骨太スタートアップ・アクセラレータ「StarBurst(スターバースト)」、第3回デモデイを開催——運営メンバーに山口豪志氏・吉田行宏氏が参加

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2017.8.8

Image credit: Masaru Ikeda

StarBurst(スターバースト)」は、東京を拠点に、プロトスターが運営するシードアクセラレータだ。同社は今年5月、共同創業者で CEO の前川英麿氏、共同創業者でCCO(Chief Community Officer)の栗島祐介氏を中心に MBO を実施し、複数の VC や事業会社4社が共同運営する共創型アクセラレータから単独運営へ、また社名もスパノバからプロトスターへ、アクセラレーションプログラム名も Supernova から StarBurst に変更された。

一般的にスタートアップ界では外部資金を受け入れることで短期的に結果を求められることが多いのと対照的に、StarBurst では地道で骨太のスタートアップにスポットライトを当て、ハンズオフ型支援を行い、また、先輩スタートアップと後輩スタートアップをコミュニティの中で混在並走させている点で特徴的な存在である。

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Starburst は7月31日、都内で3回目となるデモデイを開催し、7社がピッチを行なった。本稿では、入賞者を含む全チームのサービスやピッチの内容についてランダウンでお伝えする。

【優勝】Garage by MiddleField

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<副賞>

  • クラウド会計ソフト freee の利用権(6ヶ月)、定期導入サポート・バックオフィス業務コンサルティング
  • Amazon 券 3万円分
  • マイクロソフト BizSpark Plus

通常の E コマースサイトではカーパーツを検索するのは大変で、見つけたパーツが自分の車に装着できるかどうかについても情報が不足している。市中のカー用品専門店に出向いても、コアなユーザ層が好むカーパーツはニッチ過ぎて取り扱いがないことが多い。MiddleField の CEO 中山翔太氏は、カー用品専門誌に商品を掲載しているメーカーにも、自らの車に装着できるかどうかメールで問い合わせしたが、返信は得られなかったという。

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カーパーツを気軽に購入できない問題を解決するため、中山氏らはカーパーツを専門に取り扱うマーケットプレイス「Garage」を開設。強みは、雑誌やウェブサイトから情報を収集し、必要があれば、メーカーに直接電話して情報を集めたカーパーツのデータベースだ。メーカーからは Garage を通じたマーケティングと商品販売について、月額広告料 + 販売手数料20〜30%を徴収するビジネスモデルだ。

ローンチから4ヶ月で契約ブランド100社、商品登録点数12,000点、月あたりのユーザ問い合わせは90件にまで達した。今後、商品登録点数を10万点にまで増やし、1.2兆円市場と言われる日本のカーパーツ市場の席巻を目論む。2018年には、日本の自動車が人気を呼ぶアジア市場に、日本のカーパーツメーカーを束ねて進出する計画だ。

朝日新聞メディアラボの ASAP(Asahi Shimbun Accelerator Program)第2期から輩出。

【準優勝】LabBase by POL

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<副賞>

  • クラウド会計ソフト freee の利用権(6ヶ月)、定期導入サポート・バックオフィス業務コンサルティング
  • Amazon 券 1万円分

POL(ポル)が取り組んでいるのは、理系学生の就職/採用市場における需給の不均衡是正だ。就職フェアや就職サイトといった一般的な採用市場に出てくる卒業予定の学生の多くは、8割が文系で残る2割が理系とされる。一方、理系学生にとって、最大の問題は、自分の専門知識やスキルを磨いてみても、それらを活かせる職場環境がどこにあるかを容易に見つけることができない点だ。

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POL の「LabBase(ラボベース)」では、学生が研究ポートフォリオ、論文、学会での発表履歴、実験内容など、アカデミアに寄せたプロフィールを掲載でき、企業とつながれる環境を提供している。今年の本サービス開始から5ヶ月が経過し、30社が有料で利用、利用している学生は1,500人程度。関東・関西を中心に、学生で構成される約100名のインターンで構成されるネットワークが、研究室などを訪れ学生に口コミでサービスを広めている。

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理系学生向けオウンドメディア「Lab-On(ラボオン)」を立ち上げ、月間15,000PV を突破。8月には、奨学金検索機能など理系学生受けのキラーコンテンツを追加し、潜在ユーザ層のさらなる獲得を狙う。

今年4月には、シードラウンドで BEENEXT、サイバーエージェント・ベンチャーズ、Draper Nexus、Beyond Next Ventures、匿名のエンジェル投資家らから5,000万円を調達している。

【3位】LAUNE by Woem

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<副賞>

  • クラウド会計ソフト freee の利用権(6ヶ月)、定期導入サポート・バックオフィス業務コンサルティング
  • Amazon 券 5,000分

2016年に設立した Woem(ウォエム)は、女性向けの美容オンラインマガジンサイト「LAUNE(ラウネ)」を展開している。毎日の丁寧なホームケアにより、女性が本質的な美しさを目指せるよう、正しいヘアケア、スキンケア等の情報を届けることをビジョンに掲げている。

2016年1月にはスカイライトコンサルティング主催の第9回起業チャレンジで最優秀賞を獲得。同年4月に資金調達を実施した(調達額、調達先などは不明)。今年9月には、モバイルアプリをローンチする計画だ。

【オーディエンス賞】LABBASE by POL

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<副賞>

  • クラウド会計ソフト freee の利用権(6ヶ月)、定期導入サポート・バックオフィス業務コンサルティング
  • Amazon 券 1万円分

内容は上記で説明済のため省略。

Pulit

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Pulit の開発した「超流通」のスキームでは、コンテンツホルダーや製作者が配信したい映像を Pulit のクラウド環境にアップロードすることで、その映像のカバー画像に専用の電子透かし(Robust Image Watermark)が埋め込まれ、ダイレクトアクセスリンク(URL)が発行される。ユーザはこのダイレクトアクセスリンクをクリックすることで、パソコンやスマートデバイス上で OS ネイティブのプレーヤーが起動され映像が視聴できる。DRM 制御も機能するので、コンテンツホルダーや製作者が設定した条件に基づき、ローカル環境に動画を保存したり、再閲覧したりすることも可能だ。

「超流通」の画面イメージ
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従来から、コンテンツホルダーや製作者がコンテンツ配信をする場合、何らかの配信プラットフォームに依存せざるを得なかった。このため、自由なマーケティング施策ができないなどの理由からコンテンツホルダーのトップティアのコンテンツを流通に乗せづらく、ミニマムギャランティ(ユーザの閲覧回数にかかわらず、プラットフォームにコンテンツホルダーが支払う配信委託ための最低料金)が発生するためニッチなコンテンツを扱いにくかった。

Pulit を導入することでコンテンツホルダーは自社コンテンツの直販が可能になるためトップティアコンテンツを流通させやすくなり、また、ニッチコンテンツも流通に乗せやすくなるので、ロングテイルの市場も生まれやすいだろうと期待している。今後は全国にある民放各社との提携、まんが・小説・雑誌のマイクロコンテンツ・絵本・写真などのコンテンツ分野にも事業展開していく計画だ。

2016年8月に実施したシードラウンドでの5,000万円を調達、今年6月にプレシリーズAラウンドで数億円前半程度(推定)を調達している。

みんチャレ by A10 Lab

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A10 Lab(エーテンラボ)は、さまざまな活動に参加しながらも脱落する傾向にある人々を動機づける三日坊主防止アプリ「みんチャレ」を提供している。このスタートアップは、人々のライフスタイルを向上させ、一般の人々が社会で活発に活動するようになることを望んでいる。

2017年2月にソニーが運営する「Seed Acceleration Program(SAP)」から輩出され、シードラウンドでソニー、第一勧業信用組合、フューチャーベンチャーキャピタル、グローブアドバイザーズ、吉田行宏氏から6,600万円を調達した。東京都の青山スタートアップアクセラレーションセンター(ASAC)のアクセラレーションプログラム第4期、野村ホールディングスのアクセラレータプログラム「VOYAGER」の第1期に採択されている。

cobit by BizteX

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BizteX が開発する「cobit」はクラウド型の RPA(Robotic Process Automation)ツールで、Excel やシステムへの入力作業、顧客サイトのチェックといったルーチン業務を自動化することができる。7月20日にβローンチし、9月には正式版をローンチする計画だ。月額料金 + ロボットの稼働頻度に応じた従量制課金で’マネタイズする。

この分野には BizRobo などに代表される競合も存在するが、cobit は完全クラウド型であるため準備期間が短い、インターフェースが簡素化されており専門技術者でなくても業務担当者でも使えるという点を強みとして前面に押し出している。同社では、日本国外でも、生産人口が減少しつつある先進国、賃金が急激に上がりつつある新興国にも需要があると考えており、海外展開も視野に入れているようだ。

BizteX は2015年7月の設立。今年7月には、ジェネシア・ベンチャーズからシードラウンドで資金調達を実施している(調達額、調達条件等は非開示)。

MediLine Talk by シェアメディカル

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〝医療版LINE〟の異名で、医療従事者間のコミュニケーションツールとして浸透しつつある「MediLine(メディアライン)」は4月のリリース後、全国約60施設で1,000人前後の医療従事者に使われるまでに成長している。導入先は医科大学から介護施設までさまざまだが、訪問診療などで有用なことから特に夕方からの利用が多いのだそうだ。

シェアメディカルは MediLine を発展させた「MediLine Talk」というサービスを紹介した。不特定のユーザが特定の電話番号に電話をかけて話すだけで、MediLine Talk はどの番号から電話がかかってきたかと、話された内容を音声認識しテキスト化。受信者はリアルタイムで電話を受けなくても、一覧化されたテキストでメッセージを文字で読むことができる。

高齢化が進む日本において、医療を必要とする人は今後増えるものの、医師人口が急激に増えることは無い。この状況を克服するためには、現在の医師人口の中で IT の活用により医療業務を極限まで効率化することが重要だ。リリース済の MediLine、および、これからリリースするであろう MediLine Talk は、この医療従事者の業務効率化にフォーカスしている。

また、スマートメディカル代表の峯啓真氏によれば、日本には医師免許を持つ人が50万人いるのに対し、実際に臨床や診療に従事している人は23万人程度とのこと。シェアメディカルでは、何らかの理由で引退をせざるを得なかった医師、育休中の女性医師などを MediLine を使って医療現場につなぐ方法を模索したいとしている。

同社は今年5月、夜間往診サービスを提供する Fast DOCTOR と提携し、東京23区・千葉県の一部でスマート往診サービスの提供を開始している。


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なおこの日、アクセラレーションプログラム「StarBurst」を運営するプロトスターに新たな運営メンバーが 参加することが発表された。CEO の前川氏、CCO の栗島氏に加え、COO として 54 の山口豪志氏、社外取締役としてアイランドクレアの吉田行宏氏がジョインする。

山口氏は、日本最大の料理レシピサイト「クックパッド」の創成期に関わり、その後ランサーズに参画。個人投資家としての活動以外にも、デフタパートナーズのアクセラレータとして、横浜グローバルステーションの管理運営やベンチャー企業向けに育成プログラムを提供している。

吉田氏はガリバー(現在の IDOM)の創業メンバーで、同社の東証上場に深く貢献。その後独立し、デジタルマーケティングスタートアップの LIFE PEPPER の設立、オウンドメディア構築会社イノーバの顧問を務めるなど、個人投資家としての活動に加え、スタートアップや起業家の育成に注力している。

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プロトスターでは、山口氏や吉田氏の運営参加を受けて、「ProtoStar サロン」と「ProtoStar 顧問」という2つのサービスを新たに立ち上げることを明らかにした。

両サービスとも完全審査制で、ProtoStar サロン(申込フォーム)は、現役起業家や投資家とのサロンイベント(月1〜2回)、オンラインサロン(スタートアップ最新情報、有益な情報まとめ等)を提供、ProtoStar 顧問(申込フォーム)では、NDA 締結した上での CxO 限定コミュニティ、組織力・戦略力強化ワークショップ、資本政策相談などを行う。

起業家や他のステイクホルダーがスタートアップ・エコシステムを学ぶという観点では ProtoStar サロン、すでに起業している人が実務を相談する機会としては ProtoStar 顧問という住み分けになるだろう。

StarBurst にはバッチという概念は存在しないが、3回目のデモデイの終了を受けて、2017年9月期のエントリ募集を開始したようだ。受付は8月7日から25日までで、ここから応募することができる。

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