだろう、とSiu Rui 氏は語る。「最も重要な変化は、Carousell の設立者たちの睡眠時間が長くなったことです。」と言って彼は笑った。

Carousell は自分の得意分野を理解している。この場合はモバイルのオンラインクラシファイドだ。同社はこれを利用して Shopee のような競合他社と差別化を図りたいと考えている。Shopee は Tencent と Garena が支援するモバイルマーケットプレイスで、年間の流通総額(GMV)は18億米ドルだという。

Siu Rui 氏は次のように説明する。

いろいろな意味で私たちはこの戦略に賭けています。私たちは本質的には B2B2C 市場ではなくモバイルクラシファイドシステムです。ユーザとリスティングに焦点を当て、私たちのコミュニティと共鳴するものが何であり、そのコミュニティにどのような価値を提供できるのか見極めていきたいと思っています。

他の競合企業も東南アジアでのシェアを求めている。たとえば、1月に2億米ドルの GMV を記録した香港の超地域密着型モバイル P2P マーケットプレイス、Swapit などだ。

2016年現在、Carousell は、7か国19都市で5,700万以上のリスティング数、2,300万点以上の商品を販売している。Siu Rui 氏は Carousell の GMV などの数字については明かさなかった。最近では8月のシリーズ B ラウンドで、Rakuten Ventures、Sequoia India、Golden Gate Ventures、500 Startups を含む投資家から3,500万米ドルを調達した。

【via Tech in Asia】 @techinasia

【原文】

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