建設現場の職人さん仕事を「Uber化」する助太刀くん、東京ロケットが5000万円の資金調達

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2017.8.21

IMGP4625
写真左から:東京ロケット代表取締役の我妻陽一氏と創業メンバー

建設現場で働く木工や左官、塗装といった「現場職人」の仕事をマッチングするサービス「助太刀くん」を9月にリリース予定の東京ロケットは8月21日、ジェネシア・ベンチャーズをリードとする第三者割当増資を実施したと発表した。今回の増資ラウンドにはKLab Venture Pertnersも参加し、両者から総額約5000万円の資金を調達している。同社では得た資金でエンジニアの採用など開発体制の強化を進める。

助太刀くんは国内の建設現場で発生する慢性的な人手不足解消を目指すサービス。国内では昨今、東京五輪に関連した建設現場で痛ましい事故があったばかりだが、厚生労働省の白書を紐解くと月末1週間の就業時間が60時間以上のいわゆる「長時間労働者」で建設業は運輸業に次いで多い業種になっている。別件取材もあって他の事業者にも聞いているのだが、慢性的な人手不足と作業効率化、特に情報化が遅れている印象が強い。

運営する東京ロケットの代表取締役、我妻陽一氏もまた、自身が建設現場で監督として働き、現在も電気工事会社を運営する現役の事業者でもある。彼の話では、やはり建設現場の非効率はまだまだ多く、特に実際に手を動かして働く職人さんの手配については仲間内での紹介や電話を使った交渉など無駄が多いのだそうだ。彼はここに着目して今回のサービスを立ち上げた。

助太刀くんの仕組みは非常にシンプルだ。仕事が欲しい職人さんは居住地と職種(左官や塗装など自分のスキル)を登録するだけで、関連する仕事があれば通知が届く。あとは直接その発注者とコミュニケーションを取って現場に向かえばいい。発注時も逆にどういう仕事内容で、どういう職種の職人が必要かを登録すれば該当する職人さんから連絡がやってくることになる。

この仕組みは大変理想的なもので、我妻氏によればテスト利用している中堅ゼネコンからの反応もよいということなのだが、恐らく、この職人さんの仕事がどういう発注スキームで成立しているかを理解しないとこのサービスの良さがあまりわからないように思う。

元々、日本の建設事業はゼネコン方式で、スーパーゼネコンのような大手から下請けに降りてくるスタイルが一般的だ。現場で手を動かす職人さんはこのヒエラルキーの末端で、個人事業主が多くを占める。この個人事業主を束ねる「親方」という存在が発注時のノードのような役割を担っており、仕事量・金額共に潤沢だった時代はこれがうまく機能していた。しかし、この「職人を囲い込む」スキームはやがて、親方同士の横つながり、仕事情報の流通を遮断し、ある時は大量に仕事がやってくる、ない時は全く暇になるといった非効率を生み出すことになる。

もし、元請けから依頼された仕事(これらは親方や職人さんに直接発注される)を職人さん同士で融通することができたら効率的ではないだろうか?助太刀くんはそういう思想で設計されている。ポイントは職人さんが仕事の依頼を受ける受注者であると同時に、元請けから依頼された仕事をさらに別の職人に依頼する「発注者」でもある、というところが重要だ。また、こういった情報化が遅れている産業でよく問題になる「実際に使えるのか問題」についても、昨今のスマートフォン普及でそこまで問題にならなくなっているという。

また、求人票を出して選んでもらうという方法ではなく、自分ができるスキルを登録しておいてオンデマンドに現場に呼んでもらうというスタイル、仕事内容に応じてレーティングを実施する点もUber的と言えるだろう。我妻氏によると、ビジネスモデルは一定数を上回る発注回数による課金や広告などを考えているということだった。詳細は本番リリースの際にまたお伝えできればと思う。

建設業はピーク時の半分近くにまで仕事量が落ち込んだとは言え、生産額が30兆円近くあり、就業者数も500万人(同社リリースより)と言われる巨大なマーケットであることは間違いない。一方で仕事案件のマッチング効率の悪さや、発注単価のデータや職人さんのスキルの可視化、現場監督の情報処理・コミュニケーション・移動コストの高さなど非効率が目立つ。

東京ロケットの取り組みがどう普及するか、非常に大きな市場の動向を見極める上において重要なポイントになる気がしている。

ニュースレターの購読について

毎日掲載される記事の更新情報やイベントに関する情報をお届けします!




----------[AD]----------