インドネシアのオードバイ版配車アプリ「Go-Jek」、ライブイベントの運営・チケッティングを手がけるスタートアップLoketを買収

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Loket
Loket のライブイベント用 RFID バンド
Photo credit: Loket

Go-Jek は自らをタクシー配車アプリとは見なしていない。CEO の Nadiem Makarim 氏はかつて「私たちは今や新種の生き物です」と語っている

実際、インドネシアで初のユニコーン企業である Go-Jek は、事業を拡大しゆっくりとオンデマンド最大手企業へと変化していった。ライブイベントの管理および発券業務を行うスタートアップの Loket を買収したことで、この努力に弾みがついた。

Go-Jek と Loket は互いの技術的な強みを相互に提供し、消費者と興行主の双方にとってイベント体験全体をより良いものにします。

両社は共同声明でこのように述べた。買収金額は明らかにされなかった。

2013年に設立された Loket は、オンラインでのチケット予約とイベント管理システムを提供している。Loket は RFID(radio frequency identification: 無線通信による情報通信技術)タグの埋め込まれたリストバンドを配布しており、参加者がリストバンドを装着して入り口を通過することで、イベント主催者は本人確認をすることができる。また、参加者のモニタリング、人混みや人の流れの調整および整理、イベント会場でのキャッシュレス決済、参加者行動に関する情報を集めることができる。

Loket はインドネシアの大規模な音楽イベントの80%以上を手助けしてきたという。

スポーツへの注目

Go-Jek はオートバイの配車サービス企業としてスタートし、Uber や Grabと真っ向から対立する形で配車サービスへとビジネスを広げた。Go-Jek はインドネシアの輸送サービス競争に加わる一方で、宅配便、食料品や医薬品の配達、清掃、マッサージなど他のオンデマンドサービスへも手を広げている。

イベント業界では、Go-Jek は映画など幅広いイベント主催者とのパートナーシップを持つ Go-Tix を通じてチケットサービスを提供している。他の分野では、Go-Pay を通じたキャッシュレス決済にフォーカスしており、Go-Jek の他の全てのサービスとつないでいる。

これら2つの分野は Loket の事業と結びつきが強い。

今回の買収によって、両社は双方のネットワークを活用することができる。Go-Jek がインドネシアのトッププロサッカーリーグのメインスポンサーの枠を確保しているため、両社は特にスポーツイベントの開催に照準を合わせている。

Loket の共同設立者で CEO の Edy Sulistyo 氏は次のように語った。

音楽ライブ、フェスティバル、アトラクション、ワークショップ、セミナー、映画などあらゆる規模のイベントをより多く支援することで、私たちのパートナーに利益をもたらすことができるでしょう。

Makarim 氏はこう付け加えた。

イベント会場でのやり取りのみならず、チケットの購入、イベント会場の雰囲気までもスムーズなものになるでしょう。

ライブイベントはスタートアップにとって大変な好機となる。業界が成長しているにもかかわらず、いまだに大がかりで企画され、人力で運営される昔ながらのやり方は大きな負担となっているからだ。

Loket はディスラプションを起こそうとしているが、そう試みているのは彼らだけではない。この地域にはシンガポール発の PouchNaitionGoGorilla など、320億米ドル規模と見積もられているマーケットから分け前を得ようとしているスタートアップが他にもある。

それでもやはり、Go-Jek の後援により Loket が計画を実行するための資金力が加わったことは心強い。

昨年シリーズ A ラウンドで East Ventures と Sovereign’s Capital から資金を調達した Loket によると、買収の後も経営および運営は Go-Jek から独立して行われるという。

Go-Jek は、2016年に5億5,000万米ドルを調達した後、今年さらに12億米ドルの投資を中国の大手企業 Tencent から受けたと報じられている。

【via Tech in Asia】 @techinasia

【原文】

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