モバイル通信をクラウド化するソラコム、200億円でKDDIが買収ーー2010年以降のネット企業買収で最大【報道】

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2017.8.2

ソラコム代表取締役の玉川憲氏

朝からビッグニュースだ。日経が伝えるところによると、モバイル通信のクラウド化にチャレンジしていたソラコムをKDDIが買収するという。

金額は約200億円で、公開されている情報ベースでは2010年以降のインターネット系企業の買収案件としては最大。報道が事実であればポケラボ(グリー、2012年・138億円)とチケットキャンプを運営するフンザ(ミクシィ、2015年3月・115億円)を大きく超える評価となる。

追記補足:読者の方から指摘あり、2012年にネクソンがgloopsを買収した際の金額が325億円でこれが公開されてる情報としてありました。また、ソラコムの買収は報道されている全株式の譲渡ではなく、同社に確認したところKDDIが過半数を取得して連結子会社化するというのが正しい情報になります。追記して補足させていただきます。

ソラコムは2014年11月に設立後、翌年3月から代表の玉川憲氏が前職で手がけたAmazon Web Serviceを離れて本格的に事業を開始し、2015年6月にはInfinity Venture Partners(以下、IVP)およびWorld Innovation Lab(以下、WiL)から7.3億円を調達。第一弾となるサービス「SORACOM Air」を公開した。その時のインパクトはこの記事で伝えた通りだ。

SORACOMの凄さは第三者が「SIM」を自由に発行・運用できることーーIoT向けモバイル通信PF、ソラコムが提供開始

ソラコムは未だに「格安IoT通信SIM」と表現されることがあるが実際は微妙に異なる。彼らが実現したのは通常、私たちが利用するスマートフォンでの通信と異なる「モノの通信(Internet of Things、IoT)」という非常に通信量の幅が広い分野に最適化したプランを提供したことにある。

本当に必要な通信データのみを使った分だけ費用負担すればいいということから、サーバーリソースの時と同じく「モバイル通信のクラウド化」と表現されるようになり、費用負担の軽減が見込めることから格安などの評価が高まった。

IoTに最適化されたモバイル通信の管理サービスを順調に追加し、サービスインから約半年の翌年2016年5月にはシリーズBラウンドでやはりIVPとWiLから24億円を調達。この時点で利用者数は2000件、エコシステムに参加するパートナー企業は150社に積み上がった。現在のクライアント数は7000社に拡大している。

KDDIとソラコムの提携でコア部分を開放した

そして同年10月には今回、買収すると報道されているKDDIにソラコムの保有するコア部分を開放し、「KDDI IoT コネクトAir」の提供を開始している。元々、ソラコムはNTTドコモの回線を借受けるMVNOの方式で拡大を続けていただけに、通信キャリアとの距離感の取り方がどうなるか注目のポイントでもあったが、今回の買収報道で明確になるのかもしれない。(ソラコムは基本的にグローバルでもどこの通信キャリアと契約してサービス提供しているか公表はしていない)

また、もうひとつ注目すべきポイントにソラコムの仕掛ける省電力広域(LPWA)ネットワーク事業がある。これはセルラー網では届かない、もしくはフィットしない通信を必要とする事業(例えば登山の遭難防止用通信デバイス)などに適応する通信方式で、セルラー網の補完的役割を担うものと期待されている。

ソラコムがあることでこういったデバイスに最適化された通信サービスが提供できるようになった

ソラコムの強さはIoTに最適化したモバイル通信の管理プラットフォームとLPWAにみられる「あらゆるものをどこでもクラウドに繋げる」仕組みにある。唯一、彼らがコントロールできなかったのがMVNOである故の大元の通信価格だったが、KDDIと一体化することでそこも柔軟になるだろう。もちろん巨大な資本がバックボーンにあることで彼らが進める世界展開にも選択肢が増える。

KDDIはKDDI ∞ Laboなどを通じていち早くスタートアップコミュニティに貢献してきた企業だ。彼らが来るべきIoT時代のインフラをコントロールする側に回り、ソラコムと共に新たなスタートアップや事業者側が使いやすいネットワークサービスを提供してくれることに期待したい。

【追記】:本日午後に玉川氏にインタビューの機会をもらったので後ほど詳細お伝えする。

AmazonにとってのAWS同様「KDDIにとってのソラコム」でありたいーーKDDI 連結子会社化の道を選んだソラコム玉川氏インタビュー

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