少額の「フレンド」ファンディングpolca(ポルカ)公開、無審査30秒でのクラウドファンディングを実現

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個人のお金の流れが会話に変わる、そんな話題だ。

クラウドファンディングなどの事業を手がけるCAMPFIREは8月10日、フレンドファンディングアプリ「polca」を公開した。「フレンド」と「ファンディング(資金集め)」を融合した造語で、友人や会社の同僚など、自分のコミュニケーション範囲にいる人たちに対して少額のクラウドファンディングを開催できる。iOSとAndroidの両方で利用可能でダウンロードは無料。

通常のクラウドファンディングに必要なプロジェクト審査等は不要で、ユーザーはアプリからSMS認証のみで企画を立ち上げ、特定のURLを発行することでその情報を知る友人・知人のみから集金することができる。募集期間や目標金額達成・未達成の概念もなく、集まった金額がpolcaアプリ内に貯まることになる。

目標の金額は300円から10万円までで、1人あたりから集金できる金額(クラウドファンディングでいう支援金額)は300円から3万円まで。1カ月の企画数(利用上限金額)に制限はない。基本使用料などの料金は不要で、手数料についてもサービス開始時点で利用手数料、振込手数料共に無料のキャンペーンを実施する。キャンペーンの実施期間は未定。

polca内に貯まったお金を引き出す場合は銀行口座を登録すると最短1営業日で振り込まれる。

小さく閉じたソーシャルでの資金集め体験

もうちょっと具体的にフローを見てみよう。すぐに始められるので、例えば今日のお昼にみんなでランチにいく企画を作って集金してみてもいい。

アプリから企画のタイトルや内容、支援者に返すリターン内容を入れて目標となる金額を設定。一人あたりどれぐらいの金額を集めるか入力すればこれでセットアップは完了。シェア画面が表示されるので、そこで発行されるURLをコピーして企画に参加してくれる人に送ればいい。

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ちなみにこの手の集金・送金サービスは前払式支払手段のkyash、決済代行方式のわりかんアプリPaymoとAnypay、送金事業のLINE Payなどがあるが、polcaは決済代行方式を採用している。つまりEC等と同様なのだが、特定商取引法に基づく表記については企画を立てた個人ではなく、CAMPFIREが包括する仕組みになっている。法律的な根拠についても顧問弁護士事務所の確認を得てリリースしているということだった。

フローに戻ろう。URLを送られたユーザーはアプリを開いて支援金を支払い、直接その本人からリターンを貰えばOKだ。前述の個人間決済・送金のサービスと違う点として、目標金額以上に集まることがあること、相対というよりは1対Nの複数集金に向いていること、そしてここで初めてpolca独特の小さく閉じたソーシャルネットワークに気がつくかもしれない。

polcaはソーシャルアカウントではなく電話番号(SMS)で認証するため、facebookなどの繋がりを持ち込まない。あくまでURLベースで企画コミュニティを作り、そのイベント毎に友人や知人を集める。他の企画は見れないのかというと、見れない。

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ここも様々なプロジェクトがストアのように並ぶクラウドファンディングと異なる部分で、要は、親しい人たちとふんわりその周辺だけで盛り上がりたい場合に既存のソーシャル繋がりやオープン性は不要、という考え方なのだ。この辺りは以前、Studygiftの炎上案件を引き合いに出して書いた通りの仕組みになっている。

逆にオープンに参加してもらいたいという場合はTwitterやfacebookなど、自分のネットワークにURLを公開すればいい。ただ、後述するが見知らぬ人のオープンなpolcaへの参加はやや注意が必要になる。

URLを踏んだ段階でその企画を「ウォッチ」した状態になるので、今後、タイムラインにそこでのコメントや支払い状況などのアップデートが並ぶことになる。ここでようやくソーシャルっぽい感じになる、というわけだ。ソーシャルネットワークが発達し、自分の交友関係が可視化された今だからこそこのURLベースの方法が効いてくると感じる。

余談だが、polcaを見てすぐに思い出したのが懐かしの「おねだり機能」だ。とある下着メーカーのECサイトに実装された施策で、下着を買ってほしい女性が男性に対して特定URLを送るとその人が決済する、というエグいコンバージョン施策だった。随分前の話題だが、polcaがもし夜の世界で広がることになればその時の再来になる可能性がある。

不正利用の可能性と対策

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CAMPFIREテクニカルチーム(同社提供)

手軽な一方で、運営側が意図しない使われ方も想像できる。CASHの時ほどではないが、やはりpolcaも注意が必要だ。

まず、真っ先に思いつくのがクレジットカードのショッピング枠の現金化になる。ただこれはBASEやSTORES.jp、AnyPayなどの決済代行ができるサービスと同様で、当然のことながら規約上は禁止されているし、polcaの場合はSMS認証のため、運営側でバンされた場合はこのために取得した電話番号を捨てる必要が出てくる。

運営側に確認したところ「作成された企画は全て運営スタッフがチェックし、違法行為が発覚した場合は利用規約に則って対応、場合によってペナルティを課す」ということだった。また、次の施策として利用規約違反を通報する機能の実装も予定しているという。

次にあるのがリターンの不履行だ。

前述の通り、企画側はURLを自分のTwitterやfacebookにて公開することもできる。特にTwitterの場合、著名人などがpolcaのURLを発行していてそこから支援に参加するという状況は出てくるように思う。もしここでリターンとなるものが履行されない場合は誰の責任になるのか?

同社に確認したところ、これまでCAMPFIREを運営してきたノウハウからケース毎の対応やサポートを用意しているので、まずはpolcaのヘルプデスクに問い合わせをしてほしいということだった。ただ、基本的に利用規約にもある通り「企画者と支援者間の会員同士で生じたトラブル(商品の不履行など)があった場合は会員間での問題解決を推奨」というのが彼らの基本スタンスになる。

また、こういった悪質行為へのペナルティについては退会や成立した企画の不成立などがあり、登録した電話番号でCAMPFIRE関連全てのサービスの利用停止なども考えているという説明だった。

小さなインターネットで生まれるお金と会話の流れ

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CAMPFIRE代表取締役の家入一真氏

家入氏との会話でたまに「小さなインターネット」というワードが出てくることがある。polcaが既存のソーシャルをコピーするのではなく、URL方式でその上に乗っかり、自分の判断で会社や友人、家族、場合によってはどこかのサロンや学校といったコミュニティを分けたのもこの小さなインターネットの具現化に思える。

pathもそういうコンセプトだったが、polcaはより時限的なプロジェクト単位でこのコミュニティを表現し、さらにそこに「小さなお金のやり取り」を加えることでよりゲーム的に、感情的に変化させようとしている。プレゼントは貰って嬉しいし、みんなで行く温泉は楽しい。誰かを応援することで喜びが生まれる。

フレンドファンディングという彼らが作った世界観こそ、家入氏が考える「小さなインターネット」そのものになるのかもしれない。

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