コネクトフリー、ユーザが自ら発行できる認証済IPアドレス「EVER/IP」のサービス展開を本格化——ICOによる資金調達を実施へ

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2017.7.13

久しぶりに希代の神童から連絡があったので、会いに来てみた。1〜2年に一度の割合で、新しいサービスを出してくる Kristopher Tate(帝都久利寿)氏だ。たびたび新しいサービスを出していると言うとピボットしているように聞こえるかもしれないが、彼のサービスにはある種の一貫性がある。技術的にも裏付けがあるのだが、常に先進的過ぎて、世間が追いつけていないという表現が正しいだろうか。

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今回、Tate 氏が紹介してくたのは「EVER/IP」という新プロダクトだ。通常、グローバル IP アドレスというのは、我々が必要に応じて ISP(インターネットサービスプロバイダ)から借りていて、さらにたどると、ICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)から借りている。EVER/IP は、グローバル IP アドレスをユーザが自分で発行してしまおうというものだ。

ユーザが自分でグローバル IP アドレスを発行できると何がうれしいか、という話なのだが、Tate 氏が先週説明会で行なったプレゼンテーションを筆者なりに理解すると、次のような効用がまとめられる。

  • IP アドレスは、個人(またはデバイス)に結びつくので、最初から source と destination が認証済になる。途中経路も暗号化される。現在、インターネットの世界で使われている暗号化/認証は、PKI(公開鍵基盤)のしくみをベースにしているが、自分がグローバル IP アドレスを発行できる空間においては、発行している自分がアドレス割当先の認証に責任を持てる。
  • IP ルーティングの効率化。通常、インターネットのルーティングでは、1ホップ先のルータをゲートウェイに指定し、そのルータがルーティングマップに沿って次のホップへと、バケツリレーを繰り返すわけだが、EVER/IP では周辺ホップの複数のルーティング情報を把握できる。
  • 既存の IP インフラの上でも動作する点。IPv6 の上では VPN と同じ動きをするとのことだった。おそらく、IP パケットがカプセル化されるということだろう。では、もっと一般的な IPv4 の上ではどういう動きをするのか、ということなのだが、この点については筆者は Tate 氏に確認を怠った。筆者の理解が追いつくかどうかはともかく、次回、彼に会った時に確かめてみたい。

PKI において認証のベースとなる CA(certification authority)の考え方は、認証局の存在はカスケード的に真正性を皆で信じましょうよね、という前提に立っているので、ブロックチェーン技術の台頭とともに頻繁に議論される「decentralize(非中央集権化)」の考え方とは、確かに相反している気もする。そう考えれば、EVER/IP は IP アドレスやインターネットの認証技術を decentralize しようとするアプローチとも理解できる。

インターネットにおける暗号化や認証が特に問題になるのは、IoT デバイスをインターネットにつなごうとしたときだ。人間ならウェブブラウザを通じて ID やパスワードを入れたり、場合によってはモバイル機器などを駆使して二段階認証にしたり、ウェブブラウザに表示される証明書の真正性を示すマークを信じたりすればいいわけだが、デバイスではそうはいかない。EVER/IP の本当の効用は、実は IoT 周辺で発揮されるのかもしれない。

Tate 氏の牽引するスタートアップ ConnectFree は、この EVER/IP の技術やプロダクトの開発強化を目的として、近く ICO による資金調達を実施する計画だ。詳細は現時点で明らかになっていないが、19日に発表するということなので、ConnectFree のウェブサイトをチェックしてみるとよいだろう。

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