VR制作ソフトウェア開発のDVERSE(ディヴァース)、建築土木業界で利用される点群データを使ったVR活用実証実験を開始

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2017.6.9

お寺をドローンで撮影した点群データを、SYMMETRY alpha で再生した例

VR(バーチャルリアリティ)制作ソフトウェアを開発するスタートアップ DVERSE(ディヴァース)は9日、同社の VR ブラウザ「SYMMETRY alpha(シンメトリ・アルファ)」に、建築土木で利用される点群データ(point cloud = 地形、建物の3D座標及びRGBのカラー情報)を取り込み、建築土木の工程を効率化する実証実験を開始すると発表した。実証実験の詳細については、本日午後、長野市内で開催される生コンクリート業界のコミュニティ「GNN(元気な生コンネットワーク)」の技術勉強会で、DVERSE の創業者 兼 CEO 沼倉正吾氏が登壇・発表する予定だ。

この実証実験に際し、DVERSE は、一般公開版では CAD データ(SketchUp ファイル)しかインポートできない SYMMETRY alpha を点群データ(.rcp ファイル)を扱えるように拡張。ドローンやレーザースキャナにより取得した点群データを SYMMETRY alpha で読み込むことで、ユーザは VR 空間上に身を置いて、建築物の大きさ、形、色などを体感することができるようになる。

この実証実験は、国土交通省が進める「i-Construction」のコンセプトに準拠している。日本では、高齢化や人口減少などの影響から、建築や土木に従事する労働者数が下降の一途を辿り、社会インフラや建築物の安全性を維持する上で、この分野の圧倒的な効率化が求められている。ドローンを使ったレーザースキャンで実寸イメージを取り込み VR で体感することができれば、従来の方法で測量だけで数週間を要していた作業の一部を、数時間程度にまで圧縮できる可能性がある。

今回の実証実験では、建築土木現場に最新 IT 技術の導入・実施検証を行う建設業者ネットワーク「やんちゃな土木ネットワーク(略称:YDN)」が協力する。沼倉氏によれば、「DVERSE は技術はわかるが、現場にどんなニーズがあるかわからない。YDN は現場の課題を痛感していて、それを解決できる技術を求めている」ということで、相互補完の関係にあるという。

今回の実証実験にあたり、i-Construction を推進する、国土交通省総合政策局公共事業企画調整課の新田恭士氏は、次のようにコメントを寄せている。

VR の一番の強みはリアルな「疑似体験」ができること。現場の臨場感やスケール感が体験でき、瞬く間に理解度があがる。土木分野では、計画段階から設計者・地域住民・利用者が具体的な完成後のイメージを共有できる。工事段階では、作業者の危険分析だけでなく、時系列に工程プロセスを共有でき、施工管理だけでなく監督検査での利用も期待できる。VR 活用の新たな提案により合意形成や意思決定を加速し、生産性が革新的に向上することを期待しています。

DVERSE の今後の展望について、沼倉氏は、点群データを取り込めるところから、それをストリーミングでライブ再生できるようになれば、より VR として(あるいは、むしろ、MR の一つとして)の可能性が大きく広がるだろう、と期待を込めて語った。「カジュアルに使われるようになるのは少し先になるかもしれないが、まずは SYMMETRY alpha を建築土木の世界から浸透させていきたい」とのことだ。

DVERSE が SYMMETRY alpha をローンチしてから4ヶ月弱が経とうしているが、沼倉氏によれば、日本国内よりも、アメリカ・中国・ヨーロッパからのダウンロードや問い合わせが圧倒的に多いのだそうだ。DVERSE は今年4月、アメリカ建築家協会主催のイベント「AIA Conference on Architecture 2017」に SYMMETRY alpha を出展している。

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