ブロックチェーンを使ったスタートアップのための証券取引所Funderbeam、Mistletoeから200万ユーロを調達しアジア太平洋地域進出を発表 #SLUSHTOKYO17

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Mistletoe 孫泰蔵氏と握手する、Funderbeam の Kaidi Ruusalepp 氏
Image credit: Koichiro Shimojo / Slush Tokyo 2017

本稿は、SLUSH TOKYO 2017 の取材の一部である。

エストニア発のスタートアップで、スタートアップの株式を取引できるブロックチェーン・ベースの証券取引所を運営する Funderbeam は29日、創業者で CEO の Kaidi Ruusalepp 氏が都内で開催中の SLUSH TOKYO 2017 に登壇。孫泰蔵氏が率いる Mistletoe から200万ユーロ(約2.4億円)を資金調達し、戦略的提携のもと日本を含むアジア太平洋地域への進出を開始することを発表した。

Funderbeam は、以前エストニアの証券取引所である Nasdaq Tallinn の CEO を務めた Kaidi Ruusalepp 氏によって2013年に設立された。2016年4月からは、スタートアップがファンディングを受けられるプラットフォームと、スタートアップ株式が取引できるプラットフォームを追加した。初期投資家には Skype の共同創業者である Jann Tallinn 氏らが名を連ね、Funderbeam によれば、これまでの累積資金調達額は480万ドルに上る(Crunchbase によると475万ドルとなっているが、換算時に適用した為替レートの違いによると推定される)。さらに、自前の資金調達プラットフォームからも42.4万ユーロを調達している。

Funderbeam プラットフォーム上に開設された Funderbeam の資金調達/プロフィールページ

Funderbeam は金融ハブであるロンドンにオフィスを置き、クロアチアのザグレブ証券取引所やスロベニアのリュブヤナ証券取引所と業務提携するなどして、既にヨーロッパ市場でのプレゼンスを確立しているが、グローバル展開としては、Mistletoe との提携によるアジア太平洋地域進出が初となる。Ruusalepp 氏は THE BRIDGE とのインタビューで、市場の成長の速さを鑑みて、アメリカ進出よりアジア太平洋地域への進出を優先させたことを強調、各地域の市場を最も理解しているローカルパートナーとの提携によりグローバル展開を進める上で、アジア太平洋地域では Mistletoe が最適なパートナーと判断したと語った。

この分野では昨年末に、タイ証券取引所がスタートアップの株式取引に特化した取引所を2017年第3四半期に開設することを明らかにしている。また、スタートアップのデータベースという点では、香港の OddUp、アメリカの Mattermark や CB Insights などが競合になり得るが、Ruusalepp 氏は、データ(投資家が投資判断に使える世界のスタートアップ15万社のデータアナリティクスを有する)、ファンディング、トレーディングという3つのアセットが Funderbeam の強みであるとした。

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昨年4月のプラットフォーム・ローンチ以来、Funderbeam プラットフォームを通じての投資家による出資額総額は200万ユーロに上り、取引額は80カ国以上で10万ユーロに及ぶとしている。

Mistletoe 代表取締役兼 CEO の孫泰蔵氏は、Funderbeam に出資・提携をした理由を、ステートメントの中で次のように語っている。(一部抜粋)

Mistletoe では、スタートアップがどんどん生まれて成長していくためのエコシステムを形成するさまざまな活動をしている。このエコシステムの健全な発展のためには、スタートアップの成長に最も重要な要素の一つである「資金調達プロセス」が透明で、誰にでも開かれたものになる必要があると考えている。

Funderbeam のアジア太平洋地域における進出計画については、今後、Funderbeam と Mistletoe の間で具体的に戦略を固めていくとしている。

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