スマートロボットにとっての小脳の機能を開発するSlamtec(思嵐科技)、自律的な位置計測とナビゲーション技術で注目を集める

by TechNode TechNode on 2017.7.1

脳は非常に複雑な器官だ。どのように機能し、体の動きを司っているかについて、私たちはとても完全に理解できているとは言えない。今のところ AI は、おそらく脳の機能のうち最も簡単な部類の分野にフォーカスして開発されている。学習、コミュニケーション、記憶、感覚機能などだ。

一方で、随意運動を制御・統制する小脳の役割については、研究対象としてまだ十分な市場の注目が集まっていない。こう指摘するのは、Slamtec(思嵐科技)で CSO(最高戦略責任者)を務める Lin Ling(林凌)氏だ。

Lin 氏は次のように説明する。

SLAM(自己の位置を推測し、同時に周囲の環境マップを作成すること)はAI の一分野です。AI は大脳の役割を果たし、視覚のレーダーとして機能します。SLAM は小脳としての機能を発揮し、ロボットが滑らかに動いたり、バランスを保ったり、固有受容性(自己の体の動きや位置変化などに関する感覚)による知覚を得たりすることを可能にします。

Slamtec はクリエイター集団である RoboPeak から派生したスタートアップだ。元々は情熱を持ったエンジニアのグループが本業の片手間に手掛けたブートストラッププロジェクトであった。

RoboPeakが設立された2009年当時、私たちのようなクリエイター集団にとって、レーザーレーダーはコストが高すぎました。(Lin 氏)

チームはある程度の精度の低さには目をつむることとし、これによって同社製品「RPLIDAR」のコストをなんとか大幅に引き下げることができた。すぐに量産に入れるプロトタイプがあり、マーケットの潜在的な需要も大きかったことから、RoboPeak チームは2013年に Slamtec を設立し、ビジネスとして取り組む決断をする。

Slamtec は CES 2017 で Zeus を展示

その名の通り Slamtec は、ロボット用の自律的な位置計測とナビゲーション技術を手頃な価格かつオールインワンのソリューションとして提供するスタートアップだ。同社は低価格帯の製品として RPLIDAR を扱っているが、LIDAR 技術を採用した SLAM ソリューションと、ロボットプラットフォーム「Zeus」に徐々に軸足を移しつつある。

Lin 氏はこう付け加える。

RPLIDAR は、ロボットに移動手段を与えるという私たちのビジョンにおいてほんの始まりに過ぎません。現実的にロボットが置かれる状況を想定すれば、私たちが取り組むべき状況はより複雑なものになります。ロボットが移動すれば、周囲の環境も変化します。これこそが私たちが SLAM に移行している理由です。SLAM は、未知の状況下でロボットが環境をマッピングできるようにするアルゴリズムです。また、同時に位置のトラッキングも行います。

同社の「SLAMWARE」は高度に統合されたモジュールで、ロボットによる自律的な位置計測とナビゲーションを可能にするソリューションだ。RPLIDAR の開発で培った SLAM 技術と、これに対応する経路探索機能を含んでいる。

これまでのところ、最も一般的な応用事例としてはロボット掃除機が挙げられるが、Slamtec はその他にも適用分野を広げようとしている。

Lin 氏は次のように述べる。

消費者家電としてロボット掃除機が台頭してきた理由として、一つには人々が掃除機を使い慣れており、毎日の暮らしで活用できるという点があります。企業向けか家庭向けかを問わず、新しい技術が広まる際は同じような道を辿っています。

彼はまた、セキュリティとファイナンス分野において、企業向けロボットとして初のブームが到来する可能性があると付け加える。

Slamtec の汎用ロボットプラットフォーム「Zeus」は、このブームに乗ることを意図して開発された。Zeus は自律的な位置計測とナビゲーションを可能にする拡張版 SLAMWARE を搭載し、モバイル広告、ビデオ会議、人間への同行、荷物の配達など、予想を超えた様々な使い方に対応できる。

ロボット業界は AI ブームに乗っており、中国をはじめ世界中で活気を帯びている。Lin 氏は次のように語る。

ですが、私たちが予想していたよりも市場は遅いペースで成長しています。私たちは、この分野に中国で最初に取り組んだチームの一つとして、2017年から2018年にかけて真のブームが訪れることを期待しています。

過去4年で、Slamtec は創業メンバー5人の体制から90人のスタッフを擁するまでに拡大した。今年後半にはシリーズBラウンドの資金調達を計画している。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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