経費精算クラウド/アプリの「Staple」、8月にバージョン3をリリースへ——Microsoft AzureやOffice 365と連携、エンタープライズ利用に対応

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経費精算を効率化するクラウドサービス/モバイルアプリ「Staple(ステイプル)」を開発・提供するクラウドキャストは27日、Staple のバージョン3をリリースすることを明らかにした。バージョン3のリリースは8月1日の予定。これは、同サービスが NFC を使った交通系 IC カードからの履歴読込に対応したバージョン2のリリースから、約2年ぶりのメジャーアップグレードとなる。

バージョン3で追加される主な機能は、Microsoft Azure と Office 365 との連携だ。これは、クラウドまたはオンプレミス環境で、社員の主要サービスアカウントを Microsoft の Active Directory で運用管理している企業にとって、Staple 上で個別のアカウント管理の手間が極少化されることを意味する。

Staple は昨年「Staple for 弥生」を発表しているが(クラウドキャストは弥生から、2013年に2,500万円を調達している)、今後、ERP やサードパーティのエンタープライズ向けクラウドやパッケージにも積極的に対応し、中大規模の企業ユーザを取り込んでいきたいとしている。なお、バージョン3 と並行して、これまでのバージョン2 は個人事業主・中小企業向けのプロダクトラインとして残存させる。バージョン3 の料金体系は、Staple 従来のユーザ数課金に加え、一導入あたり10万円から。

Staple バージョン3 では、Slack とも連携が可能に。

クラウドキャストの創業者で代表取締役の星川高志氏は、同社が狙う Staple バージョン3のボリュームゾーンは、社員規模200〜300名規模だそうだ。

長年やってきた中で、かなりノウハウが貯まってきた。次に解決すべきはピークタイムの平準化だと考えている。月末月初に集中しがちな経費精算業務を、いかに恒常的に平準化するかが課題。

月末月初に業務のピークが来るために、企業では、その業務キャパシティに耐えられるようにアドミン業務を始めとするバックオフィス要員を揃える必要がある。経営の合理化や業務の効率化だけでなく、人材難に対応する観点からもピークタイムの平準化は企業にとって大きな課題であり、この問題を解決することで得られるインパクトは、企業規模に相応して大きいものになる。

Staple バージョン 3 で実装される、ダッシュボードの承認フロー画面。

現在 Staple では、NFC 対応の「Staple リーダー」で Suica や PASMO から交通乗降データを取り込み、これらを駅すぱあとが持つデータと照合して、定期運賃が適用されなかった区間の交通費を自動的に算出/計上できるしくみを確率できている。入力・料金算出・計算・申請といった経費精算に必要なタスクを可能な限り排除し、恒常的な経費精算を促そうというわけだ。

今後 Staple に期待される動きとしては、Facebook がオープンソース化したモバイルアプリ開発フレームワーク「React Native」への対応と iOS 向けアプリでの NFC 対応が挙げられる。クラウドキャストではバージョン3 から React Native に対応すべく、海外からエンジニアを招聘している。React Native を採用したことでアプリの操作レスポンスが改善され、iOS と Android アプリがほぼ同時期にリリースできるようになりそう、とのこと。

また、次期 iOS では iPhone の NFC にアクセスできる SDK も提供されるとみられ(現行の iPhone にも NFC は実装されているが、基本的には ApplePay など Apple ネイティブからのアクセスに利用が限定されている)、Android アプリ(Staple リーダー)に限定されていた交通乗降データの取込が、iOS の Staple で完結できるようになる日も近いと考えてよいだろう。

Staple のバージョン3 は現在、中大規模企業2社が既に利用しており、10社程度がトライアルを始めたところ。今後はユーザからのフィードバックをもとに、社内ルールの設定、多段階承認フロー、管理ダッシュボードなどの機能を充実させていきたいとしている。

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