ローカライズの難しさを示す、Airbnbの新しい中国名

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Airbnb は本日(原文掲載日:3月22日)、中国で大きな賭けに出ると発表した (中国語で発信)。旅行者に旅のヒントとアイデアを提供するサービス「Trips」を導入していたが、これが上海でも利用できるようになった。さらに、Airbnb China の名前が「愛彼迎(aibiying)」になる。同社によると、この社名は「愛情をもってお互い歓迎し合う」を意味するという。文字を忠実に訳すなら、「あなたを歓迎したい」、「愛情のある歓迎」、さらには「お互いの歓迎を愛する」とも訳せる。

英語から中国語への翻訳(逆もしかり)は、簡単ではない。ただ、中国に進出した外国企業が、英語のように聞こえるだけでなく、そのブランドを正確に表す名前を選ぶのはさらに難しい。Coca Colaは 「可口可楽(kekou kele)」とした。可口と可楽はいずれも英語のように聞こえ、中国語ではプラスの意味を持つ。大まかに言えば、可口は「美味しい」、可楽は「面白い」となる。Uber の社名も同様だ。「優歩 (youbu)」は英語の発音みたいでやはりプラスの意味を持つ。 優は「素晴らしい」で、歩は「歩み」や「動き」だ。一方、Evernote は翻字を避けて「印象筆記 (yinxiang biji)」とした。文字通りの意味は「印象的なノート」だ。

Coca Cola の社名はいまでも笑いを誘うが、多くの人はこれに慣れてしまった。 しかしUber に関しては、不評ではなかったものの、さしたる反応もなかった。 Airbnb に至ってはそれどころではない。発表直後からこの名前に対する不平不満でソーシャルネットワークが過熱した。

Weibo(微博)のユーザ「王左中右」氏は、現在のものよりもよいのではないかという、中国名の提案をしていた。

最も一般的な反応は、この中国名の発音がきわめて不自然で、 響きが単純に奇妙だというもの。それによって必然的に「私ならもっといい名前を付けられる」というコメントとともに、より優れた候補案が掲載された。

36kr は、Airbnb の中国名の発音に違和感があると言っている。そして、フォロワーが「愛比鄰」を提案している。

上の画像にもあるが、中でも秀逸だったのは「愛比鄰 (aibilin)」で、文字通り「隣人愛」だ。これは発音がしやすいだけでなく、中国の慣用句「海內存知己、天涯若比鄰 (hainei cun zhiji、tianya ruo bilin)」、意味は「距離は遠く離れていても、友人や恋人を身近に感じる」を踏まえてもいる。

Airbnb による今回の選択をみると、同社は発表前にどれほどの試験を踏まえたのかという疑問が湧く。しかし最終的に同社の市場での成功を決めるのは、現地パートナーの活用と、中国人ユーザ向けに際立った作りのサービスを提供する能力次第というのは間違いないだろう。ただ残念ながら、今回の社名では、ユーザが会社のことを真剣に考えるのは難しいかもしれない。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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