伝説の人気ガジェットブロガー堀口英剛氏率いる「drip(ドリップ)」、ブログサイトマーケティングサービスでICJから2,000万円を資金調達

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2017.7.26

伝説の人気ガジェットブロガー PITE. こと堀口英剛氏に筆者が初めて会ったのは、2014年の WordCamp に登壇させていただいたときのことだ。「number333」という名前で月間数十万 PV を集めていた堀口氏の人気ガジェットブログは、彼がヤフーに就職したのを機に「monograph」と名を変えその後も高い人気を誇ってきたが、今年の春あたりから、彼は複数の人気ブロガーをネットワークし「drip(ドリップ)」というサービスを走らせていた。そして、堀口氏の会社ドリップは今日、独立系ベンチャーキャピタルのインクルージョンジャパン(ICJ)から2,000万円を調達したことを明らかにした。

drip が提供するのは、人気ブロガーを始めとする個人の情報発信者をネットワーク化し、企業にマーケティング方法を提供するサービスだ。企業がオンラインマーケティングする際、広告、記事広告、タイアップキャンペーンなど依然として、その方法は限られている。マスメディアに比べれはターゲットを絞りやすくなっているが、オーディエンスが自ら情報を取りに来てくれ、情報の浸透度も高くなるプル型のメディアにリーチできる方法は乏しい。ニッチなトピックを扱いながらも、非常に層の厚いギークが集まる個人ブログに企業をリーチさせることはできないか、そんなアイデアから drip は生まれた。

drip 共同商業者の堀口英剛氏(代表取締役 CEO、右)と平岡雄太氏(代表取締役 COO、左)は、共にヤフーの出身
Image credit: drip

堀口氏はヤフー在籍時に大手広告代理店向けの広告営業を担当していて、企業のマーケティングには人一倍精通していたが、自身で人気ブログを運営していたこともあり、企業から「有償でもいいから商品の紹介記事を書いてほしい」と頼まれることが多かったのだという。ヤフーは社員に副業を認めているが、堀口氏はまず drip のアイデアをヤフー社内で事業企画書として提出。しかし、 ヤフー社内を含め複数の人々から自らのビジネスとして起業することを進言され、堀口氏はヤフーを出て、今年2月に drip を立ち上げた。

企業の紹介記事依頼をブロガーに頼んだ場合、どうしても気になるのは、記事がステマっぽくなってしまう危険性だ。ステマ記事が増えると読者は離れていき、そのブログは読者を失い、記事を依頼した企業も依頼を継続できなくなってしまう。drip では、コンテンツの品質を認定しネットワークに参加してくれる人気ブロガーを「バリスタ」と呼び、記事の読者と記事を依頼した企業の双方から評価をフィードバックしてもらう体制を整え、また、企業から依頼された上での記事であることを命じして、これらの問題を防いでいる。

drip が仲介した記事は、サービス開始からこれまでに200件ほど。一般的な広告で読者から得られる満足度は20%前後なのに対し、drip が扱った商品の紹介記事は概ね80%を超える満足度が得られているのだという。この理由として、堀口氏は、1) 質の高いアウトプットが出せていること、2) ユーザ体験が残せていること、3) 読者の共感が得られていることが背景にあると分析している。確かに、我々が普段記事を書いているスタートアップ業界にも、生業で記事を書いている我々とは比べ物にならないくらい、本業ではないものの知識や洞察が半端なく長けている人の作品に出会うことがある。彼らが文章を書くモチベーションは、決してお金ではなく、ユーザ体験や知識の共有や共感にあって、そのような記事は往々にして絶大な好評判を呼ぶことになる。

drip が企業からの依頼記事を提供するブログサイト(一部)

drip に参加するバリスタは現在40名ほどで、その約9割は男性だ。現在のところは、紹介記事を書いてほしい企業と、そのトピックに合ったバリスタをつなぐ仲介業に終始しているが、堀口氏によれば、当面はバリスタの数や参加ブログの数を増やすよりも、一つ一つのブログサイトの価値を高めていくことに傾倒したいとのこと。価値向上を一段落させた後、来年以降にバリスタを1,000名ほどまでに増やし、企業とのマッチングを自動化できるプラットフォームにまで成長させる考えだ。

drip を広義でインフルエンサーマーケティングのしくみと捉えれば、人気 Instagrammer や YouTuber を集める MCN(マルチチャンネル・ネットワーク)や、アジャイルメディア・ネットワーク(AMN)の「レビューズ」などとも似ているが、drip が抱えるブログネットワークの読者のボリュームゾーンは20代男性ということで、好敵手とのターゲットの差別化は図りやすいだろう。将来的には drip を通じて、バリスタだけでなく、ものづくりをしている人々を応援できるようなしくみにしていきたいと、堀口氏は抱負を語ってくれた。

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