Tokyo VR Startupsが第2期デモデイを開催——東京やソウルに引き続き、北欧でもVRスタートアップのインキュベーションを運用へ

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2017.4.24

gumi (東証:3903)が運営する、バーチャルリアリティ(VR)に特化したスタートアップ・インキュベータ「Tokyo VR Startups」は3月29日、東京都内でインキュベーション・バッチ第2期のデモデイを開催した。会場では第2期に参加した4チームのほか、Tokyo VR Startups と姉妹関係にある韓国の Seoul VR Startups(韓国 YJM Games との共同運営)から4チームが参加、さらに、gumi が出資する The Venture Reality Fund(The VR Fund)からも1チームが参加する盛大なイベントとなった。

本稿では、日本から第2期に参加したスタートアップ4チームの顔ぶれを紹介したい。

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Cover(カバー)

Cover は先日、TECH LAB PAAK の第7期デモデイにも登壇していたが、そこで紹介された VR ゲーム「Ping Pong League」とは異なるプロダクトを引っさげての登場、その名も社名と同じ名前の「Cover」だ。Cover はライブ配信とアニメを組み合わせ、ユーザが歌やダンスを〝カバー〟できる VR 配信プラットフォームだ。パフォーマーとなったユーザがヘッドマウントディスプレイを装着し、仮想空間上でアニメのキャラクターに成りきって演じることができる。

アニメを取り入れた VR 体験型ゲームでは、日本のバンダイナムコエンターテイメントが出した「サマーレッスン」が人気を博しており、また、中国では YY Music(YY音楽)などがライブのストリーミング配信に力を入れている。ビジネスモデルとしては、DeNA の SHOWROOM に見られるような観客からの投げ銭方式をイメージしているとのことで、ヘッドマウント・ディスプレイを持つユーザ以外にも、PC やスマートフォンで閲覧可能である点が特徴だ。

将来的には、髪型や服装が自由に編集できたり、ユーザが自ら撮影した360°動画や写真を取り込んで背景にしたりする機能、ゲーム実況やホワイトボードで画を共有できる機能などを追加したいとしている。

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GATARI(ガタリ)

ポケベルの時代、人々は数字記号やテキストでコミュニケーションしていたが、それがフィーチャーフォン、スマートフォンとデバイスが進化するにつれ、コミュニケーション手段もリッチな形に変化してきたと語るのは、東京大学の VR サークル UT-virtual の初代代表で GATARI の代表を務める竹下俊一氏だ。GATARI は、来るべき MR(混合現実)の時代のコミュニケーション手段やデバイスを念頭に、まずは、それを VR(仮想現実)の世界で実現しようとしている。

VR および、その先にある AR(拡張現実)や MR 時代のコミュニケーションにおいては、これまでのタイプによる文字入力に代えて、実在空間に音声でメッセージを残せるようになることが一般化すると仮定。そのファーストステップとして、今回のインキュベーション期間中には、音声認識によるテキスト入力、喋った会話の相手言語への翻訳出力、会話のキーワードの自動抽出を実現。今後は、コミュニケーションしている相手との視界共有などの機能を開発していきたいとしている。

HoloEyes

HoloEyes は、VR を使って医療分野に情報革命を起こそうとするスタートアップだ。人体の情報を 3DVR の形で情報共有し、医療の世界に役立てる。CT スキャンのデータを集め 3D の人体モデルを作り、それを集積することで医療 VR データベースができあがる。

例えば、「60代男性前立腺がん」というキーワードで検索すると、それにマッチした症例の 3D イメージを取り出すことができ、医師が類似症例の診断の参考にしたり、外科手術をする際のトレーニングに使ったりすることができる。病院には VR ビューアーを提供し、患者の同意を得て集めたデータを、医科系大学や製薬会社などに販売するビジネスモデルを想定している。

JollyGood(特別枠)

テレビ業界出身で、Wearable Tech Expo in Tokyo などのイベントをプロデュースしてきた上路健介氏は、ジョリーグッドを設立。昨年には、テレビ制作業界向けの VR ソリューション「GuruVR Media Pro」をリリースした。2019年には、テレビ局の地上波・インターネットのサイマル放送が解禁されると見込まれており、上路氏は、テレビは見る時代から体験する時代になると予測。一方で、テレビの制作サイドから見た場合、手軽に VR を番組制作に導入できるしくみがないことから、このソリューションの開発に至った。

GuruVR Media Pro のビジネスモデルは、初期導入費用と導入時のレクチャーを含むイニシャル費用と、VR コンテンツを配信するための CMS(Content Management System)のコンテンツ量とダウンロード量に応じたランニング費用で構成される。VR コンテンツは土地や空間とひも付きやすく、地方のテレビ局と相性がよいのだという。視聴者にとっては、名の知れたテレビ局が提供することで手を出しやすくなり、一般市民が入れないような場所の VR コンテンツを疑似体験できるのも差別化要素となる。

VR 空間上に映る画像が、何であるかを自動判定できる人工知能サービスも開発中。今年の2月には、VR 酔いのしない VR コンテンツのポストプロダクション・ツール「Mocha VR」を開発する Boris FX と提携した。VR 製作者100万人のネットワークを持つ Boris FX と、ジョリーグッドが開発した人工知能サービスをかけあわせ、4月25日にラスベガスで開催される世界最大の放送機器展「NAB SHOW」では、新サービスを発表予定。

ジョリーグッドは、2016年8月に gumi から1億円を資金調達している。


Image credit: Masaru Ikeda

なお、gumi では Tokyo VR Startups、Seoul VR Startups を通じて VR スタートアップのインキュベーションを行なっているが、3月30日に都内で開催された Slush Tokyo 2017 では、Nordic Film との JV により、Nordic VR Startups を開始することを発表した。

Nordic Film はデンマークに本拠を置き、北欧地域で映画制作・映画館運営・プレイステーションのディストリビューション事業を展開している。Nordic VR Startups では、北欧地域のスタートアップに最大で10万ユーロを拠出し、VR 製品のプロタイプ製作を促すほか、技術支援やビジネス支援を行う。

gumi はこれに先立ち、今年1月にはベルギーを拠点とする、VR デベロッパのコミュニティ EUVR との提携も発表している

Tokyo VR Starups では先ごろ、インキュベーションプログラム第3期に参加を希望するチームの応募受付を開始した。応募の締切は5月14日となっている。

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