攻防を極める中国の自転車レンタル業界、マーケットシェアをリードしているのはofo(小黄車)であることが判明【7Park Data調査報告】

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Tencent(騰訊)の CEO である Pony Ma(馬化騰)氏と GSR Ventures(金沙江創業投資)CEO の Zhu Xiaohu(朱嘯虎)氏の不仲は公知の事実だ。どの企業が自転車レンタルプラットフォームの勝者になるかを巡る争いは、すでに過熱気味だった中国の自転車レンタル業界にさらに油を注いでいる。大物投資家の間で交わされる議論が混乱に拍車をかけるため、競争をただ見物しているだけの人にとっては、急成長を遂げるこの市場でどちらが優勢かを見極めるのは難しい。当事者の企業にとってもさえもこれは難題だ。

ニューヨークの調査会社 7Park Data は最近、この問題に関する観測を中国の自転車レンタル市場に関する洞察とあわせて発表した。同社によると、ofo(小黄車)が65%のマーケットシェアを有し、競争をリードしているようだ。

中国都市部の「最後の1キロ問題」(訳注:目的地の近くまでは容易に到達できるが、その先の短距離移動が不便である問題)を解決する上で、近年の自転車シェアのシステムは便利かつ効率的である。これまでは長きに渡って自家用車が人気を集めており、自転車は移動手段としては敬遠されるようになっていた。しかし、レンタル自転車ブームの到来が再びユーザの自転車熱に火を付け、両社によると1日あたろ2,000万回以上利用されるまでになっている。調査結果によると、ofo および Mobike(摩拜単車)の両サービスとも、ユーザは平均約1時間自転車に乗っているとしており(2017年5月現在)、今年前半に発表された平均25分という数字と比べて上昇を見せている。

Image credit: 7Park Data

2016年第4四半期から2017年第1四半期にかけて、ofo の週間アクティブユーザ数は386%という驚異的なペースで増加した。Mobike の成長はこれよりは緩やかだが、同調査によると同じ期間で180%の増加となっている。

上海には45万台のレンタル自転車があり、世界トップの自転車シェア都市となっている。ほぼ全てが2016年から投入されたものだ。自転車の市場シェアを確保するため、ofo と Mobike はそれぞれ自転車メーカーと製造契約を結んでいる。(車のドライバーを巡り Uber(優歩)と Didi Chuxing(滴滴出行)が繰り広げた縄張り争いを連想させる)。中国にある14の第1級都市のうち ofo は8省でシェアをリードしており、対する Mobike は残りの6省となっている。

第1級省における、ofo と Mobike のマーケットシェア
Image credit: 7Park Data

中国国外での展望

ローカルな市場の他にも、両社は中国以外に目を向け始めている。事業拡大を図るため、ofo は2017年、シンガポールでサービスを開始した。これは中国の自転車レンタル企業としては初の海外展開となる。北京で設立された同社は今や5ヶ国に展開している。同様の試みとして Mobike も、シンガポール、イギリス、そして直近では日本への海外展開を行っている。

一般的に、製品を海外で販売するには現地向けにローカライズすることが成功の秘訣であり、自転車レンタルにおいても例外ではない。

7Park Data の調査責任者である Brian Chaitoff 氏は、TechNode(動点科技)に次のように語っている。

自転車レンタルの成長を後押しする市場ダイナミクスはそれぞれのマーケットで異なります。海外マーケットへの事業拡大を成功させるには、次の要素を意識する必要があるでしょう。すなわち、人口密度(つまり設備稼働率を高く保ち、かつ利用可能な空き車両を確保すること)、経済的要因、自転車を安全に運転するのに適した環境かどうか(つまり物理的なレイアウトや犯罪率など)、そして州や政府の規制が市場の成長を妨げないこと、などです。ライドシェアのケースと同様に、一般に新しい市場が素早くかつ継続的に成長するためには、新規参入企業が十分な資金を得られることが肝要です。

1件の閉鎖と1件の買収

マーケットシェア確保のために両社とも無料レンタルの機会を提供する必要に迫られているが、このセクターでは市場の統合が進むのではないかという初期の兆候がいくつか見られる。重慶の自転車レンタルスタートアップ Wukong Bike(悟空単車)は今月初め、事業の閉鎖を発表した。程なくしてこの件に詳しい筋の人々は、Mobike が小規模スタートアップ Unibike(由你単車)の買収を完了したと明かした。

私たちは、自転車シェア市場は長期的には寡占状態になると見込んでいます。理由の一つには、1社がサービスを提供した方があちこちの場所で自転車をレンタルでき、利用者側もその方が利便性が良いと気づくことが挙げられます。(Brian 氏)

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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