Intel、イスラエルのMobileyeを1.5兆円超で買収——自動運転車の未来の鍵は、イスラエルにあり【ゲスト寄稿】

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本稿は、イスラエル・テルアビブの Samurai House を拠点に事業展開している、Aniwo 共同創業者兼 COO 植野力氏による寄稿である。Aniwo は2014年8月の創業、2015年1月にサムライインキュベートからシードラウンドで10万ドルを資金調達していることを明らかにしている

Aniwo は現在、イスラエルのスタートアップと投資家のマッチングプラットフォーム「MillionTimes」を運営。月に一度、異なるテーマのイスラエルスタートアップを紹介する「Pitch Tokyo」を開催している。


Image credit: Chikara Ueno

2017年の3月中旬に Intel がイスラエルの Mobileye を$14-15B、つまり1.5兆円強で買収するというニュースが話題になっている。

Mobileye といえば、言わずと知れた先進運転支援システム(ADAS)のグローバルリーダーで、高い画像処理技術と独自のチップセットを用いて、自動車の衝突リスクの低減を可能にする後付け可能なソリューションを開発しているイスラエルを代表する企業である。

両社の連携は今回に始まったわけではなく、2017年1月にも Intel、Mobileye および BMWの3社で自動運転車の開発に向けたパートナーシップを発表しており、今回の買収についても今後の自動運転車の商用化に向けた取り組みを見据えたものだと報じられている。

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イスラエルで自動運転車の技術開発を進める自動車メーカー

今回の Intel による Mobileye の買収は、スタートアップ大国イスラエル国内においても最大のディールとして大きな話題となっているが、自動運転車の開発に向けた連携や技術探索を行っているのは、もちろん Intel や BMW だけではない。

自動運転車は ADAS、各種光学センサーやソフトウェアアルゴリズム、バッテリーやセキュリティなどさまざまな技術を集めた結晶であるため、大手企業とスタートアップの連携が盛んな分野である。そして、イスラエルのスタートアップは世界中の自動車メーカーからの注目を集めている。

例えば、Folkswagen は昨年、イスラエル版 Uber ともいえるタクシー配車アプリを開発する Gett に対して昨年$300M(300億円強)の戦略的投資を行い、次世代モビリティの構築を模索、フォードは昨年自動運転車の実現に向けたコンピュータービジョンと機械学習の優れた技術を保有するイスラエルのスタートアップ SAIPS を買収している。

他にもコネクテッドカーのハッキング対策を目的として自動車向けのファイアウォールを開発する Argus Cyber Security は、カナダ発で世界第3位の自動車部品メーカーの Magna International との提携を発表、イスラエルに R&D 施設を置く自動車企業は他にも、GM や Daimler、Boche などがあり、ほぼすべての世界の自動車大手が技術開発を行っている。

イスラエル Automotive 2.0カオスマップ(クリックして拡大)
Image credit: Vertex Ventures

上で紹介した以外にも、エレクトロニクスや素材、GPS や通信など、さまざまな領域で優れた要素技術を保有するイスラエルのスタートアップが、自動車メーカーに限らず、Google など自動運転車の実現や商用化に取り組む世界中の企業から今後も注目を集めそうだ。

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