バンコクでエンジェル投資家とスタートアップをつなぐ「AsiaStartups」がローンチ——メンターシップと法律アドバイスをスタートアップに提供

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AsiaStartups チーム:(左から)Bhantitra Mahapaurya 氏、Adrien Deniau 氏、Korn Chatikavanij 氏、Keenan Kwok 氏、Charlie Withayachamnankul 氏
Image Credit: AsiaStartups

タイのテックエコシステムではここ数年、VC 活動が急速な伸びを見せている。その一因として、電気通信会社や銀行などのCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)の参加が挙げられる。

Techsauce のレポートによると、2012年にわずか3件にも満たなかった VC 資金提供件数は2016年には75件まで増加した。取引規模で見ても、2012年の300万米ドルから2016年には8,600万米ドルにまで跳ね上がっている。

エンジェル投資に関して言えば、タイにはまだまだ成長の余地がある。会員数約30名で100万米ドルの投資を行っている Shift Ventures の1000x Club や Bangkok Venture Club といったエンジェル投資家のプラットフォームがあるが、市場はまだかなり初期の段階にある。

先週(3月第5週)、バンコクで新たなエンジェル投資ネットワークの AsiaStartups がローンチされた。 詳しい情報を得るため、e27は AsiaStartups の共同設立者である Charlie Withayachamnankul 氏にお話を伺った。

以下は、そのインタビューの一部に編集を加えたものである。

AsiaStartups のスタートアップに対するバリュープロポジションについてご説明いただけますか?エンジェル投資家とスタートアップとをマッチングするにあたり、AsiaStartups はどのような補完的なサービスを提供していますか?

AsiaStartups は、フィルタリングとキュレーションのプロセスを通じて、国内外問わず設立者と投資家をマッチングします。私たちのネットワークは北アジアから東南アジアまでカバーしていますので、AsiaStartups はその地域一帯の企業と投資家にチャンスを提供することができます。

単に地元の市場ではなく、アジア市場をつなぐことでチャンスが生まれるのです。私たちがスタートアップに提供するサービス(取引構造や投資家の確保など)の中でも、とりわけメンターシップや法律および資金調達に関するアドバイスなどの付加価値サービスを通じて、投資家が企業に負うリスクの排除を目指しています。

エンジェル投資家の現状について詳しく教えていただけますか? タイでは CVC がよく話題に上がりますが、エンジェル投資家が注目を浴びることはあまりないですよね。

テック企業への投資は、タイでは比較的新しいものです。ビジネスに対する考え方もまだまだ古く、テック業界には経験豊かなエンジェル投資家はほとんどいません(通常彼らは複数人のグループで投資資金を作ります)。

高い関心を示しつつも、何をすれば良いのかわからないと思っている、将来的に活発なエンジェルになりうる方々が数多くいらっしゃいます。タイの CVC は主にアクセラレータプログラムやインキュベータプログラムを通じて、より積極的に活動し始めています。その結果、CVC の方が目立ってしまうのでしょう。

身内の持ち株比率を上げるために友人や家族の資金調達ラウンドに参加するというのが、現在のタイにおけるエンジェル投資家の一般的な投資スタイルです。

タイのテックファンディングに参加するファミリーオフィスは今後成長していくと思いますか?

はい。現在のテクノロジー時代には興奮が渦巻いています。ファミリーオフィス内の若い後継者たちは間違いなくこの分野に関心を持っていますが、テック分野の投資環境、つまりローカル市場に関する知識が不足しています。そこに AsiaStartups の使命があります。

エンジェル投資家が AsiaStartups に参加するための基準は何ですか?

エンジェル投資家の参加に特に基準はありません。投資家の多くは、私たちの最初のエンジェル投資家コミュニティから紹介された方々です。そのコミュニティには現在、ベテランテック投資家、企業、一流起業家、ファミリーオフィスの代表など、様々なバックグラウンドを持つエンジェルが在籍しています。

どのようなスタートアップが AsiaStartups のターゲット市場に適していますか?

私たちはすべてのスタートアップ、時にはテクノロジーやデジタル関連の事業を行う中小企業も受け入れています。

しかし、現時点で私たちが力を入れているのは、主にアーリーステージやプレシード(エンジェル投資家の大部分が参加し、最も関与したいと考える段階)のスタートアップです。

AsiaStartups の収益モデルはどのようなものですか?そして、投資家がプラットフォームの外で交渉プロセスを行わないようにどのような対策をとっていますか?

スタートアップ側との取引から収益を得ています。例えば、私たちはスタートアップに投資家を紹介し、スタートアップはそれに対し手数料を払います。そうしなければ彼らは投資家にアクセスできません。

私たちのビジネスモデルを支える他の収益源として、ディールフローへのアクセスを投資家に提供するサブスクリプションや、アクセラレータ、CVC、VC へのアクセスをスタートアップに提供するサブスクリプションがあります。

投資家とスタートアップが私たちのプラットフォームを迂回して取引を行うのを防ぐため、彼らが取引プロセスを開始する前に契約書にサインをいただいています。

【via e27】 @e27co

【原文】

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