JR東日本、同社初となるインキュベーション/アクセラレーション・プログラムの応募受付を開始

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2017.4.20

JR 東日本 執行役員 事業創造本部副本部長の松﨑哲士郎氏(右)、JR 東日本 事業創造本部 事業推進部門 課長 エキナカ事業グループ グループリーダーの加古恵介氏(左)

JR 東日本は19日、同社初となるインキュベーション/アクセラレーション・プログラム「JR EAST STARTUP PROGRAM」の説明会を都内で開催した。プログラムには、JR 東日本への提案内容に応じて、概ね起業10年以内の企業を対象とする「アクセラレーションコース」と、起業しているか起業後まもない個人を対象とする「インキュベーションコース」の2つのコースが用意され、20日午前10時からウェブ上で応募エントリの受付が開始された。応募締切は「アクセラレーションコース」が5月末日、「インキュベーションコース」が7月末日。

説明会で登壇した、JR 東日本の執行役員で事業創造本部副本部長の松﨑哲士郎氏は、会社発足30周年という記念すべき年にあり、経営陣の意向も確認し、オープンイノベーションの活動を立ち上げるに至ったと説明。「今回が初の試みということもあり、JR 東日本としての思いを具体的に言葉に落とし切れていない部分はあるが、その分、プログラムを柔軟に運用できるのではないか」と抱負を語った。

起業家やスタートアップにとって、JR 東日本と協業する最大のメリットは、消費者とのタッチポイントの多さだ。鉄道事業だけで考えても、JR 東日本管内では毎日1,700万人の乗客を扱いがあり、年間ではのべ62億人に上る。

プログラムの内容を説明する、JR 東日本 事業創造本部 地域活性化部門 事業開発グループ課長の佐野太氏

これまでにも、Suica に代表される電子マネー、最近シンガポールにも進出した駅ナカ事業のほか、駅構内における宅配受け取りロッカー、イノベーション自販機、地産地消のお菓子、71駅4,500店舗で使える「JRE POINT」など、グループ会社内からも数多くの新プロダクトやサービスが生まれている。JR 東日本がグループ会社外の力を頼りにし、オープンイノベーションに取り組むことにした背景として、同プログラムを担当する JR 東日本 事業創造本部 地域活性化部門 事業開発グループ課長の佐野太氏は、「これまでよりも早い変化が必要であり、自前でじっくりやるということでは通用しないと考えたから」と説明した。

応募を受け付けるテーマの参考として、JR 東日本が直面する5つの課題がある。列挙すると次の通りだ。

  1. 人手不足(自動化、ロボット化のニーズ)
  2. 働き方の変化(モバイルワーク、サテライトワーク)
  3. 交通モードの変換(例えば、新幹線で地方駅に到着後、新幹線がいくら速くなっても駅から先の足の便に難が残る。鉄道とのライドシェア、自動運転などとの連携課題)
  4. スマホ化(駅ビル入居8,500テナントへ提供している18,000台の決済レジ端末の応用、情報のパーソナル化など)
  5. インバウンド(多言語化、荷物、ガイドなど、会社としてのみならず、社会として適切に対応できる環境の構築)

今回のプログラムには JR 東日本のグループ各社が参加しており、各社が提供できるリソースについては、応募や事業構築の段階で相談してもらえれば、可能な範囲で対応していきたいとのこと。例えば、乗降客についての匿名化されたオープンデータや、山手線のすべての列車に配備された在線位置や乗車位置が把握できるビーコンの利用はもとより、300万ダウンロードを誇る「JR 東日本アプリ」との連携、駅に何かをつけるなどの相談についても前向きに応じたいとした。

JR 東日本では、アクセラレーションコースについては、応募者(主に企業)がすでに何らかのプロダクトやサービスを有していて、それをもとに事業化検討を行い、今年11月にテストマーケティングを開始できることを想定している。また、インキュベーションコースについては、事業のアイデアがあり、JR 東日本が有するリソースを活用して協業できる構想を11月にまとめられることを想定している。

プログラムに採択された企業や個人に対しては、プログラム期間中(8月〜11月)に JR 神田万世橋ビルのコワーキンスペースを無償で提供される。採択するプロジェクトの数については具体的な言及はされていないが、松﨑氏によれば、JR 東日本側の人的リソースも考慮すると、それぞれのコースについて数プロジェクトずつ程度となるのではないか、とのことだった。

それぞれのコースのデモデイは今年11月に開催される予定で、最優秀提案には100万円、優秀提案には10万円が提供される。

鉄道事業会社のオープンイノベーションとしては、東急電鉄が「東急アクセラレートプログラム」の運用を初め3年目に突入するほか、福岡を拠点とする西日本鉄道が「西鉄 Co+Lab」、横浜を拠点とする相鉄と高島屋がアクセラレーション・プログラムの運用を開始。オープンイノベーション・プラットフォームの Creww は「Tokyo Metro ACCELERATOR」を運用している。

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