佐藤詳悟氏率いるFIREBUG、スマホ短尺番組アプリ「Thirty(サーティー)」をローンチ——スキマ時間の視聴体験でミレニアル世代を魅了

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2017.9.19

佐藤詳悟氏と言えば、吉本興業でナインティナイン、ロンドンブーツ1号2号などのマネージャーを経験し、2015年、異色クリエイターのエージェント業務を行う QREATOR AGENT を立ち上げた人物だ。女子大生起業家の椎木里佳氏、筑波大学助教の落合陽一氏などのプロデュース、PR 業務に携わることでも知られる。

QREATOR AGENT とあわせ、佐藤氏は FIREBUG という番組制作会社を経営しているが、同社が19日、スマートフォン向け短尺動画アプリ「Thirty(サーティ)」をローンチした。Android 用と iOS 用に、それぞれ、Google PlayiTunes AppStore  からダウンロードできる(同社は、開発着手時にこのアプリの名前を「VEM」としていたが、その後、リブランドしたようだ)。

番組制作のプロが作る動画配信サービス

FIREBUG ではこれまで、有名動画配信サービスの番組制作やキラーコンテンツの立ち上げなどを受託してきた。これらの経験や知見をもとに、スマートフォンでの動画視聴体験には、短尺で単発のコンテンツが受け入れられやすいことを確信。初の自社サービスとなる Thirty では、スマホ画面に最適化された縦長の30秒動画に特化することにしたという。

Thirty のアプリを起動すると動画の一覧が表示される。ユーザは30秒動画を最後まで視聴するか、スマートフォン画面上でスワイプ操作をすることで、次の動画にスキップすることができる。ある動画をユーザが最後まで視聴したか、頭の部分しか見なかったかなどによって Thirty はユーザの嗜好を学習、似た属性を持つユーザ同士の協調フィルタリングなどを掛け合わせ、ユーザが好みそうな動画を一覧上位に表示し優先的な視聴を促す。

現在のところ全てのコンテンツはマス向けのものが中心で無料で視聴でき、ローンチ時点で用意されているチャンネルはバラエティ、情報、漫画、ライフスタイルなど。佐藤氏は THE BRIDGE にの取材に対し、将来的には、釣りやドキュメンタリーといった、やや専門的なチャンネルを増設や、有料コンテンツも試してみたいと語ってくれた。

将来的には、コンテンツによっては課金もやるかもしれない。例えば、頭の3つのエピソードは無料だけど、残りのエピソードは有料とするなど。

しかし、それはユーザが十分定着してからで、向こう6ヶ月後とか、1年後とかになるだろう。(佐藤氏)

Thirty で提供される多くのコンテンツは、従来の民放に似たチャンネルにスポット動画広告が入る形で提供される。この動画広告も縦長に最適化する必要があるため、広告主は既存のテレビ広告を再構成するか、オリジナルで広告を制作することになるようだ。

スマートフォンで動画を見るという体験により、従来のテレビには無かった、ユーザの位置情報との組み合わせが可能になる。位置情報と動画を組み合わせることで、例えば、山手線に乗っているときに特定の動画広告が表示され、ユーザが特定のコンビニエンスストア・チェーンに誘導されて動画コンテンツが見られるとか、富士山に登っているときに特定の番組が見られるとか、O2O やジオマーケティングの可能性についても、佐藤氏は野心的な構想を披露してくれた。

エピソード1本あたりの番組制作コストは、ほぼゼロに

Thirty では各動画エピソードを表示する時間帯を自在に指定できるので、番組編成はテレビやラジオなどと違ってフレキシブルに変更できる。活況を呈するライブコマースなどとは対照的だが、今のところ、よほどのマスにウケるコンテンツでない限り、ライブ放送を積極的にやることは考えていないそうだ。短尺動画では1回でエピソード20本のまとめ撮りとかが可能なので、1本あたりの演者の出演料や制作コストを抑えることができる。

面白い短尺動画の募集も展開していく予定。FIREBUG のスタッフがそれを見て、編集をして、それを Thirty 上で公開していく。Thirty は誰でもが出られる(出演できる)場所ではなく、選ばれた人だけが出られる、そういう場所にしていきたい。(佐藤氏)

FIREBUG は今年7月、RKB 毎日放送とエイベックス・ベンチャーズから資金調達を実施しているが、この株主の顔ぶれも興味深い。圧倒的な数の短尺動画が貯まれば、それを再構成して映画化したり、テレビ番組化したりすることも可能だ。Thirty の視聴ユーザが増えれば、スポット広告から得られた収益の一部を、出演者や制作者に還元するようなしくみづくりも可能になっていくだろう。

16日福岡市内で開催された F Ventures「登竜門」で、落合陽一氏(左)と対談する佐藤詳悟氏(右)
Image credit: Masaru Ikeda

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