AIが「自分で解決する」自己修復可能なネットワークを獲得するまでの4つのステップ

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Image by Viktor Kiryanov via Attribution Engine. Licensed under CC0.

本稿はエリクソンのCIO、Diomedes Kastanis氏による。Diomedes Kastanis is VP, Chief Innovation Office, at Ericsson, supporting advancement of the company’s technology vision and innovation.

機械学習(ML)と人工知能(AI)の今後への期待は驚くものである。スマホと話せたり、お気に入りアプリは写真に写る友人や家族を識別してくれる。しかしこれは一晩で実現したものではない。ネットワーク自体が拡大したことと、高度なコンピュータ科学技術がこれらを導いたのだ。

現在の「すごく繋がった」世界において一番の利益をもたらす分野は、情報、通信、コマース、エンターテインメントである。「ネットワーク化された社会」については多くのことが書かれているが、この常に変化し続ける過程では、ネットワーク自体がその社会の本質的な貢献者となっている。

AIとMLは現在の学習ネットワークからデータ認識ネットワーク、自己駆動ネットワーク、自己修復ネットワークに至る4つの進化段階を通じてネットワークを成長させる。

ステージI:従来のネットワークーー「何が起こったのか知っている」

今日のネットワークはステージIにある。ネットワーク状態の監視とリアルタイムに近い最適化のフィードバックループで問題を解決したり、パフォーマンスを向上させたりする。知覚システムとネットワークを最適化するやり方は、人間が作成した簡単な記述分析ルールと経験則に基づいている。例えば、信号AがC秒間設定値のBを上回る場合、動作Xを開始する、といった具合だ。

これらのルールは通常、解釈が容易であるがハードコード(固定化)され、変化する環境に適応することができず、さまざまな状況に効果的に対処するための複雑さがないため、最新のデータ駆動型の代替案としては最適ではない。実際、これらのルールは経験豊かで知的な人でさえ、ネットワークKPIに影響を与える意味のある相関関係や影響を与える要因の膨大なデータセットの中において見つけることができないだろう。また、「リアルタイム」が制限となり最適なパフォーマンスで対処しきれないトラブルを予期するのは人間の手では叶わない。

ステージII:予測ネットワークーー「何が起こるか知っている」

タイミングが全てだ。ステージIIネットワークは、過去のネットワークデータ内のパターンを継続的に見つけ、将来の行動を予測するためにそれらを使用する。MLは、時間/日、ネットワークイベント、1回限りか定期的な外部イベントや要因(選挙、自然災害、YouTubeの傾向など)など、インパクトがあると思われる要因を分析するよう指示できる。

データの価値は、過去のネットワークパフォーマンスと将来の最適化を提供する手動ソリューションとの間の確率的相関関係にある。MLは、データ科学者とドメイン専門家が協力し合って、ノイズから信号を分離し、MLモデルを実用する前にテストすることで、モデルの複雑さが許す限りの相関を取得できる。MLモデルは、ネットワークKPIの徹底的な分布と外部の影響要因のめまぐるしい配列を明らかにし、将来の結果を予測するための相関関係を細部まで明らかにすることができる。

これらの予測は、人間の監視者に、どのようにネットワークリソースを配布し、最適化を実行するべきかという高度なアドバイスを提供し、低コストでパフォーマンスを向上させる。例えばネットワーク型の「オートパイロット」は、最適な経路からのわずかな予測偏差を検出し、実際の問題が現れるずっと前に人間のオペレータに警告を出すことができる。データを継続的に収集し、現実と予測を比較することで精度が向上し、次世代モデルの改善につながる。

ステージIIのML法には、線形および非線形の監視方法、ツリーベースのアンサンブル、ニューラルネットワーク、およびバッチ学習(例えば、一夜漬けトレーニング)が含まれる。ステージIIの予測的支援とは人間のオペレータが変更を実施するまでに余裕ある時間を与えることに他ならない。その結果はネットワーク性能の突破口となり、機械が予測を行い、人間は時間に余裕を持って解決策を見つけることができるようになる。

ステージIII:規定ネットワークーー「将来の問題を解決する方法を知っている」

生徒はいずれ指導者となる。

ステージIIIでは、AIアルゴリズムが過去のパフォーマンスをレビューし、人間の指示とは無関係に、ヒューマンロジックのガイダンス外の将来のパフォーマンスに影響を及ぼすであろう、発見されていない相関要因を特定する。ネットワークデータや初期のガイダンスを超えて、生成されたデータやシミュレートされたデータなどの外部データセットに目を向ける。

機械は監督された方法から得られた知識を使用し、その知識を監督されていない方法に適用し、人間の介入や指導なしに未発見の相関係数を明らかにする。

ステージIIIネットワークは、管理者が将来のビジネスの影響を判断するための複数パターンの予測をネットワーク自己の理論的行動に基づいて作成する。

例えば、ネットワークは人間の管理者に可能性のある将来の結果から選択肢を与える(スーパーボウル中の最適なパフォーマンス、または休暇中の最低電力使用量等)

こうして、ネットワークは単一の未来を予測するだけでなく、人間の同僚に多元的な先見情報を提供することで、戦略的ネットワーク最適化の時代を切り開く。ステージIIIのMLメソッドには、ディープラーニング技術、シミュレーション技術、その他の高度なコンピュータ科学技術(高度な統計、モデルガバナンス、オートマモデル選択など)が含まれる。

非常に有能ではあるが、ステージIIIのネットワークは技術的に「インテリジェント」ではない。大きな飛躍はステージIVで発生する。

ステージIV:自己修復ネットワークーー「自分で解決する」

「我、理由づける。ゆえに我あり」。

ステージIVネットワークは、(1)ネットワークパフォーマンスに影響を与える関心の要因を独立して特定し、優先順位を付けること(2)最適に実行された人的救済措置の時間内に複数の結果を正確に予測すること、そして一番大事な(3)因果関係と相関関係を区別することでより深い洞察を得て、よりよい意思決定を促す。

因果関係と相関関係との区別は、それ自体が研究に見られるような確率論的分析に基づいている。因果関係を確立するAIの能力は、それらの相関ではなく、ネットワークパフォーマンスの根本原因を理解する能力による。因果要因を特定する能力は、より正確な予測とさらに優れたネットワークをもたらすだろう。この段階では、ネットワークが原因と理由を理由づける能力を獲得し、本当にインテリジェントなネットワークが生まれる。

ステージIVネットワークは、外的影響を直視して業務効率を最大化するための自発的行動を選択することができる。新しい脅威に対するセキュリティを向上させることができ、より一般的に所定のKPIを最大限に活用することができる。このシステムはリアルタイムの変更に適応し、データ駆動型のコンテキストで継続的に学習し改善する。ステージIVのML法には、ディープラーニング技術、強化学習、オンライン学習、動的システム、その他の高度なコンピュータ科学技術が含まれる。

ネットワーク、自己修復

AIとMLは全体にかかる前に部分的に適用するという考え方を提案する。世界は絶え間なく拡大しているデータの山の民主化と動員によって大きな利益を受けることは間違いないが、真に知的な機械への旅の中で、最も早く、最も早く利益を得るのはネットワークとネットワーク化された社会なのである。

【原文】

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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