「今辞めたら絶対後悔する」再起を支えた若きCTOの苦悩ーー隠れたキーマンを調べるお・クラシル運営delyの大竹氏

by OshibaTakanori OshibaTakanori on 2017.7.8

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編集部注:「隠れたキーマンを調べるお」は、国内スタートアップ界隈を影で支える「知る人ぞ知る」人物をインタビューする不定期連載。毎回おひとりずつ、East Venturesフェローの大柴貴紀氏がみつけた「影の立役者」の素顔に迫ります。

今年30億円の資金調達を行い、スタートアップ界で一際注目を集めるdely。delyが運営するレシピ動画「クラシル」はテレビCMなどの影響もあり、一般層への認知度も高まっています。そんな今一番勢いのあるdelyを代表の堀江裕介氏とともに創業した取締役CTOの大竹雅登氏。dely創業事業の撤退、その後の苦難、そして「クラシル」の成長などいろいろお伺いしてきました。

大柴:お久しぶりです。五反田のオフィスになって初めて来ました。最後にdelyのオフィスに行ったのは、去年の正月明けで、その時は渋谷のオフィスでしたね。

大竹:五反田には去年の夏に移転しました。去年の正月に大柴さんがいらっしゃった時はレシピ動画を始めたか始めないかの頃でした。

大柴:あぁそうなんですね!あの頃はいろいろと事業に悩んでるような感じもしましたが、それからは一気に盛り上がってますね。では、その辺のところは後ほど順番に聞いていきますので、今日はよろしくお願いします。

大竹:よろしくお願いします。

大柴:大竹さんはおいくつなんですか?

大竹:今年24歳になります。堀江(dely代表取締役)の一つ下になります。

大柴:そうなんですね。いやぁ、若いなぁ…。堀江さんとは最初どのようにして知り合ったのですか?

大竹:起業に興味のある人が集まってるFacebookグループがあって、そこにお互い参加してたんです。でもそこは人数も多くて、堀江とも特に話をすることもなく。

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大柴:なるほど。

大竹:ただ堀江のことは認識していました。慶應にホリエモン(堀江貴文氏)が講演にきたときに堀江が質問してて、それをブログに書いていたんです。「慶應のホリエモンがホリエモンに質問してみた」という記事で(笑)。

大柴:堀江さんらしいなぁ(笑)。

大竹:なので堀江のことは認識はしていたんですが、初めて話したのはFacebookのグループがきっかけです。メッセがきて「起業するんで、エンジニアを探してます。会いましょう」というような趣旨のメッセがきまして。その段階では一度も会ったことはないです(笑)。

大柴:なるほど(笑)。そして実際に会ったわけですね。

大竹:はい。綱島の上島珈琲で会いました。駅から店まで少し歩くのですが、「あのビジネスはダメだなー、俺だったら絶対こうするわ!」みたいなことを話してたのを覚えてます(笑)。変なやつだなぁと思いましたね。

大柴:(笑)

大竹:でも上島珈琲でちゃんと話したら、かなりしっかりと事業のことなどを考えていて、人間としてもとても信頼できる人だなと感じました。その時は「フードデリバリー」の事業について語ってくれました。

大柴:創業事業のアレですね。

大竹:はい。話を聞いてとても面白そうだと思いましたし、信頼できそうだったので一緒にやることに決めました。もうその場で決めた感じです。

大柴:なるほど。ところで大竹さんは起業には興味があったのですか?

大竹:そうですね。delyの前に一度起業しようと準備してたことがあります。結局それは頓挫してしまったのですが、興味はありました。2013年にシリコンバレーとインドを旅行して、どちらも起業文化がある国で、その光景を見て「自分でもやってみたい」という気持ちになりました。そして帰国してサービス作って、起業準備してたんです。でも結局解散しました。それが2013年末です。

大柴:なるほど。その直後に堀江さんから「一緒にやろう」という連絡があって、そして今がある。わからないものですね。そして堀江さんと一緒にdelyを始めたわけですが。

大竹:はい、最初は渋谷のEast Venturesのシェアオフィスを間借りしてました。

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大柴:そうですね。2014年3月にBASEと一緒にオフィスを借りて、一部をEast Venturesのシェアオフィスとして使用してました。そこの最初の入居企業の一つがdelyでしたね。

大竹:はい。こっちは開発がなかなか進まず、リリース予定の4月も過ぎて…。結構つらい時期でした。それにBASEさんとの空気の差がすごくて(笑)。BASEさんはもうすでにプロダクトもあって、それが伸びてて、人も増えて…。delyとの差を痛感してました。それにBASEさんは「bento.jp」ばかり注文してて(笑)。

大柴:(笑)。まぁとにかくあの頃のdelyはカオスだった印象がありますね(笑)。

大竹:そうですね。それでとにかく独立オフィスに行きたくて、サービスリリース後の8月に桜丘(渋谷)のオフィスに移転しました。

大柴:ダンボールに入れた荷物を自分達で歩いて運んでましたね(笑)。

大竹:そうですね(笑)。ようやく念願の独立オフィスに行ったのですが、その数カ月後にフードデリバリーの事業はクローズしました。一番大きかったのは収益モデルの実現が難しかったことです。その他にもいろいろ問題はありましたが、ようは最初の計画が甘かったんですね。

大柴:クローズにともなう混乱もあったと思いますが、そのあとメディア事業にピボットしますね。

大竹:はい。元々はフードデリバリー事業の集客のためのオウンドメディアを作ってたんです。それで事業がクローズしてしまったので、そのメディアがメイン事業になりました。当時キュレーションメディアなどメディア事業が盛り上がってたこともあり、自分達もそこに賭けました。

大柴:めちゃめちゃ記事を書いてましたよね。

大竹:はい(笑)。ただ元々のフードデリバリー事業と全然違う事業ですし、エキサイティングな成長というか事業の伸びは無くて。そんな中、人もどんどん辞めていきました。大柴さんがいらっしゃった2016年1月くらいが一番人が少なかったかもしれません。

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大柴:確かに「人が少なくなったかな」とは思いましたね、あの時。

大竹:2015年は低迷期でした。打開策を見つけるために堀江はいろんな人に会いまくってました。面白い話を聞いて、それを元に「こういうサービスやろう」とか「こういう風にしていこう」とか言うんです。社員も「昨日と言ってることが違う」とかそういう声が上がったりしてて。

大柴:「あるある」ですね。

大竹:創業の時に一回注目を浴びたじゃないですか。メディアにも取り上げられて、知名度が最初から高かった。それが一気に落ちて。一回上がった分、下がった時に「落ち目」感がすごいというか。キツかったですね、2015年は。

大柴:わかります。

大竹:自分もその状況を打開することができず、ふがいない気持ちでした。辞めたいと伝えたこともありました。でも堀江は「今辞めたら絶対後悔する。最後までやりきろう」と言って強く引き止めてくれました。社員が次々と辞めて本人も辛かったと思いますが、彼がぶれなかったのでもう少し頑張ろうと思いました。

大柴:なるほど。

大竹:ちょうどその頃に入った柴田(dely執行役員)が「一緒にやりましょう」とか「もう一回頑張りましょう」とか言うんです。彼は2015年の闇の時代にいなかったので、とにかく明るいんです(笑)。まぁいろいろ考えてとりあえず2016年3月まで頑張ろうと決めました。3月まで頑張って辞めようと。最後に一踏ん張りしようと。

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大柴:そしてそのタイミングでレシピ動画がブレイクしたわけですね。

大竹:試しに動画作ってSNSに上げてみたらびっくりするくらい伸びまして。いままで体験したことのない数字の伸びで、ほんと信じられないくらいでした。びっくりしました。すぐに3月になり、月末に堀江と二人で飲みに行きました。そんなに会話は無かったです。堀江が「続けるっしょ」と言うので「うん」と返すくらい(笑)。

大柴:堀江さんと最初に会った綱島では「変なやつ」「でも信頼できる」という印象だったという話ですが、一緒に働き始めてから変化しましたか?

大竹:一緒にやってからはさらに「すごいな」って感じました。プロダクトの無い段階でファイナンス決めたり、営業したり。行動力と推進力はすごいなと感じました。最初はそういう勢いみたいの「だけ」だったんですが、今では何ていうかプロフェッショナル感が増したというか、リスクも考えた上で戦略的に攻める勝負師になりましたね。クラシル事業を初めてからは特にです。気合いは昔からあったけど、それ以外の部分も成長したように思えます。一貫して言えるのは超ポジティブですね。

大柴:大竹さんと堀江さんはケンカとかしないんですか?(笑)

大竹:イラっとするときもありました(笑)。でも失望したことは一度も無いし、信頼しています。堀江がビジネス面、自分がプロダクト面を見てて、そこの役割分担はしっかりしています。完全に任せてくれています。

大柴:なるほど。良い関係性ですね。大竹さんはこの先どういうことをやっていきたいですか?

大竹:この会社ででかいことをしたいですね。大きな規模で社会にいい影響を与えられる存在になりたい。企業価値で言えば千億、兆を超えるくらいの規模で。個人的には「使ったときに衝撃を受けるようなプロダクト」を作りたいです。自分がプログラミングを始めるきっかけになったのが、高校生の時に発売されたiPhone4なんです。iPhone4を見てもの凄い衝撃を受けたんです。ハード、ソフト問わず、あの衝撃に勝るようなプロダクトを作っていきたい。クラシルがそのようなものになるように、まずは全力で頑張っていきたいですね。自分がいなくても生きる、残っていくプロダクトを作っていきたいです。

大柴:なるほど、頑張ってください!今日はありがとうございました。

編集部より情報開示:今回取材頂いたdelyは大柴氏がフェローを務めるEast Venturesの出資先でもあります。こちら情報開示としてお知らせいたします

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