シンガポールのブロックチェーンスタートアップBluzelle、シリーズAラウンドで150万米ドルを調達——分散型データベース製品の開発を加速

by e27 e27 on 2017.9.8

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Bluzelle の Neeraj Murarka 氏(CTO)と Pavel Bains 氏(CEO)
Image Credit: Bluzelle

シンガポールに本拠を置くブロックチェーンスタートアップの Bluzelle がシリーズ A ラウンドで150万米ドルを調達した。同ラウンドには Global Brain、LUN Partners Capital、True Global Ventures が参加した。

Bluzelle は新たに調達した資金をエンタープライズ事業の拡大、分散型データベースプラットフォームの開発、開発者コミュニティの立ち上げに使用する、と公式プレスリリースで述べている。

同スタートアップを率いるのは2人のカナダ人だ。CEO 兼共同設立者の Pavel Bains 氏と、CTO 兼共同設立者の Neeraj Murarka 氏である。

Bluzelle のローンチ前、Bains 氏は500 Startups が後援した Storypanda を共同設立している。同社は子どもたちの読書や本の執筆、共有を実現するデジタルブックプラットフォームである。また、同氏は独立系ゲームデベロッパーの Treewave Software のジェネラルマネージャーや Disney Interactive Studios の CFO を務め、デジタルメディア業界にも深く関わった経験を持つ。

2014年に同氏はより最先端のテクノロジーに狙いを移した。ビットコインとその応用に関して調査を始めたのはその頃のことである。ちょうど同じ時期に Muraka 氏と出会っている。Muraka 氏は ZeroBlock というビットコイン企業での仕事を終えようとしているタイミングだった。

Bains 氏は e27のインタビューで次のように話した。

時を同じくしてバンクーバーに戻ってきた彼(Muraka 氏)と、共通の友人を通じて知り合いました。私は新しいタイプのブロックチェーン製品に取り組みたいと考えていて、彼は何かをゼロから始めたいと考えていたので、意気投合したのです。彼は CTO の役割を、私は製品デザインの役割を担い、こうして弊社(Bluzelle)は始まったのです。

最初に2人はブロックチェーン技術の最も一般的なユースケースである支払いに取り組もうと考えた。バンクーバーでは中国系移民とインド系移民の人口がとても大きく、そうした人たちは頻繁に母国に送金している。

Bluzelle の当初の目標は、ブロックチェーンを活用することでこういう海外からの移民がもっと手早く安価なレートで故郷の家族に送金できるよう支援することだった。しかし Bains 氏と Muraka 氏はほどなくアジアに移った。なぜなら市場機会がもっと大きいからだ。

Bains 氏はこう語った。

バンクーバーで1年ほど経った後、私たちは本当の成長分野はアジアにあると考えました。アジアの人口は断然大きいですし、それが小さな円の中、つまりどこに行くにせよ飛行機で4時間の半径以内にあって、それでもっとたくさんのユーザを獲得できるのです。バンクーバーは住むには良いところですが、フィンテックやファイナンスという点では、その中心ではありません。私たちのテーゼは、フィンテックやブロックチェーンに参入するのであれば、大きなビジネスがあるところに行かなければならない、というものでした。

カナダ政府は何度か私を貿易使節団の一員として派遣し、それで私たちはアジア、特にシンガポールに来ようと決めました。そうして、私たちは当地(シンガポール)のエンタープライズと仕事を始めることになりました。

シンガポールをオペレーションの拠点とし、研究開発と一部のチームはバンクーバーを本拠としており、Bluzelle はより広範なブロックチェーンの応用方法に向けて模索し始めた。

Bains 氏は続ける。

私たちは非依存型であり、どんなユースケースをも支えるバックエンド技術になるんだと言っていました。昨年私たちがやり遂げたのは支払い分野で、これについては Temenos(その核となる銀行システム)と協力しています。

私たちは銀行のグループにブロックチェーンを活用した KYC アイデンティティマネジメントを提供しました。さらに保険会社数社にブロックチェーンを活用した保険システムも開発中です。ここで申し上げたいのは、当社のテクノロジーは柔軟性があり、ユースケースを仰って頂ければ、それに合わせて製品をデザインできるということです。

Bains 氏は保険を例にあげて説明した。ブロックチェーンによって保険金請求が自動化されるため、保険契約者は請求フォームのコピーを取ったり、それを送付して6〜12週間払い込みを待ったりする必要はない。ほぼ瞬時にすべてが処理できるのだ。

分散型データベース

Bluzelle の最新製品は分散型データベースサービスだ。ブロックチェーンの技術を活用することで、データベースに保存されたデータは不変で安全になるだけでなく、クラウドのような現在のデータベースソリューションよりも高速なデータ転送が可能になる。Bains 氏によると、ブロックチェーンを活用した分散型データベースは技術が自然に進化したものだという。

私たちは当社のテクノロジーを応用発展させました。インターネットが分散型インターネットに変化していくのに伴い多様に細分化される中、この技術はデータストレージと管理で大きな役割を果たすようになると考えています。これが必要とされるのは、分散型アプリケーションや Ethereum のような新たなオペレーティングシステム、分散型ファイルストレージの File Coin のようなファイルストレージがあるからです。

ですので、もし完全なブロックチェーンベースの分散型アプリケーション(ミドルウェアを含め)を構築するのであれば、データベースもそうあるべきなのです。分散型はより高速で、強力で、安全なのです。

Bains 氏はそう付け加えた。

分散型データベースの構築は、ビットコインファーマーがビットコインをマイニングするのに似ている。両者とも暗号通貨の発行が関係する。

プロデューサー(ファーマー)はハードウェア資源を提供することで Bluzelle トークンを稼ぐ。そして利用者がデータベースサービス利用の対価をトークンで支払う。

トークンはサービスを効率化・高速化します。製品に組み込まれているのはそれが理由です。エコシステムを創っているのです。

ビットコインのマイニングと Bluzelle トークンの違いは、必要とされる計算能力量だ。ビットコインファーマーはできるだけ多くのビットコインを獲得すべく高価なマイニングリグ(コンピュータ)を構築する。

ビットコインは軍拡競争のようなものです。ビットコインはいまや約4,000米ドルの価値があるので、より大きな計算能力の構築を追い求めるインセンティブがあります。当社の場合、ネットワークの一部として存在する考え方で構築しています。軍拡競争が必要になるような設計ではありません。

Bluzelle は10月後半に Bluzelle トークンの販売を計画している。

分散化されるということは、その部分部分が世界中に散らばるということなのです。ハッカーの誰1人としてデータベースに侵入してデータを盗むことはできませんし、さらに、不変性とコンセンサスに基づくブロックチェーン技術を利用すれば不正データもなくなります。なぜなら、数百万台のコンピュータネットワークで検証できるからです。

テクノロジー動向に詳しい人にとってはブロックチェーンの利点は明らかだが、それでも一部の伝統的企業はこの新興技術に懐疑的な見方をしている場合がある。

Bains 氏は話す。

私たちは街にやってきた2人の新参者でした。ですので信用と関係構築に時間をかけました。ひとたびそれができたら、次はこのテクノロジーを彼らに納得させ、そして仕事に取り組み始める必要があります。

Bluzelle は最近 World Economic Forum から「テクノロジーパイオニア」に表彰された。過去の受賞者には Airbnb、Google、Kickstarter、Mozilla、Spotify、Twitter など業界最大手のテクノロジー企業がいる。

その受賞のおかげで Bluzelle はビジネスの世界で確固たる信用を得ることができたと Bains 氏は言う。そして結実した現在、同社は KPMG、カナダの Zag Bank、British Telecom などヘビー級の顧客企業ポートフォリオを擁している。

【via e27】 @E27sg

【原文】

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