排泄予知デバイス「DFree」のトリプル・ダブリュー・ジャパン、NEDOから最大7,000万円の助成金を獲得——大企業5社と共同研究を開始

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DFree
Image credit: Triple W Japan

排泄予知ウエアラブルデバイス「DFree(ディーフリー)」を開発するトリプル・ダブリュー・ジャパンは7日、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の研究開発型ベンチャー支援事業/企業間連携スタートアップ(SCA)に対する事業化支援対象に採択され、最大で7,000万円の助成金の受領が決定したことを明らかにした。助成対象は DFree の小型化と高性能化の大企業との共同研究に関するもので、研究にあたって要した費用は上限額いっぱいまで拠出されることから、実質的には満額の助成金を獲得できることになる。

研究を共同で実施する大企業は、アクセンチュア、伊藤忠ケミカルフロンティア、伊藤忠テクノソリューションズ、パラマウントヘッド、リヴァンプの5社。各社との共同研究の内容は次の通りだ。

  • アクセンチュア……他センサーや介護記録データを組み合わせた介護パッケージの共同研究、アルゴリズムやソフトウェアの共同開発、欧州を中心とする海外展開支援等
  • 伊藤忠ケミカルフロンティア……高精度超音波センサーの開発、アルゴリズム開発を含めた高精度化等
  • 伊藤忠テクノソリューションズ……フィジビリティスタディ、ソフトウェアの共同開発等
  • パラマウントベッド……他センサーとの組合せによる精度向上、共同ソリューション開発等
  • リヴァンプ……介護施設でのフィジビリティスタディ、営業支援等

このうち、リヴァンプは、トリプル・ダブリュー・ジャパンが昨年7月に実施したシリーズ A の資金調達ラウンドに参加している。また、同社は昨年2月にも NEDO の「研究開発型ベンチャー支援事業/シード期の研究開発型ベンチャーに対する事業化支援(通称:STS助成金事業)」から最大7,000万円の助成金を獲得している。

DFree の介護施設向けスマートフォンアプリ
Image credit: Triple W Japan

最近の動きとしては、トリプル・ダブリュー・ジャパンは、3月3日に経済産業省が実施した「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト」でグランプリを獲得した。ヨーロッパからの注目も高く、先週バルセロナで開催された Mobile World Congress には、ヨーロッパへの進出を発表したソラコムのユースケースとして DFree が展示されたようだ。5月17日〜19日にシンガポールで開催される、オランダ発のスタートアップ・カンファレンス「Get in the Ring」(タイミング的に Tech in Asia Singapore 2017 の裏番組になるが…)のコンペティションにも日本代表として出場する予定。また、川崎市では、DFree が介護施設での利用にあたり市が費用を助成する「川崎基準」の認証を受けており、導入に拍車がかかることが期待される。

トリプル・ダブリュー・ジャパン CEO の中西敦士氏は、DFree の今後の展望を次のように語ってくれた。

川崎市とは、在宅介護での検証やリハビリへの導入で協力していきたい。特に、脳卒中に陥った患者さんは、術後、(排尿障害を補うために)カテーテルを装着を余儀なくされ、それを外してオムツにし、それを外して本格的な社会復帰というプロセスでリハビリしていくケースが多い。オムツを外すプロセスなどで、DFree が役に立つだろうと。(中略)

すでにフランスの介護施設では DFree が使われ始め、本格導入に向けトライアルを進めていく。ドイツの会社とも契約を進めているところだ。ヨーロッパは介護のしくみが行き届いているので、そういうところと組んでいく。介護のしくいがない地域については、リハビリモデルや在宅介護のサポートツールとパッケージを作ることを検討したい。保険会社とも組んでいきたい。

事業開始当初、排便予測を目標に掲げていた DFree だが、最近は排尿のコントロールに軸足を移しているようだ。この点について、中西氏は、排便よりも排尿の方が頻度が多いため、データが取りやすくアルゴリズムを開発しやすいこと、また、世の中では、排便よりも排尿で困っている人の方が多いことがわかり、排尿予測の技術開発を優先させているためとした。排尿予測のしくみが一段落した時点で、ふたたび、排便予測のソリューション開発にも注力する計画のようだ。

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