全米最大規模のテックイベント「TechDay」が今年もNYで開催——スタートアップ575社が出展、3.5万人が来場【ゲスト寄稿】

by ゲストライター ゲストライター on 2017.4.22

本稿は、ニューヨークを拠点に活動するジャーナリストで翻訳家の安部かすみ氏による寄稿である。昨年の TechDay に関する寄稿はこちら。


4月18日、ニューヨークで全米最大規模のスタートアップイベント「TechDay」が今年も行われた。毎年春に開かれる恒例のイベントで、6回目となるもの。

今年は計575ものスタートアップやアクセレレーターがブースを出し、テックファンはもちろんのこと、投資家や就職活動の学生、報道関係者など約3万5000人が会場に足を運んだ(数字は主催者発表のもの)。

会場は、マンハッタン区ミッドタウンの西端にあるイベント会場「ピア94」。

来場者の入場は無料だが、事前登録が必要。受付で登録内容を見せ、会場に入る。

「TechDay」の大きな目玉は、出展ブースの多さだ。575社は14カテゴリーに分けられ、カテゴリーごとにブースが配置されている。

カテゴリーの内容は「B2B」「エンタープライズ」「音楽&メディア」「健康&フィットネス」「Eコマース」「フィンテック」「ソーシャルメディア」「オンデマンド」「ソーシャルインパクト」「EdTech」「ハードウェア」「ファッション」「IoT」「そのほか」(ファッションとIoTは、今年から新設)。

各ブースを眺めるだけでニューヨークや全米におけるその年のテックトレンドが感じられる。だが会場のピア94はとにかくだだっ広い。その上にブース間の狭い通路は来場者で大混雑しており、ブースをサッと見て歩くだけでもゆうに1時間以上はかかってしまう。

どのスタートアップも新しいアイデアに満ち溢れ興味深いが、その中でも来場者の注目を特に浴びていた今年の「注目株」をいくつか紹介したい。

575社の中で特に注目を集めていたもの

ブランドの映像を観ながら商品を購入できる、AVEプラットフォームを提供する「Clicktivated」。ファッションテックはここニューヨークで特に近年注目されており、この日も女性の来場者が、興味深く質問していた。

(出典:http://www.clicktivated.com/

ビデオを観ながら気に入った商品をクリックすると、右側に商品情報が出てくる。

そこから簡単に、詳細を見たり購入したりすることができる。

「パノラマよりダイナミック」が売り。スマホで撮影した2Dイメージを360度のイメージに変換してくれるアプリ「Showaround」。撮影後、スマホを動かす(もしくはスクリーンをスライドする)と、被写体を360度どの角度からでも見ることができる。特に、不動産やEコマース関連の顧客が興味を持っているようだった。

ボトル水を購入するかわりに月1.99ドルを支払うと、マンハッタンの給水ステーションで水を無制限に補給できる「Reefill」。財布にも環境にも優しいスタートアップ。

中古家具の売り買いをオンライン上でできる「Furnishare」。創業者&CEO、アルペイ・コラルタークさん(写真)は2年前に同社を創業。品質の良い中古家具だけを取り扱い、事業拡大と共に今年TechDayに初出展した。

ニューヨーカーは大の犬好きで知られるが、ブルックリンに数ヵ月前から出現し話題になっているのがこの「Dog Parker」。店先に設置され、飼い主が買い物や食事をしている間に犬を入れておけるもの。スマホでアンロックできる。

コファウンダーのチェルシー・ブラウンリッジさん(右から2人目)と、愛犬で同じくコファウンダーのウィンストンちゃん。「犬を同伴できない店が多いけど、ウィンストンを連れてもっと外出したいと思い発案しました」とチェルシーさん。

室内はUVライトを使って除菌されているため、常に清潔で犬にとっても快適で安全な場所に保たれている。

ここにも大きな人垣ができていた。着物を着たチームは、日本のスナックを箱詰めにして毎月届ける「BOKKSU(箱)」。

アメリカの飲食業界では、ラーメンや抹茶に代表されるようにここ10年ほど日本食ブームが続いている。そこに着目したのが創業者のダニー・タインさん(左から2人目)。ダニーさんは日本に4年住み、日本のスィーツの大ファンになったそうだ。

桜をテーマにしたお菓子の箱詰め(月19ドル〜)。

こちらは大阪をテーマにしたもの(月19ドル〜)。

オフィス内に設置するための可動式の防音ボックス「Framery」。2人用もあり、ミーティングはもちろん、電話やビデオ会議などで使える。

企業と人材を繋ぐ検索エンジン「Humans」による、イラストレーターのデモンストレーション。

ご存知、あのスタートアップも出展

お馴染み「uber」。2009年に創業し、今や世界570都市にサービスを拡大するなど急成長を見せている。

ニューヨーク発のスタートアップとして地元で知名度の高い「via」。コンセプトはUberに似ているが、viaはカープール(相乗り)専門なのが売り。今やワシントンDCやシカゴにもサービスを広げる勢い。

おなじみの動画共有サイト「Vimeo」も、実はニューヨーク発。

「Shark Tank」&デモステージ、大企業担当者と会えるチャンスも

昨年からの試み、ABC局の人気リアリティー番組『Shark Tank』は今年も引き続き特設ブースを構えた。番組プロデューサーに直接プレゼンできるとあって長蛇の列ができ、参加者から白熱したプレゼンが繰り広げられた。

『Shark Tank』プレゼンのための列。

また、こちらも昨年からの試みだが、今年も会場内に2箇所のデモステージが設けられ、各社(要事前登録)それぞれ3〜5分程度のピッチの機会が与えられた。

暇だけど今晩どこに行ってよいかわからない。そんなときに友人が集まっているスポットを簡単に探せるアプリ「clusters」のデモ。

デーティングアプリの「Avec」のデモ。ルックスではなく、「映画」や「ワイン」など、共通の趣味を持つ相手に出会えるのが特徴だ。

また、今年の試みとして、企業担当者に何でも質問できる「アクセスコンファレンス」が新たに設けられた。チケットは235ドルで販売され、参加企業は「Yahoo!」「wework」「vimeo」「mongoDB」「Foursquare」など37社が参加。こちらも好評だったようだ。

2017年「TechDay」まとめ

会場をぐるりと周って毎年驚かされるのは、出展した575社のどのスタートアップもアイデアが個性的で唯一無二ということ。企業として大成功をおさめるのは狭き門だが、どのスタートアップも夢と希望を頼りに切磋琢磨し生み出した努力の結晶が満ち溢れていた。

そして日本人として思ったのは、「BOKKSU(箱)」の例のように、ダニーさんのアイデア自体は「Birchbox」などと何ら変わらないが、日本の菓子というアメリカ人には見慣れない内容だからこそユニークに映っていた。この事例を見ると、私たちが気づいていないだけで実は身の回りに、海外でウケそうなものやビジネスのアイデアになりそうなものがまだたくさん眠っているんだろうなと思わされる。

そのほかの写真で振り返る「TechDay2017」

See you next year!

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