科学技術振興機構ら、今年で4回目となる「大学発ベンチャー表彰」の表彰式を開催【ゲスト寄稿】

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本稿は、THE BRIDGE 英語版で翻訳・校正などを担当する “Tex” Pomeroy 氏の寄稿を翻訳したものです。オリジナルはこちら


左から:東隆氏(東京大学大学院医学系研究科教授)、東志保氏(Lily MedTech 代表取締役)、松田修一氏(選考委員会委員長/早稲田大学名誉教授)

今年で4年目を迎える「大学発ベンチャー表彰」の表彰式が、2日間イベント「イノベーション・ジャパン2017」の1日目に東京ビッグサイトの東ホール1号館で開催された。年に一度開催されるイノベーション・ジャパンは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の協力を得て、科学技術振興機構(JST)が主催している。2017年の表彰では、設立から3年以内で30歳以下の代表が経営するスタートアップを対象とした、「アーリーエッジ賞」が新設されることとなった。

アーリーエッジ賞は、東京大学の支援を受けるスタートアップで、東志保氏が率いる Lily MedTech が受賞した。Lily MedTech は、JST のセンター・オブ・イノベーションプログラムの研究成果を元にした、容易に使える乳がん検査システムを提供している。東氏の母が乳がんで他界したことから、東氏は一層この技術を発展させる必要性を感じたようだ。乳がんは生命を脅かす可能性があるにもかかわらず、従来の検査方法は女性達から嫌われている。

日本には大学関連のスタートアップが約2,000社存在するが、この種類のスタートアップについては、例えば頑丈さや活力といった点でアメリカに遅れを取っている。大学発ベンチャー表彰は、日本以外の技術に頼ることなく、得意分野の研究開発に基づいた技術を見出し光を当てることを目指している。この分野を担当する経済産業大臣の林幹雄氏をはじめ、政府高官が今年のセレモニーに参列した。

サイフューズは、同社独自の 3D バイオプリント技術を披露

JST、NEDO、日本ベンチャー学会、経済産業省の担当大臣らにちなみ設けられた他の賞は、ORThoreBIRTH やサイフューズといった医療分野のスタートアップに贈られた。ORTHOreBIRTH は、名古屋工業大学と共同でスポンジ状の人工骨を製作しており、アメリカでは FDA から利用承認を受けている。サイフューズは佐賀大学と共同で、血管や内臓の 3D プリントを実現している。

特にに興味深かったのは、 FLOSFIA によるパワーデバイスの開発計画(京都大学や東京大学エッジキャピタルが支援)と、ティエムファクトリによる透明断熱材(SUFA)の開発(京都大学の研究成果を活用し、 YKK AP と協業)だ。他に、東京大学発のスタートアップで、ディープラーニング・アルゴリズムを活用するパークシャテクノロジーにも賞が贈られた。

深圳を拠点するアクセラレータ HAX の Benjamin Joffe 氏は、ハードウェアスタートアップの最新トレンドを解説

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