アジア生まれのタスク管理ツール「Jooto(ジョートー)」、PR TIMESに事業譲渡へ——2人の創業者はPR TIMESに参画、他ツールとの連携を支援

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左から:Skipforward CTO 原悠介氏、Skipforward CEO 下田祐介氏、PR TIMES 代表取締役 山口拓己氏
Image credit: Masaru Ikeda

シンガポールを拠点とし、主に日本市場向けのタスク管理ツール「Jooto(ジョートー)」を開発してきた Skipforward は20日、PR TIMES(東証:3922)と東京都内で記者会見を開き、Jooto を PR TIMES に事業譲渡することで両社が合意したことを明らかにした。事業譲渡が完了するのは9月29日で、Skipforward の創業者である下田祐介氏(CEO)と原悠介氏(CTO)の2名は、PR TIMES に転籍し Jooto の事業発展に向けた注力を継続する。事業譲受に伴い正ののれん(positive goodwill)が発生する見込みで、PR TIMES はそれを考慮した買収金額等の諸条件について精査中としている。

Skipforward は2012年11月の設立。2014年1月に Jooto のβ版を公開、2014年6月に同正式版を公開した。Jooto は直感的に利用できる、ほぼドラッグ・アンド・ドロップで操作できるタスク管理ツールで、Skipforward は2017年8月現在のJooto ユーザ数が10万人超、プレミアム機能が使える有料会員は約1.5%程度であることを明らかにしている。同社は顧客単価を開示していないが、開示値から推測する限り毎月の売上規模は数百万円の前半といったところだろう。

Jooto のユーザ成長推移
Image credit: Skipforward

Skipforward が公開しているユーザ成長のグラフを見てみると、2014年のサービス公開以降、Jooto のユーザ数は順調な伸びを示しているものの、スタートアップに期待されるホッケースティック的な伸びを示したとは言えなさそうだ。以前の記事にも書いたが、Jooto がユニークなのは、プロダクトのみならず、その運営開発体制や経営戦略にもある。デザインやオペレーションはシンガポール、システム開発はベトナム・ハノイで行われているのに対し、ターゲットとする市場は日本のみ。しかも、日本市場向けのマーケティング活動は、東京ではなく日本の西南端・石垣島から行われてきた。

会見に登壇した下田氏は、個人的な意見とことわりつつも、シンガポールにいながら日本のユーザニーズを細かく把握するのが難しかったこと、また、Jooto の構想開始からを含めると4年が経過し、Jooto 以外のことにも着手してみたくなった、と今回譲渡に至った背景を吐露した。

Jooto は今後、PR TIMES のサービスの一つとして開発が継続され、Jooto と同じく2014年2015年7月にサービスローンチした PR TIMES のカスタマーサポートサービス「Tayori」との機能連携を実装する予定(Tayori の2017年8月現在のユーザ数は約8,000アカウント、2017年度中に2万アカウントの達成を見込んでいる)。

Jooto
Image credit: Skipforward

PR TIMES 代表取締役の山口拓己氏は、下田氏と原氏の PR TIMES への参画が、PR TIMES の提供するサービスやアセットの価値向上に寄与すると確信したことを強調。PR TIMES 社内で新規プロジェクトが複数立ち上がる中で、それらのプロジェクトを統括する人材を社内で育成するのと並行し、外部からもリーダーシップを取れる人材を確保する流れを作りたい、と二人が PR TIMES に参画することへの期待感を明らかにした。すなわち、事実上のアキュハイヤ (acqui-hire)と捉えてよいだろう。

今回の Jooto 事業譲渡を投資家は好材料と捉えたようで、東証マザーズにおける PR TIMES の株価は、21日前場の最高値で前日比105円高の3,175円をつけている。

【情報開示】 THE BRIDGE は、PR TIMES と資本業務提携を締結しています。

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