北京でコワーキング事業を展開するMyDreamPlus(夢想加)、差別化のカギを握るのは「ワークプレイステクノロジー」

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中国ではコワーキングが本格的なブームを迎えている。資本家たちは市場シェアを獲得するために、規模を問わずプレイヤーの支援に乗り出そうとしており、またしても中国テクノロジー業界はその歴史を繰り返している。

MyDreamPlus(夢想加)は北京で16のスペースを展開するコワーキングスペース運営企業で、今回全国展開に向け、Joy Capital(愉悦資本)がリードする2,000万米ドルのシリーズBラウンドを完了したばかりだ。同社は2015年末にもシリーズAラウンドで500万米ドルを調達している。

設立者で MyDreamPlus の Bill Li(李文磊)氏は TechNode(動点科技)に対して次のように語っている。

私たちの OaaS(Office as a Service)商品は、うまく活用することでスペースの拡大に活かすことができるところまで来ています。シリーズBで調達した資金は、スペースの拡大とオフィスのユーザエクスペリエンス向上のために利用します。また、人材やチームづくりにも資金を投入していく予定です。

同社はメインの進出先として北京を考えており、同都市においてスペース数を増やしていくことを目標としている。現在、複数のスペースを新たに建設しているところで、その総面積は約3万平方メートルにもなり、全て北京の主要な商業エリアに設けられている。

上海と成都も拡大計画に含まれています。(Li 氏)

MyDreamPlus(夢想加)の創業者でマネージングディレクターの Bill Li(李文磊)氏

今回の資金調達の裏では、大手競合企業らが中国のコワーキングスペースをめぐる戦いに多額の資金を投じていた。国内では、4月にライバルの New Space と合併したばかりの URWork(優客工場)が、今週初めに約5,800万米ドルを調達した。同社は1月にも同額程度の資金調達を行っている。上海に本社を置く URWork はさらに、グローバル展開を加速させるためにシリーズBラウンドも予定している。加えて、豊富な資金を持つアメリカの WeWork も中国市場に興味を示している。

多くの競合企業が参戦してくる中で、コワーキングスペースの管理・運営企業は「どうすればユニークであり続けられるだろうか?」という問題に直面している。URWork や SOHO3Q のような運営企業は、不動産分野のバックグラウンドを持っているため不動産資源という強みを持ち、naked Hub(裸心社)のような企業はホスピタリティの専門知識を駆使した設計と運営面で優れていると言えるだろう。

MyDreamPlus チームは、ますます競争が激化する市場において、差別化要因となるのはワークプレイステクノロジーだと考えている。コワーキングスペースと言えば、洗練された空間にデスクのみが配置されている、という考え方はもはや時代遅れで、これからはテクノロジーがコワーキングスペースの重要な要素になる、と Li 氏は指摘する。

中国ユーザの習慣に完全に適応するために、オフィスユーザが WeChat を通して全てを制御することができるよう MyDreamPlus の OaaS システムは設計されている。WeChat(微信)から登録すれば、ドアロックシステム、ワークステーション、会議室、プロジェクター、複合機などほとんどのリソースを外出先から制御することができる。また、この OaaS システムによってスペース運営企業は、スペースの人の出入りや施設、コミュニティの状況を把握することができる。

技術サポートに関して言えば、MyDreamPlus の現場運営チームは効率的だ。

現時点では16のスペース全てについて、3,000平方メートルにつき1人のコミュニティマネージャーを現場に配置しています。(Li氏)

これにより、同社はチームスタッフの多くを商品開発に割り当てることができる。100名いるチームスタッフのうち約70%がコア開発の3つのパート(スペース設計、研究開発チーム、コミュニティ運営)に従事している。

Li 氏によると、MyDreamPlus のスペースの稼働率は、通常、営業開始から3ヶ月ほどで95%になるという。料金は1,800人民元から2,200人民元まで、立地によって異なる。WeWork の中国事業よりは安く、他の国内プレイヤーとは同程度だ。

コワーキングスペースが急速に拡大する中で、Bill Li 氏はこの業界が持つポテンシャルは非常に大きいと考えている。

オフィス市場全体で考えると、コワーキング業界が占める市場シェアは依然として非常に小さいものです。全てのコワーキング運営企業が運営するスペースを合わせれば、現在でも数十万平方メートルになります。しかし、オフィス業界を見れば、おそらく従来型のオフィススペース市場全体の1%にも及びません。つまり、道のりはまだまだ長いということです。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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