出産で離職した女性たちの仕事復帰を支援するスタートアップWaris【ゲスト寄稿】

by ゲストライター ゲストライター on 2017.7.30

本稿は、Disrupting Japan に投稿された内容を、Disrupting Japan と著者である Tim Romero 氏の許可を得て転載するものです。

Tim Romero 氏は、東京を拠点とする起業家・ポッドキャスター・執筆者です。これまでに4つの企業を設立し、20年以上前に来日以降、他の企業の日本市場参入をリードしました。

彼はポッドキャスト「Disrupting Japan」を主宰し、日本のスタートアップ・コミュニティに投資家・起業家・メンターとして深く関与しています。


Waris 代表取締役 田中美和氏

【8月4日18時更新】女性登録者の数を、35,000人超から3,500人超に修正。

Waris の CEO 田中美和氏は、日本の女性の労働環境を改善すべく日夜努力している。スタートアップと大企業の双方で、日本の女性の役割が変化しつつあることは Disrupting Japan でも数多く取り上げてきたが、田中氏はこのテーマについて、彼女ならではの見方をしている。

Waris は、子供を持ったことで離職した日本の女性が、再び仕事に復帰するのを支援するプラットフォームだ。田中氏が説明するように、物事がよくなりつつあることを示すサインの一つが、労働の多様性についてのトレーニングを依頼してくる企業が一定数いるようになったことだ。

興味深い対話になると思うので、楽しんでいただけると思う。

Tim:

Waris について教えてください。

田中氏:

Waris は、専門的な業務スキルを持っていて、柔軟な労働時間体系で復職したい女性たちのための仕事マッチングプラットフォームです。仕事の多くはパートナイムかリモートワークで、これは子供がいる母親にとっては完璧と言えます。現在、子供を持った女性の約60%が仕事を離れます。労働時間が長く残業の多い伝統的な日本の企業文化が、日本のママが仕事をするのを難しくしています。

Tim:

Waris は、クラウドソーシングプラットフォーム、もしくは、職探しサイトなのでしょうか?

田中氏:

その間くらいでしょうね。平均的な契約は7ヶ月で、クライアントと業務を受ける人の間には緊密なやりとりが発生することから、クラウドソーシングというわけでもありません。しかし、業務を受ける大半の人は永久的な業務ポジションを求めておらず、リクルーティングサイトというわけでもありません。

Tim:

多くのユーザは、Waris を次の新しい職業への踏み台として使っているのでしょうか? あるいは、フリーランサーとしてのライフスタイルを謳歌しているのでしょうか?

田中氏:

Waris で業務を受けている人々の約30%は、フルタイムかパートナイムで復職したいと言っており、約20%は新しいクライアントを見つけるために Waris を使うフリーランサーです。つまり、これらの女性たちの約半分が、本当にどうするかは決めていないということになります。日本では、男性に比べると、女性の方がフリーランサーになるのは難しいと思います。

Tim:

どうしてですか?

田中氏:

女性は男性に比べ交渉するのが大変で、本来よりも安い値段で手を打ってしまうことが多いからです。

Tim:

以前、子供を授かった後の女性が復職すること大変さについて、話していただいたことがありました。より多くの女性がフリーランスを始めるようになると思いますか?

田中氏:

そうなると思います。それは、労働時間や残業だけが理由ではないです。一度、職務上のポジションを離れると、そこに戻るのは大変難しい。キャリアパスが中断されてしまい、そのキャリアを再開するのは難しいからです。フリーランスは、自分のキャリアやスケジュールを自分で制御できるし、多くの人々がフリーランスに魅力を感じるようになるのは当然のことと言えます。

Tim:

Waris は、仕事マッチングサイトというよりは、コミュニティのようですね。

田中氏:

その通りです。このようなライフスタイルで毎日を送りたい、もっと多くの女性を支援したいと考えています。フリーランサーになることは、日本では以前よりも人気のあるキャリアパスになりつつあります。30代や40代の人々には特にそうです。

Tim:

35,000人以上3,500人以上の女性が登録していますね。最も需要のあるスキルは何でしょうか?

田中氏:

PR とマーケティングですね。それには、従来型の PR やマーケティングと、より現代のデジタルなスタイルのものの両方が含まれます。我々の企業顧客の約70% はスタートアップです。彼らには、経験豊かなプロフェッショナルをフルタイムで雇用するだけの金銭的余裕はありません。しかし、そのスキルセットを持つ人にはアクセスしたいというわけです。

Tim:

非常に多くのリクルーティングサイトがある中で、人々にどうやって Waris のことを知ってもらったのですか?

田中氏:

ほとんどは口コミで、我々は業務経験のある女性に特化してきました。我々の知る職業経験のある女性たちに仕事をお世話することで我々が成長し、そこに本当の需要があることがわかりました。我々の活動を多くの人々が気に入ってくれ、彼女たちは自分のネットワークを通じて、他の人に伝えてくれるようになりました。雑誌やテレビからも、好意的な取材を受けるようになりました。

Tim:

Waris は企業にコンサルティングも行っていますね。どのようなものですか?

田中氏:

仕事マッチングが我々のメインビジネスですが、我々は職場の女性を啓蒙したり、出産後にキャリアを継続できる女性がいられる社風を作ったりする方法についても、クライアントと協業しています。たいていの大企業は、女性が出産を機に離職することで、多くの才能ある人材を失っていると考えており、その問題を解決する方法を求めています。彼らがあまりに重視し過ぎているのは、オフィスで何時間過ごしているかという点です。企業は、より重要な指標に移行したいと考えています。

Tim:

それは、日本のビジネス文化の大きな部分ですね。変わると思いますか?

田中氏:

既に変わり始めていると思います。安倍首相と日本政府はワークライフバランスに着目し、日本のビジネス文化を改善してきました。法律や規制を変えるということよりは、むしろ、人々の姿勢を変えてもらうという点においてです。重鎮の政治家や政府官僚にこの問題について話してもらうことで、企業は自らのプロセスを見直すことにつながり、それは姿勢を変える第一歩となっています。

Tim:

フリーランサーになるという姿勢にも変化があるようですね。

田中氏:

そうです。人々はかつて、フリーランサーは大企業で仕事を得にくい立場だと考えていましたが、自ら独立した立場を求めてフリーランスとしてのキャリアを選択する人々が増えています。以前の企業内での仕事よりも多くのお金を稼ぎ、より多くの自由を獲得しているフリーランサーは大勢います。


日本で状況が急速に変化していることは、素晴らしいことだと思う。ほんの10年前、卓越した政治家たちはフリーターやニートを社会の寄生虫だと批判し、恒常的な職業に就くことを求めた。現在では、たいていの政治家や官僚たちが、職業スキルの豊かな人材こそが、イノベーションを育て新しいビジネスを作り出す上で不可欠の存在だと考えるようになった。

田中氏との対話を通じてのもう一つの心動かされた点は、彼女のクライアントの大多数がスタートアップだということだ。サンフランシスコやロンドンであれは、これは驚くほどの話ではない。事実、多くのスタートアップの初期顧客は、しばしば他のスタートアップだが、日本では目新しい事象だ。これこそ、本当のスタートアップ・エコシステムの現れであり強さである。

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