声で繋がるアプリ「baby」が、グループで語り合える「Ball(ボール)」に進化——モーションデザイナー小野友資氏を迎え、〝カフェ的空間〟のベータテストを開始

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シリアルアントレプレナーの井口尊仁氏率いるスタートアップ Doki Doki が、同社初のプロダクト「baby(ベイビー)」をローンチしたのは昨年11月のことだ。とは言え、このモバイルアプリを日本のアプリストアでダウンロードすることはできず、アメリカ市場を中心に入念なユーザバリデーションや機能開発が繰り返されてきた。今年の2月には、学術研究の共同推進を念頭に、プレシードラウンドでで京都大学イノベーションキャピタル(京都 iCAP)から5,000万円を調達。この際、井口氏はその後の baby の展開について、ブログで次のように明らかにしていた。

ベイビーの新バージョンでは、「声の出会い」からさらに進んで、日々のおしゃべりの継続的発生プロセスに注目した、よりユースケースの見え易いものになる。

そこではより常用性が高く声(おしゃべり)によるコミュニケーションを担うインフラへとステップアップを成し遂げることが最大の狙いになる。

それは、声を中心にしたメッセージングサービスとして、今までに無い新しい体験性を提供できるものになると確信している。2017年春はその起点になる重要なタイミングだと考えている。

FabCafe MTRL で開催されたイベントで開発中の「Ball」を紹介する井口尊仁氏(2017年3月撮影)
Image credit: Masaru Ikeda

Doki Doki は17日、この baby を進化させたアプリとして「Ball(ボール)」をローンチ、本日からベータテストを開始したことを明らかにした。baby の事実上のピボットと考えてよいだろう。5秒間の音声のやりとりでコミュニケーションする点については baby のときから変わりないが、Ball では声をキャッチボールするように、グループ内で声を投げ合う体験が提供される。アプリを立ち上げていれば、同じグループ内にいる他のユーザからの自動的に音声が流れてくるしくみだ。

小野友資氏

井口氏は、Ball が提供する体験を「カフェ的空間」と形容している。言葉で説明するには難しい体験だが、この体験をアーリーアダプターに知ってもらうために、今日から「100 PEOPLE IN THE CAFE@BALL」という100人限定のクローズドベータテストを開始した。この「CAFE@BALL」のカフェ店長は、YUYBOOKS の代表で、京都精華大学でも教鞭をとるモーションデザイナーの小野友資氏が務める。ベータテストに参加できる100名が誰になるかは非公開だが、この100名からは友人を招待することができるようだ。

Ball では投稿された5秒間の音声が、24時間後には消えてなくなる仕様だ。この ephemeral な点といい、アメリカ西海岸の大学シーンからアプリが生まれた背景といい、Ball はSnapchat と生い立ちが非常によく似ている(Snapchat はスタンフォード大学の学生達が作り出し、一方、Ball の前身となる baby は U.C. Berkeley でユーザバリデーションが繰り返されていた)。

クローズドベータテストながら、Ball はアメリカのみならず、当初から日本国内でも利用を可能にするようだ。全くの新しい体験だけに、このコンセプトがどのようにユーザに受け入れられるかは未知数だが、このアプリが人間関係やコミュニケーションにどんな変化をもたらすか、今後の動向に注目したい。

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