楽天とBlackstorm、HTML5ベースのモバイルゲームプラットフォーム「R Games」をローンチ

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ローンチされた R Games のタイトル例
Photo credit: 楽天ゲームズ

日本のテック企業、楽天が東南アジアにおける e コマースサイトの閉鎖を決定したことが昨年大きく報じられた。そして、同社は現在新たな分野に参入しようとしている。モバイルゲームだ。

楽天は、米国に本社を置く Blackstorm と共同で開発した R Games というプラットフォームを本日(4月4日)ローンチした。このプラットフォームは HTML5ベースのゲームを対象にしている。これらのゲームの強みは、様々なデバイスで動作し、他のアプリからも起動できてダウンロードやインストールが不要なことだ。

R Games はローンチに際して、パックマンやスペースインベーダーのような懐かしの名作ゲームの復刻版を含めた15タイトルをそろえた。今後、サードパーティ製のゲームについても同プラットフォーム上で展開できるようにする予定。

R Games には様々なソーシャル機能があり、プレイヤー同士で競争したり、課題にチャレンジしたりすることができる。また、楽天のロイヤルティプログラムとも連動しているので、楽天スーパーポイントをアプリ内購入に利用することも可能だ。

HTML5の新たな希望

楽天ゲームズは、楽天と Blackstorm の間に「ジョイントスピンオフ」として設立された東京に本社を置く企業だと Blackstorm の共同設立者 Ernestine Fu 氏は言う。

楽天が Blackstorm と提携を結んだ理由は、Blackstorm が HTML5ベースの開発において優れた技術を持っているからだ。 Blackstorm はスタンフォード大学の PhD 候補生のグループから生み出された。

私たちは自らをアプリストアに取って代わる企業だと考えています。(Fu 氏)

Apple と Google のアプリストアがモバイルアプリ配信を支配する状況はいつか終わり、新たな配信プラットフォームが誕生するはずだと彼女は考えている。そして、そうしたプラットフォームになる可能性が最も高いのが、Facebook、LINE、WeChat のような広く普及しているアプリ、Fu 氏が言うところの「スーパーアプリ」だ。

HTML5で開発されたモバイルゲームには、どの端末からでも他のアプリからでもプレイできるという利点がある。特定のモバイル OS 向けに構築する必要のあるネイティブアプリとは対照的だ。

Blackstorm はこれまでに、楽天や Alsop Louie Partners などから3,300万米ドルの資金調達を行っている。Alsop Louie Partners はベンチャーキャピタル企業で、Twitch や Niantic Labs のような桁外れの成功を収めたゲームスタートアップに早期段階から投資していたことで知られている。

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Blackstorm 共同設立者で楽天ゲームズ取締役の Ernestine Fu 氏
Photo credit: 楽天ゲームズ

Fu 氏は、まずはゲームに焦点を当て、HTML5アプリの発展への機は熟したという仮説を証明したいと考えている。

Blackstorm は楽天と共に R Games を立ち上げる前に、Facebook と提携してそのテストを行っている。昨年11月には、Facebook の Instant Games の最初のタイトルの一つとして Everwings が登場した。

Fu 氏はこう説明する。

Instant Games は Facebook アプリ内でプレイできるゲームです。ゲームをクリックすると HTML5でゲームがダウンロードされますが、ユーザエクスペリエンスとしてはそれがわからないようになっています。

新たな試みではない

HTML5は、ここのところネイティブアプリの代替手段として宣伝されている。

日本のテック企業 GREE は、2012年に HTML5ベースのゲームプラットフォームのローンチを試みたが、2014年には失敗を認め、ネイティブアプリに逆戻りすることになった

Fu 氏と楽天ゲームズの CEO 荒木重則氏の考えによれば、大部分はタイミングの問題であり、HTML5は、それ自体が提供するメリットによってモバイルエコシステムにおける不可欠な要素になっている。

荒木氏はこう語る。

ダウンロードもインストールも不要で、タップするだけでプレイできます。HTML5ゲームのそういうところが最も私の心を動かしています。HTML5の時代が来ているのは間違いありません。

【via Tech in Asia】 @techinasia

【原文】

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