世界中から起業家が集まるベルリンでオープンしたスタートアップキャンパス「Silicon Allee」

by Yuki Sato Yuki Sato on 2017.3.7

Silicon Alleeのオープニングパーティーにて、500StartupsのDave McClure氏とのファイアサイドチャット(著者撮影)

先週木曜日、ベルリンの中心部ミッテ地区のある建物に何百人もの人が詰めかけた。ベルリンに新たに生まれようとしているスタートアップキャンパス「Silicon Allee」のオープニングイベントが開催されたからだ。500 Startupsのマネージングディレクター Dave McClure氏が登壇するトークイベントや、ピッチイベントが開催され会場は盛況を博した。

「急成長中のチームの要望に応えられるような場所を」

5階建て7000平方メートルのスペース「Silicon Allee」とは、どのようなスペースとなるのか。「コワーキングスペースからさらに一歩進んだ場所です」とSilicon AlleeのCEO、トラビス・トッド氏は筆者の取材に対してこう説明する。想定ユーザーの一つは「最初の資金調達を終えた5、6名ぐらいの規模のチームで、その後チームが拡大していくことを期待されているようなスタートアップ」であるという。

「チームがさらに拡大したあとも、このビルの他のスペースに移動できることを想定しています。今のベルリンは、そういうフレキシブルなスペースが、需要があるにも関わらず欠けているんです」

ベルリンはスタートアップシーンの盛り上がりとともに、ここ数年でコワーキングスペースやスタートアップ向けのオフィススペースは格段に増加した。2015年にはGoogleが出資したことで注目を集めたスタートアップキャンパスのFactory Berlinがオープンし、昨年には外資系のコワーキングスペース、WeWorkやMindSpaceもベルリンに進出している。

Silicon Alleeに入居しているThe Familyのスペース(著者撮影)

各スペースごとにコンセプトは異なるが、Silicon Alleeが描くビジョンは壮大だ。2020年に完成予定の隣に建設中のビルも含めて、エリア一帯をスタートアップハブ Silicon Allee(シリコンバレーをもじって「シリコンアレー」と命名している。「アレー」はフランス語由来のドイツ語で「並木路」という意味だ)にすることが彼らの構想だ。大小さまざまなスタートアップやテック関連の企業、そしてカフェやラウンジ、イベントスペース、アパートを作って、スタートアップの多様なニーズに応えられる、かつコミュニケーションが活性化される場所を作る計画であるという。

すでにフランス発のスタートアップ向けのプラットフォーム The Family や決済サービスStripeの拠点、アカデミア向けのSNSを開発するResearchGateなどが入居している。マップサービスのHereも近日入居予定である。

まだ準備中の場所も多い。誰でもアクセスできるカフェスペースが1階にオープン予定であり、今年夏には最上階にラウンジとアパートができる。前述の通り、2020年には隣のビルが完成予定で、そこもSilicon Alleeとして使われる予定だ。

Silicon Allee — コミュニティイベント・ブログから出発

Silicon Alleeの成り立ちについても言及しておきたい。Silicon Alleeはアメリカ人2名、イギリス人1名の3人のファウンダーが2011年にコミュニティを立ち上げたところからスタートした。

2011年2月、米国のベイエリアから以前住んでいたベルリンに戻ってきたばかりだった起業家のトッド氏とシュイラー・ディアマン氏が、外国人向けのスタートアップイベント、ミートアップがないことに疑問を抱き、自ら「シリコンバレー式ミートアップ」を企画した。かっちりとしたプログラムを準備しない、場所と大まかなテーマだけを設定したネットワーキングイベントである。

ベルリンのスタートアップコミュニティでは知らない人はいないともいえるコワーキングカフェ Sankt Oberholzを会場にミートアップが開催された。6年前はこうした形式のミートアップが珍しく、ドイツの国営放送 ZDFも取材に来たほど注目を集めたという。

カフェ Sankt Oberholzで毎月第一火曜日の朝に開催されるSilicon Alleeミートアップ。2015年5月の開催時にて。(著者撮影)

「外国から来たばかりで、ベルリンのスタートアップシーンに入りたい人の最初のタッチポイントを提供する」というのがコンセプトのこのミートアップは、毎月第一火曜日の朝9時スタートで現在でもSankt Oberholzで開催されている。

その後、こうしたコミュニティの需要があることを認識したファウンダーたちはシリコンバレーをもじったシリコンアレーという名前を思いつき、その名をタイトルに掲げたブログメディアもスタートする。トッド氏いわく、当時はベルリンのスタートアップ関連のブログやメディアはドイツ語のものしかなく、同テーマにおいては初めての英語のブログであるとのことだ。

Factory の国際展開チームへ

最初の4、5年はイベントとブログ運営が中心であったSilicon Alleeだが、2015年にはチームはオープンしたばかりのFactory Berlinに入居した。それ以前にSilicon Alleeにエンジェル投資をしていたFactoryのファウンダーであるサイモン・シェーファー氏による提案だった。

そして、ちょうどその頃 Factoryの創業パートナーであるシェーファー氏とウドー・シュローマー氏が方針の違いから別々の方向性を歩むことを決断し、Factoryの国際展開を目指すシェーファー氏が国際展開の業務をSilicon Alleeに依頼。Factoryの国際展開チームとして、Silicon Alleeが新たに出発することとなったのである。

今後の国際展開の計画に関しては、当然ながら不動産開発はソフトウェア開発とは比較にならないほど時間を要するものであるから、取材時に多くを聞くことはできなかったが、比較的近い将来の話としては2年後にポルトガルの首都リスボンにスタートアップキャンパスを開く予定があるそうだ。

Silicon Alleeのオープニングイベント(著者撮影)

ベルリンのスタートアップキャンパス「Silicon Allee」の話に戻そう。

現在はまだ10社足らずの企業・スタートアップが入居している段階だが、先に述べた通り、これから徐々にカフェやアパート、イベントスペースをオープンしていく予定である。「遅くとも夏が来るまでには、最上階と屋上は完成させなきゃね」とトッド氏はいう。

ビルの屋上などで夜な夜なパーティーが繰り広げられるベルリンの夏までには、かなりのスペースが出来上がっているようなので、夏のベルリンを訪れる際にはぜひSilicon Alleeを覗いてみてはいかがだろうか。Sankt Oberholzでのミートアップもどうかお忘れなく。

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