台湾発の人工知能スタートアップAppier(沛星互動)、シリーズCラウンドでソフトバンクやLINEなどから3,300万米ドルを調達

by Tech in Asia Tech in Asia on 2017.8.31

台北の Appier(沛星互動)のチーム
Photo credit: Appier.

人工知能スタートアップの Appier(沛星互動)は今日(8月30日)、シリーズ C ラウンドでソフトバンク、LINE、EDBI(シンガポール経済開発庁傘下の企業投資部門)から3,300万米ドルを調達したことを明らかにした。

台北を拠点とする Appier は声明の中で、グローバルでの成長を念頭に、調達した資金を新たな社員の雇用、中でもエンジニアリング や R&D の人員確保に使うとしている。グローバル展開で対象となる市場は、オーストラリア、中国、インド、日本、韓国、東南アジア数カ国など。資金のうち一部は、製品ポートフォリオの拡充や機能向上にも使われる。

Appier は、広告主がより公開的に対象をターゲティングできるよう、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、デスクトップなどウェブにつながる全デバイス横断で、個人ユーザの行動をトラッキングする技術をもとに、多くのプロダクトを提供している。

Appier のプログラマティックプラットフォームは、あるタイミングでどのデバイスのどのユーザをターゲットにすればよいかを決定するため、AI テクノロジーによって集められたユーザの行動情報やデバイス所有情報を用いる。同社の2つ目のプロダクト Aixon はマーケティングの洞察を得るため、人工知能を用いて、Appier のデータベースから集めたアプリやウェブサイトのユーザデータを分析する。

Appier の共同創業者で CEO の Chih-Han Yu(游直翰)氏は、同社が現在、世界中の1,000社以上の企業にサービスを提供していると Tech in Asia に語った。Appier がサービスを提供する有名ブランドには、アウディ、Tokopedia、エスティローダー、ミニッツメイド、Taj、香港エクスプレスなどがある。

我々の目標は、ビジネス課題の領域で、さまあまなエンタープライズソリューションを提供することです。マーケティング領域やデータインテリジェンス領域でもソリューションも既に開発しており、さらに拡大する計画です。(Yu 氏)

Appier(沛星互動)の共同創業者で CEO の Chih-Han Yu(游直翰)氏
Photo credit: Appier

シリーズ C ラウンドで調達した資金は、この点において大きな助けとなるだろう。しかし資金以外にも、今回のラウンドに参加した投資家らは専門知識や市場への影響力を Appier にもたらしてくれる。

今回のラウンドの投資家には、世界で最もビジョナリーなインターネット企業含まれます。(Yu 氏)

Yu 氏は、Appier とシリーズ C ラウンドの支援者が製品開発で協業し、それぞれが提供するサービス間で技術連携などシナジーを見つけられる可能性があると付け加えた。

支援者には有名企業

今回の調達は、Appier が昨年12月、シリーズ B2 ラウンドで、シンガポールの政府ファンド Temasek の一部である Pavilion Capital、WI Harper Group、FirstFloor Capital、Qulgro などから1,950万米ドルを調達したのに続くものだ。

UOB Venture Management や MediaTek Ventures らも、かつての Appier の支援者に含まれる。Appier は Sequoia Capital がリードしたシリーズ A ラウンドで600万米ドルを調達しているが、これは Sequoia Capital にとって初の台湾企業への出資となった。

Appier はこれまで、企業投資家を相応に集めてきたのは明らかだ。今回のシリーズ C ラウンドで、そのリストに多くの企業が加わった。EDBI や AMTD Group といった投資会社に加え、LINE、NAVER、ソフトバンクもこの機会に Appier に資金を注入した。

Photo credit: moovstock / 123RF

ソフトバンクの出資参加は特筆に価する。ソフトバンク CEO の孫正義氏は、今後30年の間にシンギュラリティ(技術的特異点)が起こると予測し人工知能を主要な成長領域として捉えており、人工知能は930億米ドルに及ぶソフトバンクの Vision Fund の主要テーマの一つである(Yu 氏は、Appier への出資がソフトバンク自体——Vision Fund からではなく——からのものであることを認めている)。

ソフトバンクと同社関連企業は今年初めから、デジタルアバター制作会社の Oben、オンライン貸金業の Kabbage、サイバーセキュリティの Cybereason、ロボットインテリジェンス企業の Brain など、多くの人工地のスタートアップに投資している。

LINE の出資参加

日本のメッセンジャーアプリ LINE は、Appier のシリーズ C ラウンドで、もう一つの特筆すべき投資家である。その背景は、人工知能が大きな理由としてあるようだ。LINE の CEO 出澤剛氏は今年初め、人工知能を「LINE にとって最も重要なプロジェクト」だと述べ、「十年前にスマートフォンが普及し始めたときと同じくらいドラマティックなパラダイムシフト」だと表現した。

また、主要市場のいくつかでユーザが大量に流出している LINE は、昨年の IPO 以降、M&A 活動を積極化させてきた。出澤氏は昨年のインタビューで、LINE がニューヨーク証取上場で調達した13億米ドルの一部は、LINE がメッセージやモバイルゲームから、フードデリバリ、職探し、旅行予約などに領域拡大をすべく買収に使われるだろうと語っていた。出澤氏は、ビジネスモデルや人材の条件が適切でさえあれば、買収対象の企業に規模や場所にはこだわらないと語っていた。

【via Tech in Asia】 @techinasia

【原文】

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